SUPER GT 第2戦 レースレポート

開催
サーキット
富士スピードウェイ レーシングコース(4.563km)
日時 5月3日(月) 5月4日(火)
来場者 未発表 未発表
天候 晴れ時々曇り 曇り時々晴れ
気温 16-16℃ 21-16℃
路面温度 24-26℃ 35-23℃

予選:レース内容

開幕戦の岡山国際サーキットで壮絶なトップ争いを演じたTGR TEAM au TOM’S 36号車は、ポイントランキング2位で第2戦の富士スピードウェイに乗り込んだ。多少涼しさはあるが、5月らしい澄んだ天候の下で予選が行われた。このラウンドから獲得したポイントによってサクセスウエイトが積まれることとなる。まだウエイトによる大きな影響はないものの、全く影響がないわけではない状況を加味してセッティングを進めた。参加する6台のSupraが順調な滑り出しを見せる中、Q1では3番手、ポールポジションをかけたQ2では4番手を獲得。2列目のスターティンググリッドから500km、110周の決勝をスタートすることとなった。

●開幕戦で15ポイントを獲得。ポイントに対して2倍のサクセスウエイトが計算され、30キロを搭載。
●坪井 翔がQ1を担当してコースイン。坪井は、1分27秒220を記録。Q1のトップタイムから僅か0.44秒という僅差の3番手でQ2進出を果たした。
●Q2を関口雄飛が担当。
●ウォームアップを終えて予定通り5周目にアタックして1分27秒0まで詰めた。結果として4番手となったが、前の3台は全てサクセスウエイトが軽い車両ばかりとなっていた。
●今シーズンから獲得ポイントによって与えられれるウエイトは、名称が【サクセスウエイト】に変更された。

DriverQ1Q2
関口 雄飛P4 1’27.081
坪井 翔P3 1’27.220

予選:ドライバー・エンジニアコメント

関口 雄飛

36号車ドライバー

自分なりには納得できる予選でしたし、マシンの感触もすごく良いです。同じSupraで岡山で優勝した14号車の前にいるので良かったです。今回ポールポジションを獲得した同じSupraの19号車ですけれど、あれはかなり速いですね。ちょっとあのタイムは我々には出せない。19号車のポールは、自分があのチームに所属していた時にタイのブリーラムで獲得して以来だったので祝福に行ってきました。今日の予選でドライブした感触では、今回リヤセクションの感触がすごくしっかりしてくれている、決勝日は路面温度がかなり上がりそうですから、リヤが安定していてくれるのは強みだと思う。他車は、路面温度が上がるとかなりキツくなると思う。だから、決勝にはすごく自信があります。当然路面温度が上がれば、こっちにも影響はあると思うのですけれど、他のマシンよりもタイムの落ち幅は少ないと思うので、自信があります。

坪井 翔

36号車ドライバー

朝のフリー走行からかなり調子が良くて、Q1は問題なく突破できるかなと思っていましたけれど、ホンダさんや日産さんがどのくらいのパフォーマンスなのかがわからなかったので少し不安はありましたが、フタを空けたらSupra勢が皆速くて凄いなって思いました。うちもそうですが、サクセスウエイトを積んでもSupraが速かったので少しびっくりしました。やはり富士とSupraは相性が良いのかなと思いつつ、自分の予選Q1では良いところ、悪いところがあったのは事実です。もう少し頑張れるところもあったので、安全に行きすぎたかな。もう少しタイムアップできたかな。Q1トップのSupra14号車とはタイヤの選択が違ったと思うので、同じようなタイヤ選択をしたSupraの中ではトップだった。そして関口選手が良い走りで4番手のグリッドを獲得してくれました。Supraの38号車に僅差で負けてしまいましたけれど、サクセスウエイトを考えればしようがない。2列目のグリッドですから優勝の可能性は十分にあるし、決勝を見据えたフリー走行のロングランがとても良いので決勝が楽しみです。

吉武 聡

レースエンジニア

サクセスウエイトの30キロを積んでこの結果ですから、良い結果であると評価しています。練習走行の走り出しから調子は悪くなかったので、大きなセットアップ修正は行いませんでした。バランスの微調整を行う程度で予選を迎えることができました。予定通りに2セットの異なるスペックのタイヤをチェックして、両方ともに良い感触を得ています。4番手、2列目のグリッドからのスタートです。決勝の天候、路面温度の変化は実際にどうなるかはわからないですが、500kmレースで最終の第3スティントで気温と路面温度が下がってきたとしても、チョイスしているスペックのタイヤとのマッチングが良いので、コンディション変化にも問題はありません。極端に気温が高くなるとまた話は違ってしまいますけれど、今日のコンディションからの推移であれば、問題は無いと思います。

東條 力

チーフエンジニア

36号車、37号車ともに上位で予選を終えることができました。どちらかというと36号車の方が走り出しから順調にセットアップが進んでいたという状況でしたね。そして、Supra 6台が全てQ2に進出したというのは素晴らしいことですよね。そしてポールポジションを獲得した19号車は、トムスでSuper Formulaをドライブしている宮田莉朋がQ2を担当した。速かったですね。36号車は、予選を終えて十分に優勝を狙える位置に着くことができました。あとは、今回の500kmをきちんと走り切って勝たなければなりません。勝つためには、3スティントをしっかりまとめること。作戦面では真ん中の第2スティントの周回数がレース周回の3分1以上を走らないといけないので、作戦の変化というか、作戦の幅は実際にはあまりない。燃料が満タンでも50周も60周も走れるわけではないので、自ずと各チームの作戦は同じようになって来る。ですから、考えた作戦をきっちりと遂行することが一番大事ですね。

伊藤 大輔

チーム監督

4番手という予選結果はまずまずですね。30kgのサクセスウエイトを考えると上出来かな。フロントローの2台はかなり速い。ポールのSupraは速かった。うちからコンマ6秒速い。それはノーウエイトということも大きいと思います。前にいる3台は全てうちよりも軽いですから。と言ってそれを理由にしてはいけないですね。ポールは当然狙っていました。Supraの全車がQ2に進出したのはすごいことですね。そして開幕戦で優勝した14号車も含め、うちや他もウエイトをそこそこ積んでいても上位にいるというのは、本当に素晴らしい。今回はウエイトの影響もあり、選択しているタイヤがライバルのSupraと細かな点で異なっているので、それが決勝でどのような結果となるか。予選で使ったタイヤで決勝をスタートするので、その時のコンディションに合っているのかどうかが気になります。しかし、選択しているタイヤは決勝のスタートにマッチしていると信じています。決勝を見据えたロングランの調子は良いので、開幕戦で成し得なかった優勝を目指します。

舘 信秀

総監督

予選4番手というのは、サクセスウエイトを考えれば妥当と言えるのだろう。参戦しているトヨタのSupra6台全てがQ2に進出しているというのは素晴らしい。チームの総合力もあるけれど、このマシンを開発していただいたトヨタさんの力にも感謝する。そしてライバルではあるけれど、ポールポジションを獲得した19号車のSupraは、2016年にタイで行われた海外ラウンド以来のポール獲得と聞いて、毎戦ポール獲得のため、勝つために続けてきた努力が実ったという結果を祝福したい。タイヤメーカーは、うちのブリヂストンさんとライバルのヨコハマさん。タイヤメーカーとしても久々のポールポジション獲得は嬉しかったことだろう。しかし、一度コースに出たら、負けるわけにはいかない。36号車の決勝に向けた調子はすこぶる良いと聞いているので、開幕戦で勝てなかった悔しさをパワーに変えて優勝に突き進む。

決勝:レース内容

勝利は 目前だった。第一スティントから積極的な展開でトップに立ち、絶対の自信を抱いて周回を重ねていた。2年ぶりの500kmレースで予想はされていたが、一度のセーフティーカー導入、そして今回から採用されたフルコースイエロー(FCY)が3回。車両を止めることなく起こったアクシデントを安全に処理するこのシステムがTGR TEAM au TOM’S 36号車から勝利をもぎ取ってしまったと言っても良い。ゴールまで12周。今回最後のFCYが適用された際にその時点でトップを走っていた8号車のNSXが、イエローフラッグ中の追い越しペナルティを犯した。ペナルティを犯さなくてもFCYが解除されれば、36号車は8号車をパスしてトップに立つのは確実だった。しかし、加速に入った瞬間に駆動系のアクシデントが発生し、力なくコースサイドで停止する悲劇的な結末となってしまった。最速のパフォーマンスを示しながら、勝利から見放されてしまった。

●グリッドへ着く直前、最後の調整をする20分間のフリー走行でトップタイムをマーク。決勝へ向けての準備は万全だった。
●坪井がスタートドライバーを担当した。
●2周のフォーメーションラップの後にレースがスタート。1コーナーをクリアした時点で2位へ順位アップ。2周目に23号車が白煙を上げてストップしセーフティーカーが導入され、7周目にレース再開。ここで一気にトップへ躍り出た。
●1回目のFCYの後に38周して最初のピットイン。関口に交代。FCYの直前にピットインを済ませていた17号車のNSXがこの時点でトップ。36号車は2番手に付けていた。
●関口は38周をラップしてピットイン、再び坪井へ。一旦3位へポジションダウンしたが、2位に挽回してトップをいく8号車との差を毎周縮めていった。
●96周目、3度目のFCY。98周目にFCYの解除とともに加速、しかし非情にも駆動系にトラブルが発生してトラクションが失われコースサイドにストップせざるを得なかった。

Driver Race Result 1s /3s Fastest Lap 2s / Fastest Lap
関口 雄飛 P13 1’30.478
坪井 翔 1‘29.476

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

関口 雄飛

36号車ドライバー

決勝のセッティングがものすごく良いことは分かっていました。直前のフリー走行でもトップタイムが出たし、実際に決勝が始まってもすぐに坪井がトップに立ってくれた。一回目のFCY直前にピットインを済ませていた17号車が前に出ていたのですけれど、速さには全く問題なかったですね。しかし、コースインしたところが丁度GT300クラスの集団で、トップ争いをしていたので、思うようなペースで走れなかったのが辛かったです。自分のスティントで再びトップに立ちたかったのですが、とても巡り合わせが悪かったです。一度GT300クラスのマシンが直前で予想外の動きをして接触して、右フロントのカナードを壊してしまいましたが、走行には大きな影響はありませんでした。それでもなんとか2位をキープして坪井につなげることができました。本当にマシンの調子が良かったので、絶対に勝てると思っていました。最後のFCY直前で8号車が追い越しをしていて、ペナルティを受けるのは確実だった。それがなくても勝てたレースを失ってしまいました。

坪井 翔

36号車ドライバー

開幕戦は、自分の未熟さで勝つことができなかったですが、今回は絶対的な速さを見せながら走行できていたので、優勝できる自信はありました。8号車がペナルティを犯さなかったとしてもパスする自信はありました。今回から適用されたFCYが僕らの優勝を消し去ったというか、現状のFCYに対する適用の疑問もあります。FCYが解除されて加速しようとした際、駆動がかからなくなってしまって、いったい何が起こったのか分からなかったです。予選でポールポジションを獲得できませんでしたけれど、決勝のセットアップはとても良かったし、タイヤの選択もすごく良かったので、このリタイヤは本当に悔しいです。FCYがなかったら勝てましたね。こうなったら、次の鈴鹿でまた速さを再び示すしかないですね。勝って、自分たちが一番速いのだというところを見せたいと思います。

吉武 聡

レースエンジニア

マシンが戻ってきて、ガレージで細かくチェックしてみないとアクシデントの原因が何だったのかは分かりませんが、多分プロペラシャフトの破損だと思います。FCYが三回適用されて、プロペラシャフトに一番ダメージがあるエンジン回転数が何度かあって、それで破損を引き起こしてしまったということでしょう。しかし悔しいですね。勝てるレースを失ってしまいました。決勝直前のフリー走行でトップタイムを叩き出したのを見ても、決勝のセットアップは、良かったことが証明されています。ドライバー二人も絶対の自信を持っていました。関口は、コースインした場所が悪くて思うようなペースで走れなかったようですけれど、それでも2位まで上がって来てくれました。最後のFCYが空けてトップに立つのは時間の問題と思っていた、その時に起こったトラブルでした。悔しさいっぱいですけれど、気を取り直して、第3戦で勝ちたいと思います。

東條 力

チーフエンジニア

今回のレースでは36号車が一番速かった。それは、レース展開をご覧になればお分かりいただけたと思います。安全性とスムーズなレース運営を考えていただいた上でのFCYの適用だったと思いますが、それが我々にとってはアクシデントを引き起こすこととなってしまいました。しかし、他のSupraにはこのようなアクシデントが起こっていなかったということを分析して、今後対処していかなくてはならないですね。開幕戦で悔しい2位、そして今回は悔しいリタイヤと悔しい結果ばかりです。ライバルたちがサクセスウエイトをどんどん積んでくれているので、そろそろこっちも勝たなければなりません。現在の調子が維持できれば、第3戦の鈴鹿でも優勝の可能性は高いと思います。

伊藤 大輔

チーム監督

残念、これもレースという言葉で終わらせたくはないですけれど、アクシデントの発生までは予測することはできなかった。マシンのトラブルの可能性は常にゼロではないですけれど、本当に残念。勝てるレースでしたからね。直前のフリー走行でもとても調子が良くて、決勝のペースには自信があって、なおかつスタートの坪井の走りは素晴らしかったですよね。雄飛の第2スティントは可哀想な状況で、交代してコースインしたらGT300クラスの集団の中に入ってしまったり巡り合わせが悪かった。今回、第2スティントはキーポイントだったと思うのですが、そこでGT300クラスのマシンたちを抜いて来るのはとても難しい状況だった。最初ペースを落とす状況から、雄飛はスティントの後半で復活して順位をアップしてくれましたね。そして最後のスティントでは状況を見て、少し柔らか目のタイヤで順位アップするという作戦でしたから予定通り。今回FCYが初導入されて、駆動系に負担のかかる回転域で走らざるを得なかった。チームがドライバーに正しいインフォメーションを与えられていなかった部分もあり、今後は正しい対応していかなくてはなりません。

舘 信秀

総監督

なんと残酷な結果だったのだろう。チームにとっても残酷過ぎる結果だったのだけれど、一番は、なんと言ってもドライバー、それもステアリングを握っていた本人の気持ちを思うと、やるせない気持ちでいっぱいになる。しかしこれもレースだ。アクシデントでリタイヤするまでの展開は素晴らしかった。結果は残酷だけれど、悔やむ以上に次戦に向けての意欲というか、勝利へ向けての希望が漲ってくる。速さの面ではコース上で最も速かったのが36号車だった。それは誰にも疑いの余地はない。開幕戦でも勝つことはできなかったが、その速さを誰もが認めていた。そして今回も・・・。今シーズンは始まったばかりだ、この先で十分に挽回できるチャンスはある。ライバルはサクセスウエイトが重くなってきた。次戦の鈴鹿で勝って、ランキングの上位グループに加わって最終目的のチャンピオンを目指したい。

スポンサー