SUPER GT 第3戦 レースレポート

開催
サーキット
鈴鹿サーキット(5.807km)
日時 8月21日(土) 8月22日(日)
来場者 7,000人 11,500人
天候 曇り・ドライ 曇り時々雨・ドライ
気温 27-27℃ 31-29℃
路面温度 31-32℃ 43-35℃

予選:レース内容

SUPER GTシリーズ第3戦 鈴鹿サーキットは、第4戦と入れ替わりの日程で行われ、シリーズの折り返し、4レース目となる。 TGR TEAM KeePer TOM’S 37号車のサクセスウエイトは54kg。GT500クラスのマシンの中では3番目に重く、練習走行の時点からマシンのセットアップに苦しみ、思うようなタイムを出せない状況だった。それに加え、予想外に気温が低く、同時に路面温度も低いため、持ち込んだタイヤの温度レンジとコンディションが合わず、ダブルで苦しい状況となった。セッティングを修正しつつ予選を迎えたが、結果はGT500クラス15台中14番手で、決勝に臨むこととなった。このような状況下であっても、1ポイントでも多く獲得するべく、52周の決勝をスタートする。

●午前中の練習走行開始から平川 亮がステアリングを握った。

●アンダーステア傾向があって、その修正とともにタイヤチョイスの作業を同時に行わなければならなかった。

●限られた時間内でセッティングを調整、阪口晴南にスイッチしてセッティングのチェックと決勝へ向けての準備、ロングランを行った。

●平川がQ1を担当。

●ウォームアップを終えてアタックを開始し、5周した最終ラップにベストタイムをマークした。しかし、Q1を突破することができず、14番手で予選を終えた。

●阪口の予選走行チャンスは無かった。

DriverQ1Q2
平川 亮P14 1’46.514
阪口 晴南

予選:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

走り出しから、調子は良くないですね。データをチェックしながらセッティングを変えて、どうにか良くしようと努力をしたのですが、練習走行が終わるまでには合わせきれなかったですね。路面温度が低すぎて、タイヤのチョイスはソフトしかないという状況でしたから、選択は迷わなかったです。でもなぜ調子が良くないのかは、大体わかってきているので、これをアジャストすれば、決勝では順位アップできると思っているのですが、前には多くのマシンがいるので抜いて行くのは大変ですね。マシン自体のセッティングの問題と、タイヤが今日の状況に合っていなかった。想定よりも温度が低すぎて、路面温度も上がってくれなくて、我々がチョイスしているソフトでも硬すぎた。十分にグリップしてくれませんでした。他のタイヤメーカーは、結構柔らかいのかなと思いますが、同じSupraとブリヂストンというパッケージの中でも、後ろから2番目という状況は、まだまだセッティングをアジャストしなければならないことを示していますね。決勝の天候がどうなるかですが、少なくともドライなら気温が上がって、路面温度も上がってくれないと、タイヤが発動してくれないですね。

阪口 晴南

37号車ドライバー

平川さんの練習走行の走り出しからあまり調子が良くなくて、いろいろと試行錯誤していますが、予選までの流れは、あまり良くないですね。平川さんが走った後にボクはマシンのチェックとロングラン、そして最後のGT500クラスの占有走行で走らせていただいています。可能な限りチームが万全の体制を作ってくれて予選に臨んだのですが、他のチームが速くてQ1で予選落ちしてしまいました。平川さんのアタックは素晴らしかったと思いますが、今日のコンディションが、夏場なのにとても涼しくて、それにマッチすることができなかったのが今回の予選結果だと思います。悔しいですけど、できる限りのことはやったので、仕方ないかなという感じです。昨年の結果から見ても日産さん、ホンダさん。タイヤメーカーだとダンロップさんは、ここ鈴鹿で調子良いですよね。今回もそのような感じになって来ました。しかし、決勝ではまた違った状況になることも考えられるので、しっかり走って、順位を上げて、ポイントをできるだけ多く取りたいです。自分にとって4戦目で慣れて来ていますし、良い緊張感を持って追い上げて行きたいです。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

ちょっとアンダーステアが強めで、それを練習走行の中で修正しつつ進めてきました。路面温度が低かったので、タイヤチョイスに悩むことは無かったのですが、ソフトとハードと両方のキャラクターをチェックしてはいます。サクセスウエイトの影響はありますが、これまでの予選では、トップ10には必ず入っていたので、今回は今シーズンで一番悪い結果となってしまいました。Supra全体でも全車Q1敗退ですから、ウチだけの問題ではないですね。アンダー傾向だったマシンのセッティングは、修正しすぎてオーバーステアまで行ってしまったのを戻したりしています。決勝に向けてはハンドリングの不安要素は解消できたと思っていますが、何にしても路面温度が低すぎて、タイヤの想定温度域の中でも最も低い状況ですから、決勝がドライなら路面温度が上がってくれないことにはどうにもなりませんね。天候ばっかりは、我々にはコントロールできませんからね。もしもウエットコンディションになったらウエイトの重さの影響を少なくしてくれる可能性がありますね。今は、どのような条件でも後方から追い上げることだけを考えて決勝に臨みます。

東條 力

チーフエンジニア

37号車は、走り出した時点からセットアップを少し変更しなくてはならないという状況でした。大きな問題では無かったですが、ハンドリングのフィーリングがアンダーステアだったので、それを修正しつつチェックして、タイヤのチョイスを行ったというところですね。練習走行のセッション中でも雨がぱらついていましたし、コンディションが安定していなかった。気温が上がっていなかったので、今回用意されたタイヤの温度域の中では状況は下限です。だから、ソフトタイヤのチョイスしかない。ハードをトライして、ドライビングのフィーリングが良かったとしても、それでタイムアップを望むことはできない。その時々に合わせてしまっては、セッティングが定まらなくなってしまう。それを気をつけつつのセットアップでしたね。幸いアンダー傾向の修正はできたようなので、決勝では調子良くなってくるでしょう。しかし、それもコンディション次第ですね。ソフトタイヤの想定路面温度域は25℃から45℃くらいなので、その範囲内の状況ではあるのですが、決勝ではもう少し路面温度が上がって欲しい。シリーズの中盤戦は、耐えて着実に、少しでも多くのポイントを獲得することが重要です。

山田 淳

チーム監督

走り出しからマシンのセットアップで悩んでいるところがありました。それを修正しつつ、練習走行を進めてタイヤのチョイス作業をしたのですが、今回用意していただいたタイヤは、コンディションに合っていなかったのかと思いますね。今回の第3戦は5月から8月に延期されて、そのコンディションを想定してタイヤを作ったら、コンディションが5月みたいに涼しかった。こればかりは、どうしようもないですね。Supra全車がQ1で予選落ちしてしまいました。36号車は問題なく予選に臨んだのですが、やはりQ2に進出できなかった。これを見れば、今回は我々にとってとても厳しいということが明らかですね。決勝日の天候は、今日より不安定であるという予報です。雨が降る可能性もあります。予選結果から見れば、雨、ウエットコンディションになってくれる方が順位アップができると考えています。しかし、天候の急激な変化はいやですね。コンディションの変化に翻弄されることなく終えて、ポジションアップ、ポイントゲットが目標です。

舘 信秀

総監督

なんだろう、前戦のツインリンクもてぎから37号車が今ひとつしっくり来ていない。走り出してアンダーステアが出ていたというので、それを修正しつつ、タイヤチョイスもしなくてはいけないし。しかし、涼し過ぎてソフトのチョイスが一択だったのはかえって良かったのかな。サクセスウエイトが重くなって苦しい展開。ポイントランキング上位のチームとしては、克服しなくてはならないものだ。それにしても予選結果がGT500クラスの下から2番目というのはちょっと悔しい。そしてSupra全車がQ1で予選を終えてしまったのは問題だ。タイヤチョイスの問題だけならいいが、少し心配になってきた。決勝はコンディションが好転してくれれば良いが、雨という予報も出ている。かえって雨、ウエットコンディションの方が良いかも知れない。目標はランキング争いをしているライバルの前でフィニッシュすること。それだけだ。

決勝:レース内容

決勝日の天候は曇りだが、気温が上昇して、決勝スタート時点では路面温度は予選日に比べて12℃も高くなった。今回持ち込まれているタイヤの温度レンジにマッチした状況になり、加えてセッティングの修正も進み、アンダーステアは解消されて、順位アップの準備は整った。52周レースの序盤から順位アップに成功。セーフティーカー明けの後方集団の中でもペースは良く、周回を重ねた。雨の予報も出ていたので、チームは雨雲レーダーで状況を注視しつつピットインのタイミングを探っていた。セカンドスティントも集団の中での走行が続いたが、最終盤に順位アップして10位フィニッシュ、貴重な1ポイントをゲットしてレースを終えた。

●阪口晴南がスターティングドライバーを務めた。

●3周目にポジションアップ。トップのマシンがアクシデントにより戦線を離脱したため、もう一つポジションアップ。セーフティーカーラン後の14周目に11位へ。

●雨雲がサーキット上空を通過しないと判断し、23周してピットインを指示。平川に交代した。

●コースインして再び集団の中で周回を重ねる展開となった時に、ヘアピンのブレーキングでダウンフォースが抜けてしまい、前のマシンに接触、その際スポイラーにダメージを受けてしまった。

●空力のバランスが崩れたため、苦しい走行を強いられることとなり、順位アップが難しくなってしまった。

●残り2周となった時に、前を行くNSXがシケインで失速したのを見逃さず、1コーナーの進入でパッシングに成功、10位に順位アップした。 ●1ポイントを獲得してランキング7位で後半戦へ臨む

Driver Race
Result
1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
平川 亮 P10 1’51.642
阪口 晴南 1’51.676

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

前戦のもてぎからマシンのセットアップが今ひとつ良く無かったのですが、決勝ではそれを解消できたと思います。決勝の前夜にルマン24時間レースのスタートを観戦しつつ、いろいろとデータを見直して、問題点をつかむことができたので、エンジニアと相談してセットアップを進めたら良くなりました。晴南も前半頑張って、良いペースで走ってくれました。自分に代わっても調子は良かったのですが、集団の中に入って走行している時に、ヘアピンのブレーキングでダウンフォースが完全に抜けてしまって、前の8号車に追突してしまいました。それほど大きなショックを感じなかったので、ボディにダメージは少ないと思って走行を続けていたのですが、バランスが悪くなってきたので、やはり影響があるのかと思いながら走行していました。最後に8号車を抜いて、何とか10位でフィニッシュできました。レースを終えて、マシンをチェックしたらスポイラーがかなり壊れていたので、それが原因でバランスが崩れたのだとわかりました。次戦でもポイント獲得を目指します。厳しい展開の中でもポイントを積み重ねることが重要ですね。

阪口 晴南

37号車ドライバー

セーフティーカーが導入される前に39号車を抜くことができ、セーフティーカー明けでもペースは良くて1号車を抜くことができて、36号車の背後まで進むことができました。ペース的にはこっちの方が良くて、シケインで並んで侵入していったら、ボクがアウト側で弾かれる形で失速してしまい、1号車に抜き返されてしまいました。その直後に各車はピットインしたのですが、作戦で雨が降ってきたらピットインしてレインタイヤで勝負するということもあったので、ピットインを少し先に伸ばしていました。しかし雨は降らなかったので、ピットインしたのですが、タイミングは少し中途半端だったかも知れませんね。平川さんのペースも良かったのでこれは順位アップが期待できると思っていたのですが、集団の中で接触があったみたいで苦しい展開になりましたね。走行中にはわからなかったようですが、ダメージはかなりあったみたいです。それが無かったら36号車と同じ位置まで順位アップできたのではないかと思います。それでも最後は平川さんが意地で順位アップしてくれて、ポイントをゲットできました。これからもドライブするチャンスがあったら良い結果を残せるように頑張ります。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

路面温度が上がってくれたおかげで、タイヤもしっかりと仕事してくれました。スタートから晴南のペースも良くて速かったので、順位アップはできるだろうと見ていました。作戦として、いつものように早めにピットインさせてドライバー交代するという考えもあったのですが、雨の予報を考慮して、雨が降ったら入れよう、その時レインタイヤに変えるというのが一番効率的であると考えていたので、他のチームよりもピットインのタイミングが遅れた。それで集団の後ろにつかざるを得なかったという展開となってしまった。亮がコースインした直後のペースは良かったのですが、その後一向にペースが上がらなくなった。何かトラブルを抱えているのかなと思ったのですが、ドライバーからの情報がなかったので、見守るしかなかった。レース後に彼から追突の話を聞き、それが思った以上にダメージが酷かったというので、ようやく納得したということです。ピットインのタイミングも良くなかったことで、集団の中で走らなくてはならなかった。接触は、そのような状況を作ってしまったチームの責任もありますね。それでもなんとか1ポイントを獲得できたのは良かったです。

東條 力

チーフエンジニア

練習走行で出ていたアンダーステアも解消できていて、スタートドライバーの晴南の走りも良かったですね。速かった。後方からの追い上げは大変でしたが、一旦36号車の背後に着くこもとできました。NSXの1号車も抜いた。しかし、また抜き返されたりと出入りの激しい展開でした。そして、セカンドスティントの亮の追い上げを期待していたのですが、集団の中で前のマシンに追突してしまって、空力パーツにダメージを受けてしまったようですね。マシンの状況を正確に確認できていないのですが、特に集団の中ではダウンフォースが得られなくて苦しい走行になっていたようです。それでも終盤に順位アップしてくれて、10位フィニッシュ、1ポイント獲得。最小ポイントですが、何とかノーポイントは免れたのは良かったです。

山田 淳

チーム監督

予選でアンダーステアだったのですが、セッティングも良く、決勝では路面温度も上がってくれて問題はなくなりました。スタートから序盤で晴南も順位アップしてくれて、勢いも良かったですし、1号車を抜いて36号車に追い付いたのですが、シケインでまた順位を下げるという展開でした。順位を争える状況だったので、もっと順位を上げられるだろうと思っていました。雨が降るかも知れないことを考慮しながら、ピットインのタイミングを見計らっていたのですが、雨は降らないだろうと判断してピットインを指示。亮に代わってからもペースは良かったのですが、ある時からペースが上がらなくなってしまって心配していたのですが、集団の中で追突して、スポイラーを痛め、バランスが悪くなってしまっていたようですね。どのくらい壊れたかはレース直後でわからないのですが、亮が見たところ、かなりダメージがあったようで、それがペースが上がらなくなった原因であると分かりました。しかし、最後の最後にポジションを一つ上げることができて、何とかポイントをゲットして終えることができました。

舘 信秀

総監督

36号車と共に順位アップしてくれる展開だったが、セカンドスティントで他車と接触してからは苦しい展開を強いられていたようだ。それでも最後まで諦めずに順位アップして10位フィニッシュ、1ポイントを得た。この1ポイントを獲得できたか、できなかったかがチャンピオン争いに影響するかも知れないので、この結果を得ることができたチームとドライバーの頑張りを評価したい。NSXの1号車、17号車が前でフィニッシュしている。シリーズの前半戦を終えて、これからのチャンピオン争いは本格化してくる。1号車は、次戦では燃料リストリクターが2段階となるので、次の菅生で追いつけると思っている。まだまだ苦しい戦いが続く。それに耐えてチャンピオンを目指す。

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