SUPER FORMULA 第6戦 レースレポート

開催
サーキット
ツインリンクもてぎ(4.801km)
日時 10月16日(土) 10月17日(日)
来場者 3,600人 4,700人
天候 雨のち曇り・ハーフウエットードライ 曇り時々晴れ・ウエットードライ
気温 20-21℃ 14-14℃
路面温度 23-24℃ 17-19℃

予選:レース内容

全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦は、第5戦と同じツインリンクもてぎで開催された。コロナ禍によるグローバルなレースシリーズのカレンダー変更のために、世界耐久選手権シリーズと開催が重複し、欠場せざるを得なかった中嶋一貴が開幕戦以来Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 36号車のステアリングを握った。毎戦激戦の国内トップフォーミュラシリーズに約6ヶ月振りに復帰した。中嶋にとって今年初のツインリンクもてぎでの予選は、セットアップに苦しみ、不安定な天候も合間って、12番手という結果に終わった。前回の同コースで予選4番手タイムをマークしている37号車の宮田莉朋(エンジン交換によって14番手グリッドからスタート)も、15番手と低迷。決勝の追い上げを期する予選結果となった。

 

●午前中のフリー走行でKuo VANTELIN TEAM TOM’S の2台は、セットアップを修正しながら走行を繰り返した。しかし、思うようなタイムの改善ができないでいた。  

●フリー走行の終盤に雨が降り始め、セットアップの最終確認をする段階でコースコンディションが変わってしまった。セットアップの確証を得られないまま予選を迎えることとなった。

●Q1、Q2の予選は、2グループに分かれて行われ、中嶋がAグループ、宮田はBグループで予選を開始した。

●Q1は、各グループ上位7台がQ2に進出。中嶋は、7番手でQ1を突破した。宮田は0.039秒及ばずQ1で敗退してしまった。

●Q2になって、時折雨が降り始めた。中嶋はセッション中に雨が止み、コンディションが好転すると予測しスリックタイヤをセットしてコースインするも、雨は降り続けタイムアップはならず、Q2で敗退。Q3に駒を進めることはできなかった。

●宮田は、第5戦まで全戦で唯一Q3に進出していたドライバーだったが、その記録が、今回で途切れてしまった。

DriverCar No.Q1Q2Q3
中嶋 一貴36A P7 1’31.900A P6 1’53.159
宮田 莉朋37B P8 1’30.748

予選:ドライバー・エンジニアコメント

中嶋 一貴

36号車ドライバー

6ヶ月ぶりですか。初戦の富士でしか今年は走れていませんから、今シーズン初のもてぎですね。走り出し、フリー走行は持ち込みのニュータイヤでコースインして、感触はそれほど悪くなかったのですが、他車がニュータイヤで走り始めるとタイムの伸びがすごく良くて、ライバルたちに比べると思うように順位は上がってくれませんでした。セッションの最後には雨が降り出してしまった為、確認したいことが確認できないまま予選に突入する事態となってしまった。Q1でアタックに入ろうとした時に赤旗で中断になり、残り3分で再開されたので、ワンアタックで決めないといけない状況でしたが、タイヤのウォームアップも十分ではない中、幸いにも突破できました。パフォーマンス的にはQ1で敗退してもしょうがない状況だったと思います。Q2はスリックタイヤでコースインしましたが、予想以上にコースが濡れていた。雨が止めばドライになってくれると思いスリックタイヤのままステイアウトしたのですが、止みませんでしたね。12番手ですから厳しい決勝になります。明日はドライの予報ですが、その前にドライセットが確認できるかどうかが問題ですね。頭が痛いです(笑)。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

フリー走行の走り出しは、前回(第5戦)よりは良かったのですが、そこからセッティングを変えても今回は改善されなかった。前回はセッティングを進めればその分良くなったので、今回もプログラムに従って色々とセッティングを変えてもらったのですが、上手くいかなかった。第6戦を迎える前に、チームやエンジニアさんと話し合って、どう戦うかを決めてきたのですが、それが良い方向へ進んでくれなかった。ベースセッティングから変更していくことで改善できるという思いが強かったかもしれません。結果的に変えたことが悪くなってしまったので、この結果になってしまいました。セッティングの問題だけではなく、ボク自身のミスもあったので、そのミスがなければQ1は突破できていたと思います。その点は申し訳なかったです。しかし、Q1を突破できたとしても、トヨタエンジン勢のトップと同じパフォーマンスが出せたかというと、それは無理だったかなと思います。一貴さんもボクと同じような症状が出ていたみたいなので、チーム全体としてこれを改善できるように、今後は予選でのパフォーマンスをアップできるように頑張らないといけないと思っています。前回は、14番手から8位まで追い上げたので、同じように追い上げます。

大立 健太

36号車エンジニア

約6ヶ月振りの一貴さんのドライブは、フリー走行セッションの始まりからニュータイヤで走り出して、序盤はある程度のタイムが出て悪くはないと思っていたのですが、コースコンディションが良くなるにつれて、コーナーのミドルから出口までアンダーステアが続いてしまうような状況が出てしまっていました。そして、ユーズドタイヤで走り出したマシンたちのタイムが伸びてきて、セットアップを変更して対処してみたのですが、あまり上手く行かず、セッション最後には雨が降ってきてしまって、セッティングの確認をすることができないまま予選を迎えることとなりました。Q1では、思いのほかタイヤのグリップが得られず、それでもなんとかQ2へ進出することができました。そしてQ2は、霧雨で路面が濡れていたのですが、雨が止めば乾くだろうという予測でスリックでコースイン、乾くという望みを最後まで持っていたのですがダメでした。明日は午前中のフリー走行時は雨、午後にはドライになる予報のようですが、そうなるとどうセッティングを進めれば良いか、見当がつかないですね。後方からのスタートなので、作戦面でなんとか順位を上げたいと考えています。

小枝 正樹

37号車エンジニア

走り出しの状況としては悪くはなかったと判断しています。しかし、そこから上手い方向へ転がってくれなかった。バランスをとって、それが良かったというところまで持っていけなかった。バランスは悪くはないが、グリップがあまり良くない。それは何が原因なのか、ハッキリと掴みきれなかったまま予選が終わってしまった。当然雨がパラつくコンディションが要因でもあると思われますが、前回のもてぎでは予選で良い感触を掴んでいたので、そのイメージが強く、それを引きずり過ぎて、かえって悪い方向へ進んでいってしまったのかという反省点があります。フリー走行の最後で雨が降り始めて、最終確認ができていなかった。予選でアタックをかけた時も雨が少し降っていた。そのコンディション下で確実性のない中で送り出さなければならなかった。状況の分析と反省は必要ですが、結果は出てしまっているので、そこからどう追い上げるかを考えています。前回は、14番手から8位まで追い上げましたから、今回もポイントは獲得できるようにセットアップと作戦を考えます。

東條 力

チーフエンジニア

良くないですよね。2台ともに中段以下だし、莉朋はQ1を突破することもできなかった。コンディションが不安定であったという理由付けができないでもないですが、それはウチだけの問題ではなく、全てのチームに共通のコンディションですから、今回はウチの実力がトータルで低かったということですね。フリー走行の走り出しは悪くなかったと思っていたのですが、そこからの伸びがなかった。そこでセッティングを変えてトライするわけですが、持ち込みの状態、ベースのセッティングが良くなかった。その時点ですでにアウトです。セッティング変更で良い方向に持って行けることもありますし、難しいコンディションを味方につけることもチームの力ですから。その点を分析して、どのような状況でもちゃんと上位へ進めるようにしなくてはなりません。決勝に向けてなんとか良いセッティングを見出して、少なくともポイントゲットできるようにしたいと思います。しかし、明日の朝のウォームアップは雨、少なくともウエットでしょう。そして決勝は曇りか晴れでドライと予測されるので、かなり難しい状況です。現時点では「早めのピットインで追い上げます。」としか言えません。すみません。

舘 信秀

チーム監督

全く不本意な予選結果だった。宮田は前回の第5戦、同じツインリンクもてぎで4番手のタイムを叩き出していたわけで、コンディションは違うが、当然同じように上位グリッドを獲得してくれるだろうと思っていたが、Q1敗退とは思ってもみなかった。ガレージで行ってきた持ち込みのセットアップが外れていたということなのだろう。そして一貴が初戦以来、半年ぶりにスーパーフォーミュラのコクピットに収まった。フリー走行の走り出しは悪くないかな、そこからどれだけタイムを伸ばしてくれるかと楽しみにしていたのだが、意に反して下位に低迷するという状況だった。一貴くらいのベテラン、そしてグローバルに活躍しているドライバーでも、久々に帰ってきてポッと上位に入れるほど甘くない。スーパーフォーミュラのレベルは、それだけ高いということを改めて実感した。ドライバーのスキルだけではなく、各チームのエンジニアリングも毎戦インプルーブしている。今回の我がチームはその部分でも置いていかれてしまっていたということだ。決勝でどれだけ順位をアップできるか。少なくとも入賞圏内でのフィニッシュを目指す。

決勝:レース内容

決勝日は天気予報通りに一気に気温が下がり、午前中は雨がコースを濡らしていた。午前中のフリー走行はウエットコンディションだった。天候は午後に向けて好転すると予測されていたが、決勝のスタート時点ではまだウエットコンディション。全車レインタイヤでスタートを切った。スタート直後に晴れ間がのぞいて時折日差しが漏れ始めた。走行ラインは一気にドライアップして、35周レースの序盤にレインタイヤからドライ用のスリックタイヤへ交換するドライバーが続出。またスピン、クラッシュも続出し、レース中盤までに3回もセーフティーカーが導入された。 Kuo VANTELIN TEAM TOM’S の2台は、アクシデントに巻き込まれることもなく周回を重ね、共にポイント獲得圏内となる、中嶋一貴が7位、宮田莉朋は9位でフィニッシュした。


●36号車、37号車共にスタートでは反応良く数台をパスして1コーナーに進入。しかし、グリッド中段以降が混雑する中で接触を避け、1周してみるとスタートポジションをキープしていた。

●1コーナー方向は青空が見え始め、数周すると走行ラインはどんどんと乾き始めた。

●宮田は8周してピットイン。レインタイヤからスリックタイヤに交換してコースに復帰した。

●10周目に1台がスピンしてグリーン上にストップしたために、セーフティーカー(SC)がコースイン。そのタイミングで中嶋が10周してピットロードに向かった。

●宮田はタイヤを交換して以降、順位アップを狙っていた時に最初のSC導入となってしまい、順位アップならず。3台がピットインせずにステイアウト。12周目に1台がクラッシュして2度目のSC導入でその3台がピットインして順位を下げ、それに乗じて中嶋、宮田共に順位アップ。宮田はその後に1ポジションアップしてフィニッシュした。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
中嶋 一貴36P7 / 1’32.462
宮田 莉朋37P9 / 1’33.505

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

中嶋 一貴

36号車ドライバー

難しいコンディションの中でやるべきこと、できることはやれたかなという感じですかね。スタートで詰まってしまって、1コーナーで行き場がなく押し出される状態になり、イン側に入ってきたマシンに抜かれ、でもすぐに抜き返してという混雑した1周目でしたが、後方からのスタートではそうなりますね。莉朋のように早めにピットインをしたドライバーもいたのですが、どうだろうと思っていたら、その直後にSCが入ったのでピットイン、スリックに交換しました。そのタイミングはとても良かったかな。ステイアウトしている3台がいて、その分ポジションアップ。それとリタイヤしたマシンがいて、ポジションアップはそれだけですね。コンディションが変化して、難しい中で最後までちゃんと走れて、ポイントを獲得できたのは大きかったですね。コース、ラインが乾く毎にスリックのグリップは上がって行きました。ペースも決して悪くはなかったと思うのですが、上位陣と比較すると劣っていただろうし、それはフリー走行、予選の状況と変わらなかったですね。週末を通してペースが足りなかった。次戦は出られないですが、今後の課題として、なんとかしなくてはなりませんね。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

スタートは良く、一貴さんの後ろまで順位を上げられたのですが、その先で行き場を失い、順位が下がったのは残念でした。後方からのスタートですから、早めのピットイン作戦だったのですが、ボクがピットインした直後にSCがコースインし、皆もピットインしたので、追い上げの作戦ができなかった。あれがなかったら順位はかなり上げられたのではないかと思っています。ちょっと運がなかったかな・・・。スリックに変えて、最初だけではなくて、最後までグリップが得られなかったので、ボクだけワンランク硬いタイヤなのではないかというくらいの印象でした。ワンメイクなので当然そんなことはないのですが、本当にグリップしてくれなかったです。次戦の鈴鹿まで時間はそれほどありませんが、その原因は何なのかをチームと話し合って、対処したいと思います。でも、決勝直前8分間のウォームアップではトップタイムを出せているので、マシンのセットアップの方向性は間違っていなかったと思います。ルーキードライバーとして全戦でポイントを獲得していますが、今回の1-2はルーキーなので、最終戦では負けないように、マシンとボク自身のレベルアップを目指します。

大立 健太

36号車エンジニア

ピットインのタイミングは良かったと思います。一貴さんが、レインタイヤのグリップが落ちてきているし、莉朋もピットインしているので入ろうかと連絡してきたのですが、周りのタイムが下がってきていたので、もう少しステイアウトしてくださいと連絡を返した矢先に、SCが入ったので、ピットインしてもらいました。コースに復帰した一貴さんから、スリックへ変えるタイミングとしてはパーフェクトだったというコメントをもらいました。スリックタイヤのウォームアップはまずまず良く、グリップの発動性も悪くはなかったと思うのですが、どうしてもフロントのグリップが薄かった。やはり、気温と路面温度が低かったので、内圧の上がりが十分ではなかったというところでしょうか。日差しが出ても路面温度が一気に上がることもなかったし、もてぎのコースレイアウト、特徴としてタイヤへの攻撃性も少ないですし、発熱させてくれないし、乾いたとは言え、ラインを外すと全くグリップしないような状況でしたから、苦しい走行になったと思います。次戦はジュリアーノと一緒に上位を目指します。

小枝 正樹

37号車エンジニア

決勝直前の8分間ウォームアップでトップタイムを出すことができました。それを見てもマシンの状態は悪くなかったと思っていますが、周りのマシンたちがどのような状況だったかはハッキリとはわかっていないので・・・。でも決勝に向けての好材料になりました。ドライとウエットでは話が違うのですが、ウェットが速いドライバーはドライでも速いので期待していたのですが、スリックに履き替えて以降もグリップが得られない、内圧も上がってくれないという状況で、それがどうしてなのか?これから細かくデータを見てみないと分からないですが、ウォームアップではトップだったので、マシンに問題が無かったとすればタイヤなのか?と考えられるのですが、ガレージに帰って分析します。順位は上げられてポイントもなんとか取れました。今回はまず予選から出遅れてしまったので、次戦は予選から上位、決勝でも上位ということを目標にして頑張るしかないですね。

東條 力

チーフエンジニア

2台ともにポイントゲットできたのは良かったと思います。後方からのスタートですから基本的には早めのピットイン作戦でしたが、それもコースが乾く時を見計らってというものでした。ちょうどその辺りでSCが入って皆がピットイン。その前に莉朋はピットインしていたので、彼はその作戦で順位を上げられなかったのですね。一貴は、SCのタイミングでピットインして、3台がステイアウトしてくれて、その分ポジションアップできました。莉朋は、スリックタイヤとのマッチングが良くなかったようですね。その症状は、予選で感じたものと同じだったようなので、その原因をしっかりと分析して次戦の鈴鹿に臨みます。一貴は次戦欠場になるので、再びジュリアーノ(アレジ)がドライブします。今回のもてぎでスーパーフォーミュラライツはシーズンが終了していますから、最終戦で彼はスーパーフォーミュラのみに集中できます。一戦ごとにジュリアーノはパフォーマンスがアップしているので、莉朋と共に予選から上位を目指して行きます。

舘 信秀

チーム監督

グリッドの後方からのスタートだったから、ウエットコンディションで少しレース内容が荒れた方が順位アップにつながるのではないかなどと考えてしまった。違った意味で、今回の決勝は荒れた部分もあった。スタートはレインタイヤ、そしてスリックへとコンディションが変化して、その状況の中で順位をアップすることができた。3回のセーフティーカーの導入は、一貴にとってはプラスに働き、莉朋にはマイナス面もあったけど、何台も姿を消したマシンがあったから、順位を上げることができたというプラス面もあり、プラス・マイナス・ゼロかな。しかし、難しいコンディションの中で最後まで走り続けてくれたことで二人ともにポイントゲットができた。しかし、このところ予選で2台揃って上位ということが実現できていない。残り一戦だけれど、もう一度セッティングを見直して次戦の最終戦では、気持ちよく予選から、そして決勝で二人揃って表彰台という嬉しい終わり方をしたい。一貴は、再びWECとの兼ね合いで欠場、ジュリアーノ・アレジを起用することになる。

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