SUPER GT 第1戦 レースレポート

開催
サーキット
岡山国際サーキット(3.703km)
日時 4月10日(土) 4月11日(日)
来場者 未発表 未発表
天候 晴れ 晴れ
気温 15-17℃ 19-19℃
路面温度 32-32℃ 33-34℃

予選:レース内容

2年ぶりにSUPER GTの開幕戦が岡山国際サーキットに帰ってきた。 TGR TEAM KeePer TOM’S 37号車は、今シーズン平川 亮のパートナーとなる予定のサッシャ・フェネストラズが、コロナ禍の影響により来日できず、開幕戦は阪口 晴南が代わってステアリングを握ることとなった。3月に同サーキットで行われた合同テストとは大きくコンディションが変わった状況であったが、午前中に行われたフリー走行から順調な仕上がりを見せ、午後の予選を迎えることができた。昨シーズンの最終戦の最終ラップで手中に収めたかに思われたチャンピオンのタイトルを失った雪辱を果たすべく、Q1とQ2共にベストタイムを叩き出してポールポジションを獲得した。サクセスウエイト(昨年までの名称はウエイトハンディ)の無い実力勝負の開幕戦で最高のスタートを切った。

●予選Q1を平川が担当した。
●Q1で唯一1分17秒台に突入し、トップでQ2への進出を果たした。
●GT500クラス2度目のスポット参戦となる阪口がQ2を担当した。
●阪口も平川と同じく1分17秒台に突入してタイミングモニターのトップに躍り出た。
●Q2の終盤に同じスープラの14号車も17秒台に突入してきたが、コンマ1秒差で見事にポールポジションを獲得した。
●阪口にとって初のGT500クラスのポールポジション奪取となった。
●決勝の82周を、ポールポジションの位置からスタートすることとなった。

DriverQ1Q2
平川 亮P1 1’17.966
阪口 晴南P1 1’17.701

予選:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

2年ぶりに岡山国際サーキットで開幕戦を迎えることができて、そして多くのファンの皆さんの前で走ることができてとても嬉しいですね。予選前の走り出し(フリー走行)は、ちょっとどうかという点もありました。シーズン前のテストでもNSXは速かったですから、やっぱりという感じでした。そして、予選までにコンディションが変化してきて、その変化にチームが良いセッティングをしてくれて、マシンがコンディションに合っていたというか、タイムが出ましたね。昨年の最終戦で負けてチャンピオンが取れなくて、モヤモヤしたものがありましたから、まずはQ1でトップタイムが出せて、少し気分が良かったところだったのですが、昨年の最終戦と同じですね。パートナーに良いところを持ってかれるパターンなんですよね(笑)。今回は阪口選手が頑張ってくれてボクより良いタイムを叩き出してくれてポールポジションを取ってくれました。このポジションをキープして昨年の鬱憤を晴らしたいですね。

阪口 晴南

37号車ドライバー

まずは、サッシャ・フェネストラズ選手の代役としてGT500クラスのマシンをドライブするチャンスといただいたTEAM TOM’Sさんに感謝します。そして、トムスさんのマシンに乗ることを承諾していただいた所属チームのK-tunes Racingさんにもお礼を申し上げます。自身2回目のGT500クラスマシンのドライブでしたが、チームの皆さん、エンジニアさん、そして平川さんからいろいろとアドバイスをいただいてドライブしています。そしてポールポジションを獲得できて嬉しいし、良かったとほっとしています。平川さんよりも良いタイムを出すことができたのは、コースコンディションが良くなった結果ですね。平川さんがトップタイムを出したので一気に緊張しました。GT500クラスでポールポジションを獲得するのはレーシングドライバーとしてひとつの目標だったので達成感もあります。このポジションをキープして最後まで走れるように頑張ります。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

嬉しさとポールを取れてビックリな部分もあり、結果が出て良かったです。事前のテストからしっくりこない部分を解決できないまま岡山に乗り込んで、午前中のフリー走行でもタイム的にNSXに負けていました。でも感触は良かったので、まずまずかと思っていました。NSX勢が予選で上位に来るのではと思っていたら、予想に反してスープラの上位独占という結果でポールポジションを獲得できました。亮は好タイムを出してくれると信じていました。そして、晴南も一発のタイムは出せるパフォーマンスはあるので、やってくれるだろうと思ってはいました。ポールを取ってくれて最高ですね。亮から晴南へのセッティング変更は一切しないで送り出しました。決勝のスタートタイヤが抽選でどうなるかはわからない状況ですが、いずれにしろ、決勝日朝のフリー走行でチェックして決勝に臨みます。

東條 力

チーフエンジニア

トムスの1-2が実現できなかったのは残念ですね。終盤までは大丈夫かなという状況でしたが、14号車にやられてしまいました。37号車は岡山に来てから順調に仕上がってきたと思います。チーム2台体制のメリットを生かして異なるコンパウンドのタイヤをフリー走行で試して持ち込みのセッティングの確認をしています。大体予想していたような状況で推移してくれています。サッシャ(フェネストラズ)が入国できない状況でも、晴南がそれを補ってくれていますね。シーズン前のテストでもトムスのドライバーたちはセッションベストタイムをマークしてくれていますから、ポールポジションは取れると思っていました。フリー走行ではNSXが速かったですが、まずQ1を確実に突破するために亮で行って、Q2で晴南に任せました。Q2はラバーグリップも乗ってコンディションが良くなりましたから、晴南が亮のタイムを更新するというのは順当な結果ですね。

山田 淳

チーム監督

正直申し上げて、走り出しから悪くはない状況ではありましたが、ポールポジションを獲得できてビックリしています。午前中のフリー走行では、ライバルのNSX勢が上位を占めていましたから、どこまで予選の順位をアップできるか悩んでいました。Q1を平川で行ったのは、確実にQ1を突破してQ2に繋げたかったからです。阪口よりもうちのマシンで走っている経験が長いですから。そして、平川がベストタイムを叩き出して、幸先良い予選となりました。そして阪口が平川と同じく17秒台を記録してトップに躍り出てくれました。ライバルが追ってくるだろうと見守っていたら、最後まで阪口のタイムは破られなかった。阪口は素晴らしい仕事をしてくれました。

舘 信秀

総監督

近年の若きドライバーは、素晴らしい。阪口 晴南は、素晴らしい仕事をしてくれた。GT500クラスのマシンに乗っている絶対的な時間は少ないのに、レギュラードライバーと同じ、いやそれ以上のドライビングができるのだから。K-tunes Racingさんには無理を言ってウチで走ってもらえることになって本当に良かった。時代が違うと言えばそれまでだけれど、私が若い頃に走っていた時代とは違うね。サッシャ(フェネストラズ)が来日できずにどうしようと思っていたけれど、晴南がそれを補って余りあるほどの仕事をしてくれている。平川 亮も良いね。昨年、チャンピオンを取り損なって、今シーズンに賭ける気持ちが走りに出ているね。亮と晴南のコンビネーションはとても良いのでは無いかな。そして、晴南がインタビューでウチがGT500に乗るチャンスを与えたこと、K-tunesさんが承諾したことにちゃんと感謝しているというコメントをしたと聞いて、これまた気に入ってしまった。若いのにそういう気持ちを持ってドライブしてくれている。良いね。決勝は、もちろん優勝しかない。

決勝:レース内容

穏やかで暖かく、雲ひとつない最高の天候に恵まれた決勝日。ポールポジションからスタートしたTGR TEAM KeePer TOM’Sの37号車は、2番手スタートの同じスープラの14号車を従えて82周の決勝レース序盤を走行した。GT500クラスで2戦目となる阪口 晴南は、GT300クラスのマシンを追い抜く処理も無難にこなした。一人のドライバーが走行しなくてはならない最低周回数、レース周回の1/3を過ぎてGT300クラスのマシンがコース上にストップした直後にセーフティーカー導入を察知して、ほとんどのマシンがピットインしドライバー交代。37号車は最初にピットインしたが、4位まで順位を落としてしまった。平川 亮が3位まで挽回したが、そこで初戦を終える結果となってしまった。

●阪口 晴南がスタートドライバーを担当した。
●2周のフォーメーションラップの後に82周レースがスタートした。阪口は14号車を従えながらトップをキープした。
●8周目から12周目まで1回目のセーフティーカーがコースイン。リスタートでもトップをキープして周回を重ねた。
●32周目にGT300クラスのマシンがコース上にストップ、2回目のセーフティーカーがコースインすることを察知して各車がピットインしてピットエリアは大混乱となった。狭いピット作業エリアへ斜めに停車。作業後は押し戻してコースインしなければならなかった。
●ドライバー交代、給油、タイヤ交換。やや作業に手間取り、そしてスタートしようとした時にアクシデントが発生してしまった。
●1速のギヤをセレクトしているのに駆動がかからず、再度シフトしてタイムロス。コースに復帰した時には4位に順位を落としてしまっていた。
●セーフティーカーランの後、56周目に3位へ順位アップしたがそのままフィニッシュとなった。

Driver Race
Result
1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
平川 亮 P3 1’21.724
阪口 晴南 1’21.034

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

序盤の状況では首位を守れていたのですが、ピットインする直前になって事前のミーティングで決めたことが行われなかった。順位が前の方が真っ直ぐにピットに停車するということが直前に変更され、チーム全体がアタフタしてしまって、ボクが乗り込んだ時には1速に入っているべきギヤが入っていなくて、ギヤの表示もおかしかった。再スタートするまで5秒以上タイムロスして、38号車にも抜かれそうになってしまって、その時点で勝負権を失ってしまいましたよね。その後は39号車にフタをされてしまって、タイヤも使ってしまって、追い抜いたとしても前の2台には追いつかなかったですね。頑張ってくれた阪口選手には申し訳ない結果となってしまいました。燃費をセーブして走っていたからペースは上げられないし、燃料がなくなって止まるのは最悪なので、そうするしかなかったですね。去年の最終戦のようなことになるのはもうごめんですからね。次戦の富士は給油が2回あるので、今回の問題を究明することが大事ですね。

阪口 晴南

37号車ドライバー

スタートを任されて、トップのポジションをキープして平川さんに渡すことができたのですが、ピットの混乱やトラブルで順位を落としてしまいました。今回トムスさんにチャンスを頂いてGT500クラスで初めての表彰台に立てたのですが。こんなに悔しい表彰台になるとは思いませんでした。ハッキリしてはいませんんが、トラブルの原因は自分にあるのかもしれないので、申し訳ないと思うと同時に、もしこれからもドライブするチャンスがあれば、もっと強いドライバーになれるように頑張りたいと思います。今回のレースではポールポジションを獲得することもできましたので、この経験を生かして行きたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました。でも、勝ちたかったです。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

ピットインのタイミングで対応に戸惑ってしまいました。そして一番はギヤがちゃんとセレクトできていなくてタイムロスしてしまったのが痛かったですね。当初の予定だと、トムスのチームの中で順位が上の方が通常のようにコースに対して平行に止めて作業することになっていたのですが、皆が一気にピットインする状況に、スペースがなくなってしまって斜めにピットストップさせることとなってしまった。ピットロードに入ってきてから急遽、当初の予定を変えたので、ピットでの準備など対応が遅れてしまいました。スタートの晴南は、落ち着いたドライブで2位以下を引き離し、その後もとても落ち着いていたと思います。こちらから無線連絡を入れてもちゃんと対応してくれていました。ピットの混乱の後に亮の挽回を願っていたのですが、前に出られた39号車のパッシングに時間を要して、前の2台と距離があいてしまいました。また、燃料をセーブして走行してもらわなくてはならなかった点も、前に追いつけなかった原因です。マシンの調子は悪くなかったので、本当に残念な結果。悔しい3位でした。

東條 力

チーフエンジニア

スタート時の晴南は、無難に自分のスティントをこなしてくれたと思います。GT300を最初に捉えた時の処理はヒヤヒヤしましたけれど、接触もなく、背後から来る14号車に抜かれることもなく、良かったと思います。今日の晴南の走りは全く問題のない合格点をあげられるものでした。ピットインのタイミングは良かったです。皆が一気にピットインしてくることになり周りが斜めに停めるような配置を考えてタイヤを出してしまったので、当初予定した真っ直ぐに停めることが不可能になってしまった。その場の判断でドライバーは戸惑ったと思いますが、どうしようもない状況でした。ピット作業後の再スタートの際、ギヤが入っていなかった。どうしてそのようなことが起きたのか、ガレージに帰ってデータを見なくてはならないですが、その原因ははっきりするでしょう。今回は万一のことを考えて、用心して燃費走行をしてもらいました。

山田 淳

チーム監督

戦略は、違うラップ数でピットインさせる予定でしたが、2回目のセーフティーカーが出て、入れざるをえなかった。上位の我々が真っ直ぐに停める予定でしたが、どこもかしこもピットにタイヤを並べ始めて、37号車が通れるスペースがなくなってしまい、急遽予定を変更しました。このような状況も踏まえて最初から斜めに停める、ダイブを決め打ちで予定しておけば、アタフタしなくてもよかったのかもしれない。それはチームの戦略ミスですね。そして、最大のタイムロスはシフトが1速にセレクトされていなかったこと。晴南がマシンから降りる際にシフトのパドルを蹴ってしまった可能性がありますが、表示は「1」になっていたというので、変に中途半端なところでシフトされていたのかもしれません。ガレージに帰って調査が必要ですね。また、現行のGTカーのサイズだと皆が一斉にピットインしたらダイブでしか止められないという環境はいかがかなという気持ちもあります。ピット位置によってスペースがなかったりして、頑張って走っていても運、不運で勝敗が左右されるのは気になりますね。シーズンを通して考えれば3位は良かったと判断して次戦の富士に向かいます。

舘 信秀

総監督

スタートからピットインまでの展開を見ているときは、とても気持ちの良いものだった。晴南がGT300クラスのマシンを処理する様子も問題なく、落ち着いていた。後ろから同じスープラの14号車が迫ってきても、ポイント、ポイントで突き放していた。そこまでは、開幕戦でポールtoウインへ向けて完璧な展開だった。のだけれど、あのピットインのタイミングで一気に展開が変わってしまった。スタート前のミーティングと実際の対応が異なっていたというけれど、あのピットエリアの混乱ではしようがない。しかし、そこでアクシデントが起きるとは、思ってもみなかった。作業も少し遅れてしまったけれど、それ以上にギヤがちゃんとセレクトされていなかったのでスタートが大幅に遅れてしまった。セカンドスティントの亮が3位に順位を挽回してくれたけれど、優勝できなかった、勝てなかった。勝てなければ、2位も3位
も最下位も同じだと思っている。悔しいね。本当に悔しい。トムスが1-2フィニッシュすることだってできたのに、それができなかったのが本当に悔しい。

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