SUPER GT 第5戦 レースレポート
開催 サーキット |
スポーツランドSUGO(3.621km) | |
日時 | 9月11日(土) | 9月12日(日) |
来場者 | 未発表 | 未発表 |
天候 | 曇り時々晴れ・ドライ | 晴れ・ドライ |
気温 | 24-23℃ | 29-26℃ |
路面温度 | 27-26℃ | 45-38℃ |
予選:レース内容
昨シーズンはコロナウイルス感染拡大防止の判断から開催が見送られたため、2年ぶりにSUPER GT SERIESが宮城県のスポーツランドSUGOに帰ってきた。TGR TEAM au TOM’S 36号車は、第4戦の鈴鹿で12番手グリッドから5位フィニッシュを果たし、シーズンの折り返しで6点を獲得し後半戦に突入した。この第5戦からシリーズの後半戦が始まる。36号車は、32ポイントを獲得していてランキング4位。64Kgのサクセスウエイトを搭載し、午前中の練習走行から苦戦を強いられた。限られた時間内でセッティングを修正し予選に臨んだ。決勝を見据えたロングランでは安定したタイムを刻むことができたが、予選におけるタイムアタックでは下位に沈んでしまう結果となった。GT500クラス参加15台中14位で予選を終えた。
●トータル32ポイント。サクセスウエイト64Kg(実ウエイト47Kg、燃料リストリクター1段階)。
●練習走行セッション中に出ていたアンダーステア症状をできる限り改善して予選に臨むも、最終的にはその症状を完全に解消できなかった。
●坪井 翔がQ1を担当しタイムアタック。
●コースインして3周のタイヤウォームアップを経て、4周目、5周目でアタックを行った。
●Q2進出には1分10秒台前半のタイムが必要だったが、1分11秒を切ることができずQ1敗退。
●予想よりも路面温度が上がらなかったコンディションも、思うようにタイムアップできなかった要因と考えられた。
Driver | Q1 | Q2 |
関口 雄飛 | ー | ー |
坪井 翔 | P14 1’11.072 | ー |
予選:ドライバー・エンジニアコメント
関口 雄飛
36号車ドライバー
予選結果は、良くなかったですが、練習走行で坪井選手が選んだタイヤをチェックして、決勝に向けてのロングランを担当しました。ロングランでは結構良い感触を得ているので、決勝では順位アップして行けるという自信は持っています。しかし終わってみれば、思っていた以上に予選の結果が良くなかったですね。練習走行の段階では、サクセスウエイトがあってもなんとかQ1突破、Q2に進出できるのではないかと思っていたし、Q2に行けなくても、37号車と同じくらいの位置にいるのではと思っていました。そしてポイント争いをしているNSXの1号車、17号車の前には行けるだろうと、結構楽観視していたのですが、それが全く違ってしまった。でも、決勝日の天候予想をみれば、ウチがチョイスしているハード目のタイヤは良いと思うし、鈴鹿の時のように順位アップできると思っているので、あまり心配はしていません。今日に比べると明日は路面温度が10℃くらい上がると思われるので、良いレースができると思います。
坪井 翔
36号車ドライバー
練習走行の時は、まずまずの調子かなという感じだったのですが、予選ではセッティングが合わなかったですかね。37号車と同じタイヤチョイスですが、37号車の方が1周多くタイヤを温めてアタックしていました。しかしタイム差を見るとコンマ3秒くらい遅いので、37号車と同じようにもう1周してからアタックしても、Q1は突破できなかったかと思います。思っていたほど路面温度が高くならなかったことも影響していますが、はっきり言って今回は調子が悪いです。決勝に向けては、何かセッティングを変更しなくてはならないかなと思っています。チョイスしているタイヤはハード目です。決勝日は天候が良くなって、気温と路面温度が上がる予報なのでそれは良いのですが、セッティングですね。できれば、前戦鈴鹿のように順位アップできればと思っていますが、シリーズランキングを争っているマシン達よりも後方からのスタートですし、このままでは同じくらいのサクセスウエイトを積んでいるマシンに置いていかれるので、決勝に向けてどうにかしなければと考えています。
吉武 聡
レースエンジニア
走り出しからアンダーステアの傾向が解消しないまま予選に臨み、結果は14番手になってしまいました。予選の一発のタイムは出すことができませんでしたが、雄飛が担当した決勝想定のロングランでは、遜色ないタイムを出せています。ソフトとハード二種類のタイヤを練習走行中にトライ、チェックしてみて、ほぼ同じタイムで走行できることを確認しています。決勝日は路面温度が上がることはわかっているので、ハード目をチョイスしています。そのタイヤを装着して予選に臨み、また路面温度が低かったことも、タイムが伸びなかった理由の一つだと思っています。しかし、最後までアンダーステアの傾向を直すことができませんでした。今日の路面温度は30℃に達していませんでしたが、明日の決勝日は一気に10℃以上上昇し、40℃以上になるのは確実です。そうなれば、追い上げはできるので、前戦の鈴鹿同様に何台もパスすることができると思います。
東條 力
チーフエンジニア
今回は色々と手を焼いていましたね。練習走行の段階では大きな問題はないかと思っていたのですが、予選になったらタイムが出せない状況になってしまった。決勝を想定したロングランでは、タイムも安定し遅くはなかったのですが、予選では路面温度が思っていたよりも低くて、タイヤのグリップが十分に発動してくれなかった。37号車のようにウォームアップをもう一周多く行えばもう少しタイムアップできたかと思います。ソフトタイヤのチョイスでは決勝のコンディションが予選時と異なるのはわかっているので、そのチョイスは無かった。36号車は、前戦の鈴鹿でポジションアップしているという実績がありますから、作戦を考えて、追い上げて行きたいと思います。また、ここ菅生ではアクシデントが起こる可能性が多い、FCYが導入されることも考えなければならないのですが、それがいつ起こるかは誰にもわからない。その点に関しては、レースがスタートしたら出たとこ勝負ですね。
伊藤 大輔
チーム監督
走り出しからフロントのグリップが薄い感触があって、それを改善しつつ予選に臨んだという状況でした。ドライバーの感覚として曲がらない状況だったものが、予選においてもそれがまだ足りなかったということですかね。またコンディションとして、寒くは無いけど、この時期にしては気温も路面温度も低めであったということも予選結果に影響していますね。予選日のコンディションに合わせてしまうと、決勝で気温、路面温度が上がると、またセッティングの変更をしなくてはならない。我々は、常に決勝を見据えたタイヤチョイスをしていますので、端的に今日のコンディションに対してはタイヤはハード過ぎた。しかし、決勝の天気予報に対してはマッチしていると思われます。その辺りが今回の予選の難しさでした。しかし、チームメイトの37号車から遅れをとっているという点では、セッティングの方向性のどこが違っていたのかをチェックしなくてはなりませんね。また、ランキングの近いライバル達にも先行されてしまっているので、決勝で巻き返せるように、決勝までになんとかしなくてはなりません。
舘 信秀
総監督
練習走行の状況、順位だけを見ていたら、36号車はいつものように好調な滑り出しかなと思っていた。しかし、予選になったらガラッと状況が変わってしまったので、どうしたことなのだろうと・・・。37号車と状況が入れ替わってしまった。それにしても14番手というのは良くない。問題あり。ウチよりもサクセスウエイトが重いライバル、ポイント争いをしているマシンとタイム的に大きな差をつけられてしまった。NSXの1号車はQ1は突破できなかったが、17号車はQ2に進んだ。最終的に17号車は、4番手から決勝をスタートする。展開として苦しい予選となった。マッチ(近藤レーシング)のチームと共にしんがりからの決勝となる。第4戦の鈴鹿のようにバンバン順位アップしてくれれば、また楽しいのだが、それには、決勝に向けてのセッティングをなんとかしなくてはならないだろう。
決勝:レース内容
決勝を見据えハード目のタイヤをチョイスして予選に臨むも、結果は後方からのスタートとなったが、予想通り決勝日は天候が回復して気温、路面温度共に上昇し、追い上げに期待がかかった。フォーメーションラップは2周の予定であったが、隊列が整わずもう1周が追加され、決勝の周回数は84周から83周に変更された。12番手スタートの23号車GT-Rが、予選後のエンジン交換によるペナルティを受け5秒のピットストップ。その後2台をパスし、ピットインまでに11位まで順位を上げた。絶妙なタイミングでピットイン、ドライバー交代をして7番手でレース復帰。セーフティーカー、FCYの影響もなく走行を続け、トップの8号車NSXがペナルティで後退したため6位へ順位アップ。目前でチームメイトの37号車と同じSupraの39号車が接触。その際に2台をパスして4位へ。そのまま順位をキープし、スタートから10ポジションアップしてレースを終えた。
●関口がスターティングドライバーを担当した。
●後方グリッドからのスタートのためGT500クラスの集団、そしてGT300クラスのトラフィックが数周して出初めると、思うように順位アップは望めなかった。
●GT500クラスの後方集団で順位を入れ替えながら徐々にポジションアップ。ピットインのタイミングが近づいてきた時には11位に順位を上げていた。
●35周してピットイン。坪井に交代。ミス無く、迅速なピット作業でコースに送り出し、7番手でレースに復帰。
●セカンドスティントでセーフティーカー、FCYが導入されたが、問題なくリスタートしポジションをキープ。
●75周目の1コーナーで前を走るチームメイト37号車と、同じSupraの39号車が接触。このアクシデントの横を抜けて4位に。
●終盤39号車が迫ってきたが、ポジションをキープしてチェッカードフラッグを受け8ポイントを獲得。ランキング3位となった。
Driver | Race Result | 1s / Fastest Lap | 2s / Fastest Lap |
関口 雄飛 | P4 | 1’15.030 | ー |
坪井 翔 | ー | 1‘14.955 |
決勝:ドライバー・エンジニアコメント
関口 雄飛
36号車ドライバー
レースの序盤は思うように順位を上げられなかったので、14番手を走っていることが多かったのですが、無理せず余力を残して、燃費もセーブして走っていました。20周くらいになってきたら、ペースを落としたマシン達が順位を下げてきたので、まず同じSupraの19号車をパス。その頃からペースが良くなってきて、NSX達がかなり早めのピットインをしたこともあり、GT-Rの3号車のすぐ後ろまで迫ることができたので、自分では良い展開だと思っていました。19号車を抜いて、14号車とアウトラップのNSXの1号車を抜いて、64号車も抜いて、テレビには映っていなかったかもしれませんが、結構パッシングできたので良かったです。自分の評価では久々に良いレースができたと思っています。練習走行の時から決勝のロングランが良いことは分かっていたのですが、予選の一発があまり良くなかったので、エンジニアさんとアイデアを出し合って、予選でも前に行けるようにしたいですね。そして最後は坪井選手が落ち着いて、前の2台の接触に巻き込まれることなく順位アップしてくれたので、最高の結果でレースを終えることができました。
坪井 翔
36号車ドライバー
実際ペースは決して良くなかった。しかし、淡々と走っていたら最後に4位になっていました。今回自分で抜いたという記憶がないです。関口選手がスティントの最後に抜いてきてくれて、レースに復帰したポジションも良かった。作戦とピット作業のおかげですね。菅生はアクシデントがよく発生して、ただでは終わらない印象なので、他車と接触するようなことがないように気をつけていました。コース幅が狭く、GT300クラスのトラフィックに対応するにもリスクが高いので、本当に注意していましたが、幸い自分は一切接触なしで走り終えました。NSXの8号車のペナルティ、GT-Rの3号車もリタイヤしたし、最後は前を走っていたチームメイトの37号車と39号車のアクシデントで一気に二つも順位を上げられた。14番手スタートから4位フィニッシュ。1点でも取れれば良いと思っていたので8点は最高の結果ですね。
吉武 聡
レースエンジニア
レースの前半、雄飛の第一スティントは、集団、GT300クラスのトラフィックがあって順位を上げるのは難しい状況だったので、無理せず燃費走行でチャンスをうかがうという作戦でした。決勝のセッティングは、もう一度持ち込み時のセッティングへ戻して、状況に合わせてセッティングし直したという状況でした。決勝想定のロングランは、練習走行でも悪くはなかったので、路面温度も上がりましたし良かったと思います。決勝のセッティングはこれまでも問題はなく来ています。課題は、予選の一発、そこで速さを出すこと。今回もそれが予選結果として現れてしまいました。昨年このコースでレースが行われていないので、今回の持ち込みセッティングは、前戦の鈴鹿をベースにして菅生に合わせ込んだというものなので、手探りの部分が多かったですね。決勝の展開は、ラッキーな部分もあり、どんどん順位を上げることができたのですが、終わってみたらNSXの1号車と17号車が前にいた。10ポジション上げたことは素晴らしいことではありますが、素直には喜べない結果であります。残り3戦でもしっかりとポイントを獲得できるよう頑張ります。
東條 力
チーフエンジニア
アクシデントに巻き込まれることなく、堅実なレースをして順位アップができたと思います。ラッキーな部分も多々ありました。チームメイトの37号車のリタイヤ、接触した39号車の後退で4位フィニッシュとなったわけですからね。ライバルのNSX1号車と17号車が表彰台に立っていますが、セーフティーカーが導入されなかったら展開は違っていたのではないかと考えます。第一スティントの状況を見ていると、NSXがタイヤのピックアップ等でレースが進むにつれて苦しい状況になっていました。タイヤの摩耗も進みつつあったと思います。そこでヒートアップを抑えてくれたセーフティーカーラン、FCYとなっています。タラレバですが、あれがなかったら36号車が表彰台に立てていたかもしれません。しかし、菅生は何かしらアクシデントが発生してセーフティーカーが入るので、今回はNSXに有利な展開となった。Supraにとって初めての菅生でしたが、それはエンジアリングの力でなんとかしなければならないことです。対ライバル、相対的にそれができなかったのですが、次戦オートポリスも同じ状況ですから、今度は負けないようにしたいと思っています。
伊藤 大輔
チーム監督
順位としては我々が目標としていた以上の結果が残せて満足ではあるのですが、NSXの2台が前でフィニッシュしているので、複雑な気持ちであり、悔しさが残るレースとなりました。アクシデントの発生率が高い菅生ですから、二人のドライバーには接触はしないようにと注意喚起をしてレースに送り出しました。コース幅が狭いので、トラフィックの対応で軽い接触はあったとしても、無事にマシンをフィニッシュまで運ぶ、バトルしていても接触は避けて、引くところは引くということを二人のドライバーがきっちりと達成してくれて、走り切ってくれて、8ポイントを獲得してくれたことに感謝しています。しかし、NSXの速さ、決勝でペースが落ちなかったこと。特に1号車はこれまでもそうですが、ピットストップを終えたら、一気に順位を上げてくる。ピット作業の短さとアウトラップの速さが今回もあった。今回のポイント獲得でランキング3位まで来れた。残り3戦でチャンピオンを獲得するためには何が必要か、何が足りないかを分析して戦って行きます。
舘 信秀
総監督
終わってみれば、またしても素晴らしい順位アップ。予選の順位から10ポジションも前でフィニッシュすることができた。菅生は毎回ドラマチックな展開となるけれど、自らのパフォーマンス以外にも36号車にとっては順位をアップできる展開となったのが良かった。しかし、チームメイトの37号車のアクシデントで最後の最後に2ポジションをアップできのは、私にとっては嬉しいような、悲しいような。とても複雑な気持ちです。表彰台に立つことはできなかったけど、チーム力でここまで上ってきたことは評価したい。だが、我々よりも前でフィニッシュしたのが、ランキング、ポイントを争っているNSXの17号車と1号車。NSXが菅生にマッチしていたのか。Supraが合っていなかったのか。うちがSupraの最上位であるということは良かったけれど、トヨタ全体としては、この結果を喜んではいられない。オートポリスでは、この状況を逆転したい。