SUPER GT 第3戦 レースレポート

開催
サーキット
鈴鹿サーキット(5.807km)
日時 8月21日(土) 8月22日(日)
来場者 7,000人 11,500人
天候 曇り・ドライ 曇り時々雨・ドライ
気温 22-27℃ 31-29℃
路面温度 31-32℃ 43-35℃

予選:レース内容

当初5月に予定されていた鈴鹿サーキットにおける第3戦は、コロナ禍の影響で8月に延期されて行われることとなった。先に第4戦がツインリンクもてぎで開催されており、このイベントが4レース目、シーズンの折り返しとなる。前半戦でポイントを着実に加算している、 TGR TEAM au TOM’S 36号車は、サクセスウエイトが積まれて、中盤戦は苦しく、厳しい展開が予想された。また、この時期にしては予想外に気温が低く、持ち込まれたタイヤのグリップが発動しないという問題もあった。同じSupraのチームが全て予選Q1を突破できないという予想外の結果で予選を終えた。

●36号車のサクセスウエイトは52kg(実ウエイト35kg、燃料リストリクター1段階)

●予選日最初のセッション。午前中の練習走行において、坪井 翔がマシンセットアップの確認とタイヤチョイスの作業を行った。

●練習走行の終盤に関口雄飛が乗り込んで決勝に向けてのロングラップを行った。

●午後の予選を迎えた時点で、この時期の気温としては低めの27℃、路面温度も31℃と、真夏のコンディションを予想して

  持ち込まれたタイヤのレンジとしては最下域のコンディションだった。

●坪井がQ1を担当した。

●3周のウォームアップを経てアタック開始。12番手のタイムに留り、トップ8のQ2進出を果たすことができなかった。

●関口は、走行することなく予選を終えた。

DriverQ1Q2
関口 雄飛
坪井 翔P12 1’46.326

予選:ドライバー・エンジニアコメント

関口 雄飛

36号車ドライバー

Q2に進出することは出来なかったですが、全体として良い流れできていると思います。サクセスウエイトを考えると、チームも、エンジニアさんも頑張って良いマシンを作ってきてくれました。練習走行で坪井選手にタイヤのチョイスをしてもらって、その後に自分が乗って、マシンのチェックとタイヤのチェック、そしてロングランをしたが問題なかった。結構良いフィーリングなのですが、タイムがあまり上がってこないという状況ですね。それはマシンが重いのでしようがないかなと。Q1のアタックは坪井選手で、走りも良かったのですが、8番手以内には行けなかった。Supra全体が今回調子悪いですよね。気になるのは、ランキングで同点のNSX17号車がQ2に行ったこと。今回の目標として17号車には負けたくない。決勝で17号車の前でフィニッシュしてランキングで上にいきたい。結果は、結果ですけれど、自分としては、結構満足感のあった一日でした。明日の決勝は、今日よりも天候が悪いという予報もあるので、それによってどうなるかですね。追い上げて、確実にポイントを取りたいですね。

坪井 翔

36号車ドライバー

路面温度が想定よりもかなり低かったので、タイム的にはあまり良くなかったですが、持ち込んだタイヤの中でのチョイスはちゃんと行えて、間違ってはいなかったと思います。しかし、持ち込んだタイヤの温度レンジが、今日の状況に合っていなかったようですね。Supraは鈴鹿が苦手という意識は持っていなかったのですが、全てのSupraがQ2に進出できなかったのを見ると、マシンとタイヤのパッケージが今回は合っていなかったということなのでしょうか。ドライブしていてフィーリングは決して悪くないのに、タイムが良くない。他の自動車メーカーさんのマシンにどのようなタイヤが用意されているのかはわからないですが、少なくともボクらのパッケージは合っていないというのは明らかですね。マシンのセッティングは走り出しから問題なく、若干のアジャストをした程度です。ウエイトの重さを考えれば、良いアタックができたと思っているのですが、順位的にはQ1で落ちてしまったので複雑な気持ちです。決勝は天候次第ですね。気温が上がってくれれば良いですが、雨が降るならウエットで勝負した方が良いかも知れません。

吉武 聡

レースエンジニア

走り出し、練習走行では途中で雨がぱらつきましたが、大きな影響はありませんでした。しかし、タイヤの選択では、路面温度が予想以上に低かったのでソフトタイヤのチョイスしかなかった。悩むことはなかったですが、一応ハードタイヤのチェックも行っています。マシンのバランスは最初から問題なく良かったので、ほんの僅かな調整、アジャストだけで予選に臨むことができました。マシンの状況、タイヤの状況のトータルパフォーマンスは出し切った予選だったのですが、相対的なタイムが良くない。そのトータルパフォーマンスのレベルが低かったというのが現状ですね。決勝のコンディションがドライなら路面温度が上がって欲しいですね。また、雨、ウエットなら我々にも上位進出のチャンスがあると思います。テストでレインタイヤをトライしたことがあります。ブリヂストンさんのレインタイヤは、他メーカーよりも良かったので、ウエットコンディションの方が良いかなと思っています。予選結果は、マシンに問題がなくてもタイムが良くないという辛いものでしたが、決勝では確実にポイントゲットできるように頑張ります。

東條 力

チーフエンジニア

36号車は、好調に練習走行を終え、予選に臨んだのですが、サクセスウエイトの影響があるとはいえ、Q1を突破できなかった。それは、Supra全車で同じ状況でした。Supra+ブリヂストンのパッケージでクオリティーコントロールをしっかりしていたので、同じ結果になったということも考えられるのですが、結果が悪くてはしようがない。ソフトタイヤのロングラップの状況は安定していました。決勝では路面温度が上がって、グリップが発動してくれて、安定して走ることができれば、順位アップが望めるでしょう。今回は、表彰台を狙うということではなく、ポイントを争っているNSXの1号車と17号車よりも前でフィニッシュすることが重要です。例年この中盤戦は苦しい展開を強いられます。ここで耐え抜いて終盤のチャンピオン争いにつなげることが大事ですね。

舘 信秀

総監督

シリーズの折り返しとなる4戦目となると、どうしてもサクセスウエイトの影響で予選の上位進出は望めない。しかし、今回はそれに加えて気温/路面温度が予想外に低かったためにタイムが全然伸びなかった。同じSupra +ブリヂストンタイヤのパッケージのチームだけではなくて、他メーカーのタイヤとのパッケージでも予選Q1を突破することができず、全てのSupraがQ1で姿を消した。これはトヨタとしてもこの結果を分析して、今後の対策を講じていただかなくてはならないと考えている。鈴鹿サーキットの特性とSupraがマッチしていないのかどうか。決勝に向けては12番手という後方からの追い上げとなる。天候が気になるところだが、まずは、気温/路面温度が上がってくれて、タイヤがグリップしてくれなくては話しにならない。表彰台に立つことは無理としても、できるだけ多くのポイントを獲得したい。

決勝:レース内容

決勝日は気温が上昇して、路面温度もそれに伴い上昇。期待されたタイヤのグリップが増す状況になった。スタート直後から一つ順位を上げることができた。5周目にトップを走行していたマシンが、シケインでアクシデントに見舞われクラッシュ。クラッシュパッドが炎上したためにセーフティーカーが導入された。天候の変化、雨が降る予報もあり、雨雲レーダーを注視しつつピットインのタイミングを探りながら走行。ライバル達よりもファーストスティントは多く周回をした。雨雲がサーキット上空に来ないと判断してピットイン。セカンドスティントで5台をパスして、5位フィニッシュを果たした。ポイントゲット範囲内でフィニッシュできればと考えていたが、それ以上の成績を残すことができた。

●関口雄飛がスターティングドライバーを担当した。

●1周目に1台をパスして11位。その後、トップのマシンが戦列を離れたため10位にアップ。

●雨雲がレースの中盤までに上空を通過する予報があったため、ウエットコンディションとなったタイミングでピットインして、ドライバー交代、レインタイヤに交換という作戦を考えていた。

●一時的に小雨は降ったが、走行に影響することはなかった。

●セカンドスティントを担当した坪井 翔は、混戦の中で順位アップ。5台をパスした。

●途中、サクセスウエイトが軽いマシンをパスする際に時間がかかってしまった。もし、早めにパスできていたら、さらなる順位アップが可能だったかもしれなかった。

●6点を加算、トータル32点となってランキング4位となっている。

Driver Race Result 1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
関口 雄飛 P5 1’51.871
坪井 翔 1’52.281

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

関口 雄飛

36号車ドライバー

予選から良い流れで決勝に臨むことができました。セッティング的に変更する必要も無かったですし、1周目から順位をアップすることができました。すぐにセーフティーカーが導入されて、その後は集団の中で走ることが多かったのですが、無理せず燃費のことも考えながら走っていました。雨が降るかも知れないということで、ピットインのタイミングを先に伸ばす作戦もあったのですが、集団に追いついてペースが遅いマシンに抑えられる状況になったので、ピットインすることになりました。その後は坪井選手が頑張ってくれて、順位を一気に上げてくれました。何位まで順位を上げられるかというイメージは無かったのですが、5位は素晴らしい結果だと思っています。予選、決勝を通じて、良い流れの中で走ることができてチームに感謝しています。1号車に前でフィニッシュされたのですが、1号車は次戦では燃料リストリクターが2段階となる。こちらはまだ1段階で次戦の菅生に臨むことができるので、ポイントゲットできる可能性は高いです。今回のように強いレースができれば、ポイント獲得は確実だと思います。

坪井 翔

36号車ドライバー

予選の結果からすると、よく5位まで上がれたなと思うレースでしたね。決勝日は路面温度が予選の時から12℃も上がってくれて、心配していたタイヤのウォームアップですが、温度作動域に入ってくれた結果、良いレースができました。関口選手からウォームアップに若干時間はかかるけれど、温まればグリップダウンは少なくて、最後までフルプッシュできるという情報をもらっていました。雨雲レーダーによる雨の予報に翻弄されて、結果的にはピットインのタイミングを逃してしまったかも知れませんね。また、ウエイトが軽いNSXの16号車をパスするのに時間がかかってしまって、もっと早く対応できていたら、NSXの1号車に追い付いていたかも知れませんね。ピットアウトの時エンストさせてしまったのですが、どうでしょう、あれがなくても数台にはパスされてしまっていたと思います。今回の予選でSupra勢がQ1で落ちてしまい、どうなるのか心配でした。決勝では何とかパフォーマンスが回復してくれましたが、1ポイントか2ポイント取れれば良いと思っていたので、この5位、6ポイントは上出来ですね。できる限りのことができて、満足のできるレースでした。

吉武 聡

レースエンジニア

今回の予選順位では、1ポイントを獲得して終えられれば良いかと思っていたので、5位フィニッシュは上出来ですね。路面温度が上がってくれて、タイヤのグリップが良くなって、雄飛の序盤のペースも良くて順位アップしてくれました。レース中に雨が降りそうだったので、降ってからピットインさせようと思ったのですが、その前にトラフィックがあって、また雨も降りそうになかったのでピットインさせました。ピットアウトするときにエンジンストールさせてしまって、2秒はロスしてしまった。これが無かったら、また展開は違っていたかも知れませんね。また、NSXの16号車をパスすることに時間がかかってしまいました。早めにパスできていれば、1号車の前でフィニッシュできていたかも知れません。サクセスウエイト、燃料リストリクターが入っていても速かったと、ドライバーが言っていたのでタイヤチョイスとマシンのセッティングは良かったということですね。この調子を維持すれば、次戦の菅生も良いと思います。今回ランキングトップとなったNSXの1号車、同じSupraの14号車、NSXの17号車の前でフィニッシュできるように頑張ります。

東條 力

チーフエンジニア

望んでいた順位アップが出来て素晴らしい展開に持ち込めました。上出来なレースでした。しかし、NSXの1号車に前に行かれてしまったのが、本当に悔しい。1号車は、優勝に匹敵する結果だと思うので、36号車は、仮想2位というところですね。スタートの雄飛も速かった、そして坪井がどんどんパッシングをしてくれてあそこまで順位アップしてくれました。ピットイン後に集団の後ろに着くことができて、そこから順位アップしてくれたのですが、ピットの作業を終えて再スタートしようとして、エンジンストールしてしまい、1.5秒から2秒くらい、もっと長かったかな。このタイムロスが無かったら1号車の前に出られたかも知れませんね。しかし、予選の結果を思えば、5位フィニッシュできたのはとても良かった。第5戦、第6戦はまだウエイトが加算される2戦です。この苦しい戦いに耐えて、頑張ってポイントをコツコツと獲得することが重要なので、今回の好調さを維持して行きたいと思っています。

舘 信秀

総監督

予選の結果を考えれば、上出来のレース、素晴らしい結果だと思う。気温/路面温度が上昇してくれてタイヤのパフォーマンスがアップしてくれて本当に良かった。 Supra勢の中で最上位でフィニッシュできたという点も、我々のチーム力を発揮できた結果だ。関口も1周目からポジションをアップしてくれて、彼らしい戦う姿勢を前面に出してくれた。そして圧巻だったのは、坪井がどんどん前を行くマシンをパスしてくれたことだ。S字コーナーで並走しながらアウト側からのパッシングは素晴らしかった。その度に無線で「パスしました」と報告して来た(笑)。彼らしい、性格が出ていてユーモラスだった。5位で喜んでいたら、ライバルのNSX1号車が一つ前のポジションでフィニッシュした。まだシリーズは折り返しだから、ここからが勝負。ポイント獲得によってサクセスウエイトが加算される今後の2戦を耐えて、ポイントゲットしつつ、チャンピオンへ向けて進んでいきたい。

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