SUPER FORMULA 第5戦 レースレポート

開催
サーキット
ツインリンクもてぎ(4.801km)
日時 8月28日(土) 8月29日(日)
来場者 3,400人 4,400人
天候 曇り時々晴れ・ドライ 曇り・ドライ
気温 36-35℃ 31-31℃
路面温度 43-41℃ 36-40℃

予選:レース内容

全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦は、6月の菅生大会から2ヶ月半のインターバルを経てツインリンクもてぎで開催された。

Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 36号車には、今回も中嶋一貴の代役としてジュリアーノ・アレジが乗り込む。そして37号車はレギュラードライバーの宮田莉朋がステアリングを握る。共に午前中の練習走行でセッティングの修正作業を行わなくてはならなかったが、予選までにその修正を終え、決勝のスターティンググリッドを決するタイムアタックに臨むことができた。アレジは12番手、宮田は4番手で予選を終えることができたが、今大会を迎える前にエンジン交換を強いられ、10グリッド降格となり、14番手から35周の決勝をスタートすることとなった。

 

●Q1、Q2の予選は、2グループに分かれて行われ、アレジがAグループ、宮田はBグループで予選を開始した。

●Q1は、各グループ上位7台がQ2に進出。アレジは6番手、宮田は5番手でQ1を突破した。

●Q2は上位4台がQ3へ進出することができる。アレジはQ2突破に0.065秒及ばず予選を終えた。

●宮田は、4番手でQ3へ進出する。

●AB両グループのトップ4、計8台によるポールポジション争いとなるQ3。宮田は、見事に4番手タイムを叩き出した。練習走行の不調は完全に払拭された。しかし、エンジン交換のペナルティとして、10グリッドの降格が決められており、14番手グリッドから決勝をスタートする。

●アレジは、12番手であったが、宮田が降格したことによって11番手グリッドからスタートを切る。

DriverCar No.Q1Q2Q3
ジュリアーノ・アレジ36A P6 1’33.064A P6 1’32.471
宮田 莉朋37 P5 1’32.577B P4 1’31.877P4 1’31.395

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

今回もスーパーフォーミュラをドライブさせてもらうことになり、毎回とても多くのことを勉強させてもらっています。練習走行ではあまりいいタイムを出せなくて、セットアップをどんどん変えてもらって予選を迎えました。予選の短い時間の中で、タイヤのウォームアップとタイムアタックを行うことは難しい。Q1は突破できたけど、Q2で終わってしまった。ほんの僅かなタイム差でQ3に行くことはできなかった。スーパーフォーミュラに参加しているドライバーたちはみんな速いので、予選から良い結果を出すのはとても難しい。まだまだ勉強しなければならないことがいっぱいある。予選結果は12番手だったけど、宮田選手のペナルティによって11番グリッドから決勝をスタートすることになった。チームと作戦を考えてポイントが取れるようなレースをしたいです。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

予選前の練習走行や走り出しはあまり良くない状態でした。エンジニアさんと話し合って、もてぎのセットアップを決めてきたのですが外してしまった。そこから、昨シーズンのデータをもとにセットアップを修正してもらい、なんとか調子を戻すことができて良かったです。練習走行の状態だったらQ1突破も難しかったと思います。限られた時間内でチームがセットアップを戻してくれたおかげで、なんとかQ3まで残れました。4番手のタイムをマークすることができたのですが、前戦の菅生大会後にエンジンチェックをしたところ、不具合が見つかってエンジンを交換。それによって予選結果から10グリッド降格のペナルティとなって、14番手からのスタートとなります。菅生で走行している時には全く問題を感じなかったので、エンジン交換という知らせを聞いた時は<なぜ?>という感じでした。決勝は後方からのスタートとなりますが、気持ちは常に優勝するつもりで臨みたいと思います。ボクのエンジン交換によって、トヨタ全体のエンジン開発のプラスになって、今後トヨタのエンジンがもっと良くなればという気持ちです。

大立 健太

36号車エンジニア

今回は、これまでとはガラリとコンセプトを変えて臨んでいます。セットアップは、(中嶋)一貴さんの富士と、昨年のもてぎのセットを合わせたもので持ち込んでいます。そのセットアップが練習走行では全然マッチしなかったので、オリジナルのセットアップに戻しながら、なんとか修正して予選に臨んだというのが今回の状況でしたが、Q2で敗退してしまいました。ボクの考えてきたセットアップがハマらず、ガラっとセットアップを変更して予選のアタックをしなくてはならなかった。ドライバーがなんとか頑張ってくれてQ1は突破してくれましたが、Q2は僅か0.065秒及ばず、Q3に進出できませんでした。ドライバーからは、ブレーキングでリヤの軽さを感じるというコメントがあって、それを修正して行ったのですが、それが完全には解消できなかった。持ち込みが良かったら、それも改善できていたかもしれないので猛省しています。決勝を見据えたロングラップのタイムはそれほど悪くなかったので、それにプラスアルファして追い上げられるセットアップを考えます。

小枝 正樹

37号車エンジニア

ガレージからもてぎに持ち込んだ状態でマシンのバランス、グリップのレベルが思っていたような状態ではなく、ブレーキングの時にフロンタイヤがロックしたり、リヤがロックしたりしてしまうような現象があったようです。思い切ってコーナーに飛び込めなかったので、練習走行の間に以前の状態に戻して行き、プラスアルファでセットアップしてなんとか予選を迎えることができて、結果を出すことができましたが、走り出しからマシンの状態が良かったら、もっと良い予選結果を得られたのではないかと、莉朋と話していました。菅生大会以降時間があったので、セットアップのコンセプト自体は変更せず、いろいろトライしてみたのですが、なかなか納得できなかったですね。簡単に言うとセットアップを元に戻して、プラスリヤのスタビリティをアップしたという状況です。予選を終えた時のセットアップから走行を開始していたら、ポールポジションのタイムと勝負できていたかも知れないと莉朋からポジティブなコメントをもらっています。後方からの追い上げですが、決勝セットもいろいろ考えて来ているので、ポイントを獲得できるように頑張るだけです。

東條 力

チーフエンジニア

36号車、37号車共に持ち込みセットが合わなかったですね。ガレージで今回のもてぎに対してトライしてきたことが機能しませんでしたね。しかし、もてぎのオリジナルセットがありますから、それに戻しつつ、状況にアジャストする作業を練習走行で行い、タイヤのチェックなど忙しかったですね。37号車の莉朋は、よくあの位置、4番手まで挽回できました。ジュリアーノも苦しみながらもQ1を突破したのですが、その先でほんの少し足りなかった。莉朋は、10グリッド降格のペナルティがあるので、ジュリアーノ11番手、莉朋14番手という2台共に後方からのスタートとなりますが、パッシングが難しいもてぎでは、作戦を考えてなんとかポジションを上げられるようにいろいろと練らなければなりませんね。

舘 信秀

チーム監督

走り出し、練習走行では、莉朋、ジュリアーノ共に苦労していたようだけど、そこからなんとかセッティングを修正していってくれた。現在のスーパーフォーミュラは、走行時間が限られているから、ガレージからの持ち込みセッティングが外れてしまっていると、予選で上位に食い込むのは難しい。その状況下で、莉朋は4番手で予選を終えることができた。これは、チーム力だ。よくここまで修正、挽回してくれた。しかし、彼は前戦の菅生の後でエンジンに不具合が発見されて交換せざるを得なかった。レギュレーションで10グリッド降格。これは厳しい。本当に厳しい。この位置からどれだけ追い上げられるか、作戦面でもなんとかポジションアップをしたい。ジュリアーノは、今回もスーパーフォーミュラライツとのダブルヘッダーでの参加だ。彼も練習から苦しい展開だったけどQ1を突破、Q2ではほんの僅かに及ばず敗退。毎レースで、そのスキルをアップしているだけに残念だが、決勝に期待したい。

決勝:レース内容

35周の決勝レースは、オープニングラップでマルチクラッシュが発生し、2周目からセーフティーカーが導入されて5周目にレースが再開された。幸いKuo VANTELIN TEAM TOM’Sの2台はアクシデントに巻き込まれることなくレースを続行することができた。上位グループが早めのピットインを行なったが、レースの半ば以降にピットインする作戦を取った。まず36号車のジュリアーノ・アレジが18周してピットインした。しかし、右フロントタイヤの交換に手間取りタイムロス、大きく順位を落としてしまった。37号車の宮田莉朋は、24周してピットイン、9位でレースに復帰した。宮田は、32周目に自ら一つ順位アップして8位フィニッシュ。グリッドポジションから6ポジションアップして3ポイントを獲得した。アレジは、16位でフィニッシュした。


●宮田莉朋は、スタートで2台をパスして12位へポジションアップし、ジュリアーノ・アレジの後ろにつけた。

●1周目のV字コーナーでマルチクラッシュが発生。3台がリタイヤした。2周目からセーフティーカーが導入された。

●5周目からレース再開。宮田はアレジをパスし10位に。

●上位陣がミニマム周回をクリアして10周するとピットインを開始した。

●アレジは18周してピットインしたが、タイヤ交換をする際に右フロントタイヤの交換に手間取り大きくタイムロス。コースに復帰した時には、最下位まで順位を下げてしまっていた。

●宮田は、ピットインまで前にトラフィックがない状況でタイムアップ。24周してピットインした。

●宮田は、9位でコース復帰後、前を行く38号車坪井 翔選手との差を詰めて32周目の3コーナーでパッシングに成功し、8位でフィニッシュした。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
ジュリアーノ・アレジ36P16/1’34.507
宮田 莉朋37P8/1’34.281

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

チームが素晴らしいマシンを用意してくれた。1周目のアクシデントも問題なく、巻き込まれることはなかった。しかしその後、レース再開後に少し順位を下げてしまった。リスタートでうまくタイヤが温まらなかった。そこでパスされた。これももっと勉強してちゃんとグリップさせるようにしなければならない。トップグループが早めにピットインしたが、ボクはそのまま頑張ってタイムアップしてからピットイン。タイヤ交換に手間取り、長い時間ピットに止まっていた。そこからレースに戻って、自分が何位なのかはわからなかった。集団の後ろに着いてしまったので、レース後半は全く自分のペースで走ることができなかった。チャンスがあったらまたスーパーフォーミュラをドライブしたい。そして、ちゃんと結果を残したいと思っています。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

1周目のアクシデントは、後方からのスタートだったことや、クラッチの温度管理をミスして順位を上げられなかったことで、混乱したポジションに居なかったことが幸いして、巻き込まれることなく、順位をアップできました。上位グループが早めのピットインをして、そこからペースアップする作戦だったのですが、レースの中盤では前に2台のマシンがいて、考えていたほどペースが上げられなかった。ピットからピットインするかという無線もあったのですが、前のマシンがいなくなって、クリーンエアを受けて走行できたらペースを上げられると思っていたので、もっと引っ張らせてくださいとお願いして、周回を伸ばしました。それが良いかどうかはその時点では分かりませんでしたが、結果としては良かったということだったと思います。コースに復帰して坪井選手の後ろに着き、終盤はタイヤの状況もとても良くなって坪井選手をパスすることができました。そして次に牧野選手との差を詰めて行ったのですが、抜くまでには至らずレース終了でした。

大立 健太

36号車エンジニア

ピット作業で申し訳ないタイムロスをしてしまいました。大きく順位を下げてしまいました。1周目のアクシデントは切り抜けられたみたいですが、他のコーナーで軽くコンタクトしていたようです。大事には至らず良かったです。コンタクトによる悪い影響はなかったと思うのですが、1セット目のタイヤが周回ごとにグリップダウンしてしまっていましたね。前が空いていた時には良いタイムで周回できていたのですが、それでも段々とタイムが落ちてしまっていました。今回の持ち込み状態のセットアップが良くなかったので、そこからセットアップを変更、修正しなくてはならなかった事態は私の責任です。どんどん苦しい、厳しい状況にしてしまった。申し訳なかったです。次戦でジュリアーノがドライブすることができたら、今回のデータをベースに積み上げて、結果を出せればと思っています。

小枝 正樹

37号車エンジニア

予想通り、上位グループが早めにピットインしましたね。しかし、莉朋の前の2台のマシンはピットインを遅らせていたので、序盤はあまりペースが上がりませんでした。セットアップは良かったと思います。前が空けばペースは良かったです。しかし、トップのマシンと比較するとまだ速さが足りなかったので、セットアップは完璧だったとは言えません。もう一段階セットアップが良かったなら、もっと順位を上げられたかもしれませんね。作戦としては、トップグループがピットインを終えて、状況が落ち着いてきた時にピットインの指示を出そうかと考えていましたが、前が空けばもっとペースを上げられるので、もう少し引っ張らせて欲しいと莉朋が言ってきたので、彼の意見を尊重しました。ピットアウトしてから坪井選手に引っかかってしまって、もっと速さがあったならすぐに対応できて、その前の牧野選手、そして阪口選手もパスできていたかもしれませんね。次戦も同じサーキットなので、今回のセットをベースにマシンを仕上げて、今回の結果をポジティブに捉えて上位進出を狙います。

東條 力

チーフエンジニア

上位グループは早めのピットイン、ミニマムの周回数で入ってくると思っていました。実際そのような展開になりましたね。上位グループと同じことをしても、同じポジションのままなので、うちは違った作戦を取りました。上位陣が前にいなくなった時にペースアップするオーバーカット作戦です。まず、ジュリアーノを先にピットインさせたのですが、ピット作業で大きくタイムロスして、順位を下げてしまいました。莉朋は、かなり引っ張りました。これによって順位アップするのに成功したのですが、コースに復帰してからは坪井選手を追って、最後にパスしてくれました。14番手という後方から8位フィニッシュ、6ポジションを上げる素晴らしい結果を残すことができました。次戦も同じツインリンクもてぎでのレースですから、今回のデータを活かして、予選から上位を狙いたいですね。今日のコンディションがあまり気温が上がらず、次戦10月のコンディションに近いのではないかと思うので、データが活かせるでしょう。

舘 信秀

チーム監督

莉朋の今回のレースは素晴らしかった。あの位置(14番手グリッド)からのスタートだからポイントを獲得できるかどうか、1ポイントでも取れれば良いかなと思っていたので、8位フィニッシュは最高だったと思う、作戦面も成功したということだ。レースに対する姿勢もとても良いし、どんどんと頼もしい存在になってきている。終盤では坪井選手をパスすることができた。相手は坪井選手だから順位を上げるのは無理かと思っていたが、8周に渡って追い詰めた末に順位を上げた。これも素晴らしかった。ジュリアーノには申し訳ない結果となった。ピットイン前までは順調だった。莉朋の後ろまで順位を上げることができたのに、ピット作業でタイムロスしてしまって、最後尾まで下がってしまった。あれがなかったら、ジュリアーノもポイントを獲得できたかもしれないので、本当に申し訳なかった。次戦も同じもてぎだ。このタイミングでは中嶋 一貴がドライブできるので、どうするかを調整する。

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