SUPER GT 第7戦 レースレポート

開催
サーキット
ツインリンクもてぎ(4.801km)
日時 11月6日(土) 11月7日(日)
来場者 6,100人 12,000人
天候 晴れ・ドライ 晴れ・ドライ
気温 18-17℃ 19-18℃
路面温度 29-20℃ 30-25℃

予選:レース内容

2021年SUPER GTシリーズも2戦を残すのみとなった。第7戦の舞台は、今シーズン2回目のツインリンクもてぎ。前回は、7月に開催され、今回とは気温/路面温度のコンディションが大きく異なる。土曜日最初の走行セッションである練習走行の段階から好調な滑り出しを見せたTGR TEAM KeePerTOM’S 37号車は、予選に向けてセットアップの確認、アジャスト、タイヤの選択を行い、このセッションを2番手で終えて、上位グリッド獲得は確実と思われた。秋のコンディションとしては、暖かな予選セッションを迎えたが、37号車がチョイスしていたタイヤにとっては、グリップが十分に発動するには至らず、Q1を突破することができず12番手となってしまった。練習走行時とコンディションは、ほぼ同じであったが、Q1の走行中のミスも重なり、6列目のグリッドから63周、300kmの決勝レースをスタートする。

●このレースでは、サクセスウエイトは、獲得ポイント×1となり、37号車は30kgを搭載。

●Super Formulaのレースを2戦経て、SUPER GTでは今回が復帰2戦目となるサッシャ・フェネストラズだが、国内のフォーミュラとツーリングカーのトップカテゴリーの感覚を完全に取り戻しているように見受けられた。

●平川亮が練習走行で最初にステアリングを握りマシンセットアップとタイヤのチョイスを行った。フェネストラズが決勝に向けてのロングランを行い、練習セッション最後に好タイムをマークし、仕上がりは良かった。

●フェネストラズが復帰後初めてQ1を担当。コースインしてすぐに練習走行の状況とタイヤのグリップが大きく異なることを感じた。

●アタックの周に3コーナー/4コーナー間でマシンが大きくスライドしてタイムロス。トップ8に食い込めず、Q1敗退となってしまった。

●平川は予選での走行チャンスはなかった。

DriverQ1Q2
平川 亮
サッシャ フェネストラズP12 1’37.254

予選:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

練習走行の状況がとても良かっただけに、本当に残念な予選結果だったという感じです。タイヤチョイスは、決勝を見据えてというだけではなくて、予選でもこのタイヤチョイスでやれると思っていたので、やはりコース前半のミス、タイムロスは大きかった。でも、スマートな作戦を考えれば、決勝でのジャンプアップは可能だと思っています。今回、ヨコハマタイヤが好調でフロントローを獲得していますが、ヨコハマだけではなくて、他のタイヤメーカーさんも好調ですから、うかうかしていられませんが、ボクらのブリヂストンタイヤは強いですし、決勝では順位を挽回したいです。しかし、ライバルタイヤメーカーは決勝でのグリップダウンも少なくなって来ていますから、侮れない。予選でサッシャは失敗してしまいましたが、決勝では彼も頑張ってくれると思います。昨年、ここもてぎでヤマケン(山下健太)と組んで、彼が Q1 で大失敗して死んだ魚みたいな顔をしていたのを思い出します(笑)。その時も決勝は、後ろの方から順位挽回しているので、それを考えたら、今回も上位でフィニッシュできると思っています。

サッシャ フェネストラズ

37号車ドライバー

練習走行は、とてもポジティブな結果で終えることができたけど、予選になったら一気にネガティブになってしまった。ドライブしていて、同じセットアップ、同じタイヤなのかと疑うほどに全く違ったフィーリングだった。路面温度は練習走行の時と同じなのに、タイヤのグリップが全然無くて、全く違うタイヤという感じだった。アタックに入ってからのセクター 1 はノーグリップ、1 、 2 コーナーで大きくスライドしてしまって、次の 3 、 4 コーナーではハーフスピン状態になってしまった。たぶんそこで 0.4 秒くらいロスしてしまっていた。後半のセクターでなんとか取り戻そうと頑張ったけど、最初のセクター 1 とセクター 2 のミス、タイムロスが大きかった。アタックを終えてピットに帰って来てタイヤを見たら、まるでニュータイヤみたいだった。タイヤはとてもセンシティブ。練習走行で少し攻めた走りをすると、タイヤが発熱し過ぎたような感触があった。しかし、予選のアタックでは全く温まってくれなくて、ずっとコールドタイヤのまま終わってしまった。本当にどうしてしまったのだろうと、夢でも見ているようだった。原因は何だったのだろう。チェックして、決勝に対応して、作戦を考えて上位を目指すしかない。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

エンジニアの立場としても、いったいどうしてしまったのかという感じですね。練習走行の出だしもよく、 GT500 クラスの占有走行では 2 番手タイムが出せていましたから、セットアップもそのまま、勿論タイヤチョイスもそのままで予選に突入しました。タイヤの温めは、十分ではなかったという部分はあったみたいですが、それが原因で 3 、 4 コーナーの立ち上がりでミスしてしまって、リズムを乱してしまったのですかね。それが後を引いてしまって、タイムが出せずに Q1 を突破できませんでした。ミスの後に頑張って挽回をしてくれてはいるのですが、やはりミスが大きかった。午前中の練習走行とコンディションはほぼ同じですから、グリップが無くなるという要素はないはずなのですが、実際にはタイヤが全然グリップしてくれなかった。何故だろうと首を捻るだけですね。セッティングは、本当に占有走行の状態ですから、チョイスしたタイヤが発動してくれなかった。グリップしてくれなかった。それだけですね。

東條 力

チーフエンジニア

午前中(練習走行)は良かったのですが、午後(予選)になったら遅くなってしまった。同じパッケージ、ブリヂストンタイヤとの組み合わせのパフォーマンスがよくなかった。予選で弱かったということですね。タイヤが発動しなかったということですが、タイヤのレンジとしてはその中にハマっていたので、タイヤをうまく使えるセッティングをすることができなかった。決して悪いタイヤをチョイスしてはいないので・・・。 3 、4コーナーでハーフスピンしなかったら、 Q1 はギリギリ突破できたのではないかと思いますが、その先はどうか。フロントグリッドは奪取できなかったでしょう。ポールポジションのSupraの19号車は、もてぎで行われた、ヨコハマタイヤさんのテストが、我々よりも直近で行われたことにメリットがあったのかもしれませんね。決勝は、今日のように路面温度が高めという予想が出ているので、37号車にとっては良いと思うのですが、予選のパフォーマンスを見ると、それでもどこまで追い上げることができるか、楽なレースではないのは明確ですね。

山田 淳

チーム監督

今回の予選低迷の一番大きな原因は、タイヤが発動してくれなかったことですかね。コンディションは練習走行の時とほぼ同じで、セッティングも変えていない。サッシャのミスはありましたが、それを差し引いても Q1 を突破出来るかどうか微妙だったわけですから、タイヤのグリップ不足。どうしてなのか、ちょっと不思議ではありますね。アタックを終えて帰ってきたタイヤを見たらトレッド表面は、スクラブ(皮むき)した後のような状態でサラッとしていました。あれを見ると路面をしっかりと掴んでいたとは全く思えませんでした。路面温度はある程度高かったので、それに合わせる温度管理がうまく行かなかったのかな・・・。スタートポジションは後方なので、かなりストラテジーを綿密に考えて、ポジションアップを狙わなければならないですが、もてぎはアクシデントが発生する可能性もあり、それがウチにとって良い方向になってくれれば良いと思っています。

舘 信秀

総監督

練習走行、特にGT500 クラスの占有走行帯の状況を見ていれば、当然ポールポジショ ンに近い結果が残せるのではないかと思っていた。セッティングも、タイヤのチョイスも、そしてドライバーも占有走行時と同じサッシャで行ったが、なんと Q1 敗退。これにはビックリした。走っていたサッシャ自身もビックリだったらしいが、タイヤが全然グリップしてくれずにハーフスピンみたいなことにもなってしまったらしい。いったいどうしてこんなことになってしまったのか、狐につままれたみたいだ。ドライバーだけではなくて、エンジニアも監督もどうしてだか、分からないというのだから、どうしようもない。何かタイヤが発動しない理由があったはずだから、それを究明しなくてはならない。それにしても、路面温度もほぼ同じだったというから、これまたなぜ?という気持ちになってしまう。決勝へは気持ちを切り替えて、順位アップ。出来るだけ上位を狙いたい。

決勝:レース内容

予選日と同様、好天に恵まれた決勝日は、気温/路面温度共に上昇して、TGR TEAM KeePer TOM’S 37号車にとっては嬉しいコンディションとなった。チョイスしているスタートタイヤとのマッチングの良さは、直前のウォームアップの時点で確認できていた。予選上位のマシンがペナルティでグリッド降格となり、11番手から決勝をスタート。序盤から順位アップすることに成功して10周までに7位へ上がっていた。しかし、9周目にGT300クラスのマシンと接触し、押し出す形となってしまった。この接触に対してドライブスルーペナルティが科せられ、14番手まで後退。そこから再び追い上げて10位まで挽回したところでレースを終えた。

●サッシャ・フェネストラズがスタートドライバーを担当した。

●11番手から1周目で3台をパスしてホームストレートに帰ってきた。その後、もう一台パスして7位まで順位を上げた。

●7位に上がった周で、後ろから迫ってきていたGT-Rの3号車がイン側に入って来た際、外側にいたGT300クラスのマシンと接触。GT300クラスの65号車がコースオフしてしまった。

●この接触によってドライブスルーペナルティを受けて。14位まで順位を下げてしまった。

●30周してドライバー交代。その時点でGT500クラス最後尾(14位)まで順位を下げてしまった。

●そこから順位を挽回し、57周目には10位までポジションアップを果たした。

●10位=1ポイントを獲得して最終戦を迎える。

Driver Race
Result
1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
平川 亮 P10 1’40.510
サッシャ フェネストラズ 1’41.295

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

レースの序盤は良かったですね。全体的にペースがとても良かっただけに、この結果はすごく悔しいですね。セカンドスティントのタイヤをどうしようかチームと検討をした結果、スタートと同じタイヤで行ったのですが、全く問題はなくて、速さも確実にありました。だからなおさら悔しい結果ではあります。最終戦までは、少し時間がありますので、チームと話し合って最終戦の対策を練って、昨年ものすごく悔しい思いをしている分、勝って良い気分で今シーズンを終えたいと思っています。富士ではまた、 NSX 勢との戦いになるでしょうし、他の Supra も速いと思いますので、その中で勝って、締めくくることができれば良いと思っています。

サッシャ フェネストラズ

37号車ドライバー

本当に申し訳ない。全て自分のミスだった。マシンの調子もタイヤの状況も良かったのに、GT300 クラスのマシンと接触してしまった。接触した 65 号車のチームにも申し訳ないことをしてしまった。後ろに居た 3 号車の GT R がかなり接近してきていて、パッシングしようと攻めてきていた。ミラーを見ていた時に GT300 クラスの集団も一緒にいて、接触してしまった。それによってドライブスルーペナルティを受けることになってしまった。あれがなかったら、上位進出の可能性もあったと思う。復帰して 2 戦目ということは言い訳にならないと反省している。今回のようなミスは二度と起こさないようにしっかりと学ばないといけない。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

レースですから、無事な時もあれば今回のような接触ということもありますね。残念です。 あれがなければ、かなり調子は良かったので上位フィニッシュは確実でした。直前のウォームアップの状況も良かったので、セッティングの変更も必要なく、若干アジャストしただけで、路面温度も高かったですし、そのままスタートして順位もアップできていました。ペナルティを受けましたが、結果として 10 位でフィニッシュできているので、マシン的には良かったという評価ができます。一番悩んだのは、亮のセカンドスティントをどのタイヤでいくかということでした。最終的にスタートしたタイヤと同じものをセットして送り出しました。それも好判断だったと思います。次戦は富士の最終戦。後半戦に入って、決勝で結果を残せていないレースが多いので、富士ではなんとか一矢報いたいと考えています。富士はノーウエイトですし、 Supra は富士で速く、第 2 戦では表彰台も獲得できています。コンディションはかなり違いますが、ブリヂストンさんも強いですから、目指すは優勝です。最終戦で勝って今シーズンを締めくくれたら良いと思っています。

東條 力

チーフエンジニア

実に惜しかったレースです。接触というアクシデントがどれだけの犠牲を負うかということを、あらためて実感するレースでしたね。コンディションとしては 37 号車にとてもマッチしていました。序盤の順位アップをご覧いただければそれがわかります。サッシャのドライビングにもキレがありました。しかし、 GT300 のトラフィック対応中のアクシデントでペナルティを科せられて、そこまでの展開が一転してしまいました。こちらにダメージがなかったことは不幸中の幸いですが、 65 号車には申し訳ないことをしてしまいました。ポールポジションを獲得した 19号車は順位を下げましたが 2 位フィニッシュしています。それと同じか、それ以上のパフォーマンスを 37 号車は持っていたと思います。最高尾まで下がっても亮が 10 位まで順位を挽回できています。序盤の状況のまま、アクシデントがなければ、表彰台には立てていたでしょうね。悔しい結果となった、第 7 戦でした。この悔しさを最終戦で晴らしたいですね。富士に対して Supra とブリヂストンタイヤともマッチングは良いと思います。勝つチャンスは十分にあると考えています。

山田 淳

チーム監督

サッシャのスタートから接触までの周回は、素晴らしかったですね。路面温度が高めだったので 37 号車にとっては、最高のコンディションでした。そこまでは最高の展開だったのですが、 GT300 のトラフィックの中で接触が起きてしまった。 65 号車には申し訳ないことをしてしまいました。サッシャ自身も深く反省しています。あの接触がなかったら少なくとも 4 位、いや、表彰台に立つことはできていたのではないかと思います。復帰 2 戦目で感覚は戻ったと思っていたのですが、まだ少し戻っていない部分があるかもしれません。それだけ、現在の SUPER GT は難しいカテゴリーであると言えます。ドライブスルーペナルティとドライバー交代のピットインで最後尾まで下がり、そこから亮が頑張ってくれて 10 位まで挽回して、 1 ポイントを獲得して終えました。最終戦の富士は、 Supra は速いと思います。一昨年、富士でチャンピオン争いの末に悔しい思いをしているので、そのリベンジのつもりで勝ちにこだわって乗り込みます。

舘 信秀

総監督

好調だっただけに、接触でペナルティを科せられるという最悪の結果になった。復帰 2 戦目という理由は付けられるが、それで片付けたのでは彼のためにならない。プロドライバーとしてこれから活躍するために、今回の大きなミスは勉強になっただろう。ドライブを終えて、ミスしたことを詫び、萎縮していたサッシャを見ると可哀想になったけど、そこはきちんとミスはミスであることをはっきりと伝えた。スピードがあり、才能もある若きドライバーであるから、今回の接触を反省して次に活かしてほしい。一方の亮はさすがだ。最後尾から着実に順位アップを果たしてくれた。予選は思いもよらぬ不調。サッシャのミスもあったが、トータルのパフォーマンスは、表彰台を獲得できるものがあったと思うので、惜しいミスだった。 37 号車にはチャンピオン獲得の権利は無くなっているが、最終戦では優勝を目指して今シーズンの有終の美を飾ることを目標としている。

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