SUPER GT 第5戦 レースレポート

開催
サーキット
スポーツランドSUGO(3.621km)
日時 9月11日(土) 9月12日(日)
来場者 未発表 未発表
天候 曇り時々晴れ・ドライ 晴れ・ドライ
気温 24-23℃ 29-26℃
路面温度 27-26℃ 45-38℃

予選:レース内容

コロナ禍によって開催が見送られた2020シーズン。2年ぶりの開催となるスポーツランドSUGOにSUPER GTが帰ってきた。TGR TEAM KeePer TOM’S 37号車は、前戦鈴鹿ではGT500クラス15台中14番手スタートから追い上げ、10位でフィニッシュし、貴重な1ポイントを獲得した。シリーズも後半戦に入り、28ポイントを獲得してランキングは7位。今回の第5戦と、次戦第6戦はシリーズの中でもサクセスウエイトが最も重くなる。37号車のサクセスウエイトは、ポイントx2=56Kg。午前中の練習走行からセッティングを進めた結果、マシンの調子は上向きとなり、予選Q1に臨んだ。トップ8台がQ2に進出できるが、僅か0.063秒及ばず9番手となり、予選を終えた。グリッド5列目から84周の決勝をスタートする。

●サクセスウエイトが50Kgを超えると、実ウエイトに伴って、燃料の供給量が制限される。56Kgは、実ウエイト39Kg+燃料リストリクター1段階となっている。

●平川 亮がQ1を担当した。

●曇りの時間が長く、路面温度が予想よりも低い状態だったので、セッションの開始と共にコースインして、しっかりとタイヤのウォームアップを行うことにした。

●4周のウォームアップを経てアタック開始、5周目に1分10秒744をマーク。

●しかし、僅か0.063秒差でトップ8に残ることができず、Q2進出は果たせなかった。

DriverQ1Q2
平川 亮P9 1’10.744
阪口 晴南

予選:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

朝の練習走行では、マシンの状態がかなりピーキーで驚きました。オーバーステアが酷く、とてもドライブしずらい状態でした。そこからセットアップを何度か変更してなんとか予選に間に合った。練習走行中のセットアップの変更や修正も、単独で走っているわけではなく、トラフィックがあるわけですから、その時のパフォーマンスを示す正確なタイムは出せない。練習走行の最後にGT500クラスの占有走行の時間で確認したら、とても良い状態になってきたので、それにプラスαしてもらって予選に臨みました。わずかに及ばず、Q1を突破できませんでしたが、今日のコンディションは予想よりも路面温度が低くて、タイヤのグリップの発動が遅かったことがその理由ですね。決勝のコンディションを考慮して、ハード目のタイヤチョイスをしているので、ウォームアップをしっかりしたのですがだめでしたね。一発の速さはソフト目のタイヤでは出せたでしょうが、決勝のロングランではグリップダウンが大きくて使えないと判断していたので、ハードにしています。マシンはどんどん良くしてもらったのですが、アタックラップで自分のドライビングでタイムアップできない部分がありました。

阪口 晴南

37号車ドライバー

平川さんが、練習走行の中でどんどんセッティング進めてくれて、僕はGT500クラスの占有走行でのドライブでチェックしました。占有前にドライブした時はあまり良くなかったのですが、占有でドライブしたらとても良くなっていました。走り出しの時点からすると結構セッティングを変更していて、方向性も良いですし、特に問題はありませんでしたが、平川さんが良くしてくれたセッティングに、ほんの少し僕のフィーリングをプラスαしてもらって予選に臨んだという状況です。予選のアタックでは、あと少しでQ1を突破できたので、平川さんはとても悔しがっていましたね。走り出しからかなりマシンのバランスが変わっていますから、探り探りアタックしていた部分があるのではないかと思います。また、路面温度が比較的低かったので、タイヤのグリップも十分ではなかったのではないかと思います。決勝では、僕らのタイヤチョイスが良かったということを示すことができると思います。追い上げて、ポイントを稼ぎます。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

オーバーステアから始まり、それをどんどん修正していって、予選を迎えるあたりで、ドライバーのコントロール下にまで持っていけたので良かったです。予選のアタックでは、セクター1は、探り探りのドライビングになってしまったと亮も言っていましたが、走り出しから予選の状態であれば、ドライバーは思いっきりアタックできていたかと思うと申し訳ないです。朝一番の練習走行時の状態を考えれば大幅に改善しましたが、NSX勢が速くて、Q1突破には至らなかった。コンマ1秒タイムを伸ばせていたらQ2に進出できていたので残念ですね。予選の戦い方やタイムの出し方、路面温度を考慮して早めにコースインすることで、タイヤのウォームアップも十分に行えましたし、今日さまざまな情報を得ることができて、決勝に向けての不安は少ないです。決勝日は路面温度が上昇すれば、さらに高いパフォーマンスを発揮することができるので、1ポイントと言わず、できる限り多くのポイントを獲得する勢いで、今日の要素を決勝に繋げたいと思っています。

東條 力

チーフエンジニア

今回、走り出しの状況が、37号車と36号車ではこれまでの流れとは異なる状況でしたね。37号車はオーバーステアが酷く、それをセッティング変更で修正していって、コンディションにも最大限合わせ込んで予選に臨むことができています。ほんの僅かなタイム差でQ2進出はなりませんでしたが、走り出しの状況を考えれば、よくあそこまでセッティングを変更、修正できたと思います。前戦の鈴鹿ほどではないですが、今回も想定していた路面温度よりも低い状況でした。ここでソフトだったらもっと良い予選結果が得られたのではないかという意見もあるかと思いますが、この路面温度であれば、ソフト、ハードともに大きな差はないと思います。そして決勝日の天候は良くなり、路面温度は10℃くらい上昇するでしょう。そうなったらソフトは使えない。序盤は速かったとしてもピットインまでにグリップダウンして勝負にならなくなるでしょう。ですから、我々のタイヤチョイス。ハードを選んでいるのは正解です。間違っていません。チームとしては36号車も追い上げて、2台共に上位フィニッシュを期待しています。

山田 淳

チーム監督

これまでどちらかというとアンダーステアが出て、それを修正するという作業から始まっていたのですが、今回の菅生ではオーバーステアの兆候が出て、それを修正して何とか予選までに帳尻を合わせることができたという状況です。もうちょっとでQ1突破というところまで来れています。0.063秒差ですから、本当に少し足りなかった。サクセスウエイトを考えれば、順当かなと思いますが、ランキングを争っている一台、17号車がQ2に進出していますから、良くやったとは言えないですよね。決勝日の天候が良くなると、気温と路面温度が高くなるので、チョイスしているハード目のタイヤがよく作動して、順位をガンガンアップしたいですね。しかし、菅生はコース距離が短く、コース幅も比較的狭い。さらには新たなピットロード出口の形状。そしてアクシデントが起きた時のFCYの導入等々心配すればキリがないですが、懸念する材料がいっぱいあるので悩ましいです。決勝前の最終チェック、ウォームアップで確認して、より良いセッティングを施して、ドライバー達を送り出したいですね。そして、より多くのポイントをゲットすることが目標です。

舘 信秀

総監督

練習走行の走り出しは、持ち込みセットが少し合わずにセッティングの修正が必要だったようだが、どんどんと調子は良くなっていったようだ。0.063秒差でQ2に進出することはできなかったが、サクセスウエイトを考慮すれば、この辺りなのか。しかし、ランキングを争っているNSXの17号車がかなり上位のグリッドにいることが気がかりだ。17号車は37号車よりも4キロほどウエイトが重いのに2列目からスタートを切る。予選と決勝ではまたストーリーは異なるのだろうけど、できれば決勝で17号車や他の上位ランカーの前でフィニッシュしたい。2年ぶりの菅生で観客数は限られてはいるけど、東北のモータースポーツファンの皆さんに良いレースをお見せできればと思っている。

決勝:レース内容

決勝は、雲ひとつない最高の天候に恵まれた。予想通り気温と路面温度が上昇。タイヤ選択は的中し、順位アップの準備は整った。TGR TEAM KeePer TOM‘S 37号車は、1周目にNSXの1号車にパスされて10位に下がったが、抜き返して順位を戻す展開となった。序盤戦でなおも順位アップに成功し、その段階で表彰台獲得の期待も出始めた。33周してピットイン、ピットイン後の順位が安定した時点では5位を走行。トップのNSX8号車がペナルティで後退し4位へ。Supraの19号車、14号車がトラブルでストップしてセーフティーカー、FCYが導入され残り19周でレース再開。残り9周となった1コーナーで39号車と接触したため、マシンにダメージを受けレース続行を断念した。

●2周のフォーメーションラップの後に隊列が整わなかったので、フォーメーションラップがもう1周追加され、決勝の周回数は83周に変更された。

●今回も阪口晴南がスタートドライバーを担当した。

●序盤は中盤グループで激しく順位が入れ替わる展開となっていた。

●33周してピットイン。平川 亮へドライバー交代。

●5位で周回を重ねていたところ、トップのNSX8号車がピット作業違反のペナルティを受けて後退し4位へ順位アップ。

●74周目の1コーナーで追い上げてきた39号車が、コーナーのイン側に入ってきて接触。そのショックで右フロントタイヤ側のステアリングタイロッドが曲がってしまった。

●平川は、低速走行でマシンをピットまで運び、レースを終えた。

●リタイヤしたものの、決勝周回数の75%にあたる75周を周回していたため、公式結果は11位となった。

Driver Race
Result
1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
平川 亮 P11 1’15.084
阪口 晴南 1’14.498

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

決勝直前のウォームアップ走行ではとても調子が良く、大きな期待を持って決勝に臨みました。しかし、良しと思ってセッティングをさらに進めたことで、第二スティントでリヤのグリップが足りない状態になってしまいました。それによって、リヤタイヤを労りながら走行することを余儀なくされました。ランキング争いをしているNSXの1号車は、ストレートではこちらが速いのですが、コーナーではあちらの方がとても速くて前に行かれてしまいました。1号車とのバトルでは1コーナーでサイドバイサイドで何度か通過していましたが、39号車が来た時もそのようにコーナーを通過できると思って、イン側に1台分ラインを開けていたのですが接触という結果になってしまいました。ダメージによってハンドルが45度曲がった状態だったので、レースの続行は無理だと判断しました。今回ノーポイントとなってしまいましたが、SUPER GTのチャンピオン争いは最後の最後までわからないということを僕自身が一番知っているので、残り3戦でチャンピオンを目指して行きます。

阪口 晴南

37号車ドライバー

スタート直後は前の39号車の車速があまり乗っていなくて詰まってしまい、NSXの1号車に先行されてしまいましたが、その後落ち着いて抜き返すことができました。決勝直前のウォームアップ走行でマシンのバランスがとても良くて、これなら順位アップは確実だと思っていたのですが、走り出したら、ちょっと感覚が違っていて、初めはアンダーステアが出ていて、後半はオーバーステアが出ているという状況でした。ウォームアップはユーズドタイヤ、決勝ではニュータイヤだったので、それを加味してセッティングを若干変更したことで、そのような症状が出たのではないかと思います。僕のスティントでニュートラルステアという状況は無かったですね。それでも39号車をオーバーカットできたし、GT-Rの3号車をパスしてからピットインできました。ピットイン後のレース復帰時はポジションが良く、平川さんも頑張ってくれて、4番手で走行していたのですが、最後は39号車との接触でレースを終えることになってしまい、とても残念です。ノーポイントでしたが、まだ残り3戦ありますので、巻き返しのチャンスはあると思います。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

決勝当日のウォーミングアップ走行で、今回最高のセッティングとなっていました。そしてもっと良くなることを目指して、ほんの少しセッティング変更を試みたのですが、それがかえって裏目に出てしまって、ドライバー達には申し訳ない結果となってしまいました。亮、晴南の頑張りで順位アップし、ピットワークもクルーが問題なくこなしてくれたのに、マシンをケアしながら走行することになって、それが最終的に上位のマシンに追いつくことができなかったこと、39号車の追撃をかわすことができなかったことにつながってしまったと反省しています。また、接触のダメージでレースを続行することができなかったことについても大変残念です。次戦のオートポリスは、菅生と同じくSupraにとっては初めてのサーキットとなります。シミュレーター等を駆使して良いセッティングで乗り込みたいと考えています。サクセスウエイトの点ではこちらがライバルよりは有利な状況になるので、苦しい中でもその点を生かして上位入賞、ポイントゲットを目指します。

東條 力

チーフエンジニア

惜しいレースを失ってしまいましたね。表彰台は無理としても4位は確実だったので本当に残念です。ランキングを争っている2台のNSX、1号車と17号車が表彰台に立っているので、37号車としては大きく点差を開かれてしまいましたが、まだチャンピオンは十分に狙える状況です。同じブリヂストンタイヤを装着している2台のNSXはサクセスウエイトと燃料リストリクターを装着していても、コーナリングで速さがありました。また、1号車のピットイン後のアウトラップの速さは驚異的と言っても良い素晴らしいものでした。チャンピオンを目指している37号車としては、その辺を分析して今後の3戦に対応して行かなければならないと考えています。第6戦のオートポリスで耐えてポイント獲得。そしてサクセスウエイトが半減、ゼロとなる最終盤の2戦で優勝をしてチャンピオンの座に就くことを目標としています。

山田 淳

チーム監督

レースの序盤から忙しい展開で、なんとか順位をアップしながら大量ポイント獲得へ向けてフィニッシュを目指していたのですが、接触、ピットでストップ、リタイヤという結果になってしまいました。大変悔しいレース結果でしたね。決勝を迎えるまでにかなりマシンのセッティングが良くなっていたのですが、決勝を走り出したら状況は少し変わってしまって、ドライバーたちには申し訳なかったですね。菅生は毎回何かドラマチックな展開があるのですが、その一つがSupra同士の接触でした。37号車はダメージが大きくて、レースを続行できませんでした。4位フィニッシュは確実だっただけに非常に残念です。そしてランキングを争うライバルたちが表彰台に立った。1号車とは大きくポイントに差が開いた。しかし、チャンピオン争いはこれで終わったわけでは無いので、残り3戦で着実にポイントゲット、終盤には優勝を目指して戦って行きます。

舘 信秀

総監督

マシンのセッティングは完璧だったとは言えないまでも、作戦、チームクルーのピット作業は完璧だったと評価して良いと思う。あの勢いで表彰台を獲得できれば最高の結末だったのだけれど、最終的には同じSupraとの接触で最後まで走ることはできなかった。接触した39号車はサクセスウエイトが軽いし、ここでなんとか上位入賞を果たしたかったのだろう。1コーナーを立ち上がったところで接触、こちらはフロントタイヤの部分に接触され、ステアリングのタイロッドにダメージを受けてしまい、レースを続行するには危険だったので、亮がピットまでマシンを運ぶ事態となった。接触は、良くない。特に同じメーカー同士の接触はしないようにとトヨタさんから言われている。しかし、レースだからオーバーテイクのチャンスがあればチャレンジはするのは当然。あの接触に関してオフィシャルの裁定は39号車にペナルティを下すのではなく、警告を示す黒白旗が提示されたのみ。その裁定は正しいと受け止めている。バトルする結果としての接触。しかし、こちらの当たりどころが悪かった。

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