SUPER FORMULA 2022 第6戦 レースレポート

開催
サーキット
富士スピードウェイ レーシングコース(4.563km)
日時 7月16日(土) 7月17日(日)
来場者 8,200人 13,900人
天候 雨・ウエット 曇り時々晴れ・ドライ
気温 22-22℃ 27-26℃
路面温度 24-24℃ 37-35℃

予選:レース内容

今年は記録的な早さで梅雨明けしたが、 2022年全日本スーパーフォーミュラシリーズ第6戦を迎えた富士スピードウエイは梅雨が戻ってきたかのような天候だった。午前中の練習走行は曇り、ハーフウエットコンディションから始まったが、すぐに雨が降り始め、雨足が強くなったため、赤旗が提示され一旦中断。再開されたが、90分間予定されていた走行時間帯は、終了10分前にセッションの終わりが告げられた。午後の予選は、雨が強まる予報を考慮して、Q1、Q2の予選方式ではなく、30分間のワンセッションで、全車両が走行してタイムを競う計時方式とされた。小雨のもと開始された予選は、序盤が最もコンディションが良かったが、徐々に雨の量が多くなり、結局3回の赤旗中断の後に予選は終了。ジュリアーノ・アレジは、14番手。宮田莉朋は、電気系トラブルでストップしたことが2回目の赤旗の原因と判定され、全タイムが抹消されてしまった。

●予選開始の約1時間前に、予選方式の変更が通達された。全車両が30分間の1セッション中に随時タイムアタックする計時予選方式となった。
●予選開始以降に降水量が増える予報があり、セッションの開始とともに全車がコースインしてアタック。宮田は早々に7番手タイムを記録していた。
●午前中のフリー走行では1分36秒台のタイムを記録していたアレジだったが、雨量が増し、コース上の水の量が異なるコンディションの中、39秒台からタイムアップができないでいた。
●1度目の赤旗中断後にコースインし、再度アタックを試みていた宮田は、雨量が少なくなった時にフレッシュなレインタイヤに交換してコースイン。しかし第3セクターに入ったBコーナーで突然エンジンが停止しコースサイドにストップ。これによって再び赤旗が提示されてセッションが中断。電気系のトラブルという不可抗力でのストップだったが、赤旗提示の原因となったために宮田は、最後尾からの決勝スタートが決定した。

DriverCar No.
ジュリアーノ アレジ3614 1’39.330
宮田 莉朋37No Time

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

練習走行ではセッティングを変え、マシンはどんどん良くなった。特にトラフィックが無い状況では思うようにタイムがアップしていった。しかし、予選では全然グリップを感じられなくなった。セッティングの幅がすごく狭いのはわかっているけど、その狭いスイートスポットから外れてしまったのだろうと思う。スーパーフォーミュラは全てのドライバーの実力が拮抗しているから、セッティングが少しでも外れてしまうと、一気に順位が下がってしまう。決勝のコンディションは全くわからないけど、できるだけポジションを上げてフィニッシュできるように頑張るしかない。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

Bコーナーでアクセルを踏み込んでも全く反応がなくて、エンジンが止まってしまった。レインタイヤのピークグリップは2周目だったので、交換した方が良かったと思います。それまで早めにタイヤを変えてアタックしていました。 1分37秒台まで出ていますが、あの時点でのトップタイム、36秒台はボクには全く見えていませんでした。雨の走行の課題をクリアしたかったのですが、練習走行でも予選でも課題を残したまま終えて、赤旗の原因となってしまったので、予選が終わった段階では順位を与えてもらっていません。どちらにしても後方からの追い上げとなります。もう気持ちは、決勝に切り替えています。

大立 健太

36号車エンジニア

予選が始まってまもなく、ジュリアーノから全くグリップしてくれないとのリポートが入り、それがどうしてなのか、原因は何なのか・・・。練習走行の後半では、フルウエットになりそうだったのでセッティングを変えつつ、予選に向けても雨の量は多くなるだろうと想定して臨んだのですが、その変更が予選の状況にマッチしなかったのかも知れません。はっきり言って、どうしてグリップが良くなかったのか本当に悩んでいます。路面の水量は違いますが、練習走行では1分36秒台にまで行っているので、データをよく分析してみて、原因を見つけ出します。

小枝 正樹

37号車エンジニア

エンジンが突然カットされたと言いますか、Bコーナーの立ち上がりでエンジンが吹けなくなったと無線が入って、エンジンストップしたそうです。トラブルが検知されて、止まったのでしょうが、チェックしてみないとわからないですね。その時点でトップのマシンとは差がありましたが7番手。ストップする前は、雨の量も多くなってきていたし、セクター2でタイムアップできていなかったので、どうしようかと考えていたのですが、その前に止まってしまいました。莉朋がこのような状況で走行するのは初めてなので苦戦しましたが、決勝のコンディションもまた難しそうなので、頭を悩ませています。

決勝:レース内容

富士スピードウエイがある静岡県内では、各地で大雨や災害の注意報が発令されていたが、当日は朝からドライコンディションでスケジュールが進行された。前日のウエットコンディションからドライコンディションへのセッティング変更を午前中の練習走行でセットアップして、午後の決勝へ臨んだ。14番手グリッドからスタートを切ったジュリアーノ・アレジ、最後尾からスタートした宮田莉朋の2台は共に、スタート直後の1コーナーで起きたアクシデントに巻き込まれることなく、そこで順位アップすることができた。レースの半ばでピットインの義務を処理しようとしたアレジは、再スタートしようとした際にミッショントラブルが起きてリタイヤしてしまった。宮田は、2度目のセーフティーカーが導入された時にピットイン、チームの機転によって一気に順位をアップできて4位へ。ディフェンディングチャンピオンの野尻智紀選手と3位争いを展開したが、4位のままフィニッシュとなった。

●フォーメーションラップの終了時点で、一台がグリッドに着く前にコースオフしたために、スタートが遅れたと同時に、再度フォーメーションラップが行われたので、周回数は当初予定の41周から40周に変更された。
●スタート直後、1コーナーを回ったところで3台が絡むアクシデントが発生。アレジと宮田はアクシデントの影響を受けること無く、ポジションを4つずつ上げた。
●3周目に2台の接触によって、サッシャ・フェネストラズ選手がクラッシュしてマシンが大破したために、最初のセーフティーカーが導入された。この時点でアレジ9位。宮田14位。
●10周を過ぎて各車がピットイン、タイヤ交換を行い始め、アレジは5位まで上がり、20周を過ぎてピットイン。しかし、再スタートしようとした時にミッションのギヤを破損してしまい、コースインすることなくそこでレースを終えてしまった。
●4位まで順位を上げていた宮田は、終盤までピットインを遅らせる作戦をとった。2回目のセーフティーカーが導入された時にピットインし作戦成功。4位を維持したまま鮮烈にコース復帰。その後、野尻選手との3位争いを展開したが4位でフィニッシュ。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
ジュリアーノ アレジ36R /1’25.644
宮田 莉朋37P4 / 1’24.824

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

どのような状態でミッションが作動しなくなったのか、チェックしてみないとわからないけど、シングルフィニッシュの可能性が高かっただけにとても残念。雨の予選は難しかったし、明けて決勝日はドライだったので、セッティングを変えて、その状況でどれだけ頑張れるかはわからない部分が多かったけど、状況は悪くなかったし、作戦もとても良かった。ピットインのタイミングもドライでのマシンのフィーリングはとても良かったので走行を続けられたらトップグループと同じようなタイムで周回できたと思う。今回はそれだけのポテンシャルがあっただけにフラストレーションの残る結果だった。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

最後尾からのスタートだったので、セッティングはリスキーでしたがローダウンフォースにしていました。結果的にラッキーでしたが、チームの作戦と判断がとても良かったと感謝しています。ドラッグが少ないセッティングのおかげで、ストレートは速いのですがセクター2、3ではコーナリングスピードが上げられない状態だったので、野尻選手とのバトルでは苦戦を強いられました。今大会は予選のウエット、決勝では後方からの展開を経験し、学ぶべきことが多かったし、新たな課題も発見できた。残りの4戦で課題の改善、良い点は活かして予選で上位につけること。そして決勝ではできるだけ多くのポイントを獲得したいと思っています。

大立 健太

36号車エンジニア

予想以上に展開が良くて、完走できれば7位ぐらいでフィニッシュできたかと思っています。確実にポイントを獲得できたと思うので、残念なリタイヤとなりました。もう少しピットインのタイミングを引っ張りたかったのですが、タイヤの消耗が思った以上に早く、タイムもダウンしていたので、予定より早くピットインしました。ピット作業時にたぶん1速を壊してしまって、ギヤが完全にスタックしたのだと思われます。一歩一歩ですが前進はしているので、次戦では結果を残したいと思っています。

小枝 正樹

37号車エンジニア

できるだけ順位を上げなくてはならないので、セッティングはストレートで順位を上げられるよう、ダウンフォースを削る方向です。他のマシンのアクシデントにより、順位を上げられましたが、その後あまりタイムが伸びなかったので無線で状況を聞くと、前のマシンとの状況を考えてタイヤをあまり酷使しないようにセーブして走っていると言っていました。前が開けてタイムは上がったし、そこでペースアップしてもらおうかと思っていたところで、2回目のセーフティーカーが入ったので、ピットインしてもらい、順位を落とさずにコース復帰できたのはラッキーでした。3位になって欲しかったですが、さすが野尻選手でしたね。しっかりと抑えられてしまいました。

舘 信秀

チーム監督

莉朋はラッキー、ジュリアーノはアンラッキー。2台ともにシングルフィニッシュが期待できる展開まで行っていたので、悔しさも残るレースだった。サッシャがクラッシュした時には体が心配になるほどに酷いクラッシュだったが、大事はなかったようだ。SGTの次戦では頑張ってもらえそうだ。欲を言えば、莉朋にはディフェンディングチャンピオンの野尻選手をパッシングしてくれたら最高に嬉しかったけど、さすがに野尻選手は簡単にパスさせてはくれなかった。シリーズも後半戦に突入して、2連戦のイベントが続く。ここでチームと両ドライバーの頑張りを見せなくてはならないと思っている。

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