SUPER GT 第8戦 レースレポート

開催
サーキット
富士スピードウェイ(4.563km)
日時 11月27日(土) 11月28日(日)
来場者 23,200人 35,300人
天候 晴れ・ドライ 晴れ・ドライ
気温 10-9℃ 13-11℃
路面温度 12-10℃ 22-18℃

予選:レース内容

昨年2020年のSUPER GTシリーズ最終戦。TGR TEAM KeePer TOM’S 37号車は、トップで最終ラップの最終コーナーを立ち上がったが、フィニッシュラインまで約500mでガス欠によって失速、優勝とチャンピオンを獲り逃した。今シーズンは、チャンピオン獲得の権利はすでに失ってしまっているが、最終戦優勝という目標を掲げて富士スピードウエイに乗り込んだ。走り出し、練習走行で持ち込みセッティングが若干合わず、思うようにタイムが伸びない状況だったが、マシンづくり、セッティングの方向性は間違っていなかった。セッティングを進めるごとにタイムアップ。練習走行終了時に3番手。臨んだ予選では3番手のタイムを記録して、66周の決勝レースを2列目のグリッド、イン側からスタートすることとなった。昨年チャンピオンを争ったNSX1号車は一つ前のグリッドに位置した。富士スピードウエイで強さを発揮してきたSupraとして、37号車は優勝へ向けて一歩前進の予選結果となった。

●フェネストラズがQ1を担当。

●練習走行からいきなりコースレコードを更新するライバルが出現。Q1の突破にはレコードブレイクが必要と思われた。

●路面温度12℃という厳しい状況下で、慎重にウォームアップを行ってアタックに入った。1分26秒台のタイムへ入り、アタック最終ラップでコカコーラコーナーでコースオフ。コンマ何秒かをロス。その周のタイムがベストだったが、走路外走行でタイム抹消。8番手でQ2進出を果たした。

●ポールポジション争いは1分25秒台の戦いとなっていた。

●平川は、コースインして5周目に25秒台に突入。コースレコードタイムを更新、ポールポジションの可能性が増してきた。

●しかし、6周目にタイムは伸びず、3番手で予選を終えた。

DriverQ1Q2
平川 亮P3 1’25.938
サッシャ フェネストラズP8 1’26.654

予選:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

今回ポールを狙っていたのですが、走り出しはあまり良くなくて、それをコンディションにアジャストするのに時間がかかってしまいましたね。そして、予選でもまだ完全ではなく、思いっきり行けていない状況でした。結果を見れば3番手。朝の練習走行の状態を考えれば良かったかなと思います。決勝に向けて、どこをどうすれば良いということは分かっているので、それほど心配はしていません。サッシャがなんとかQ1を突破してくれましたがギリギリ。ベストタイムを抹消されたので、<ああ、終わった>と思ったくらいでした。本当にリスキーなQ1でしたよね。そこから3番手ですからね、少しホッとしている面もありますが、決勝での優勝に向けて集中するだけです。タラレバの話をしてもしょうがないですが、山下健太選手が叩き出したポールポジションタイムは見えないわけではありません。練習走行でセットアップ、アジャストに手間取った分、タイム差が出てしまったと思っていますが、それにしてもヤマケンは速いですね。チームがここまでマシンを仕上げてくれたことにとても感謝しています。決勝に向けてさらにセッティングを進めてもらって、もっと良くなると信じているので優勝をして昨年のリベンジを果たしたいですね。

サッシャ フェネストラズ

37号車ドライバー

本当にギリギリだったけど、Q1を突破することができて良かった。アタックラップでミスというかコーナーではみ出してしまったので、ベストタイムを抹消されてしまったから、ギリギリ8番手でQ2進出となってしまった。コロナ禍でやっと日本に入国することができて、SUPER GT は3戦目。富士で走るのも久しぶりなので気負っていたわけではないけれど、なんとか結果を残したいと思っていたのでQ2に残ることができて本当に良かった。そしてRyo(亮)が素晴らしい走りで3番手のグリッドを獲得してくれた。ウチのチームは、チャンピオンの可能性はすでにないけど、最終戦で勝つということを目標としている。昨年Ryoは最終ラップまでトップで走行していたのに、不運にも失速して優勝とチャンピオンを逃しているから、今年は優勝して終わりたい。少なくとも表彰台に立って終えたいと思っている。走り出しはあまり良くなかったけれど、チームが良いマシンに仕上げてくれた。決勝のロングラップも悪くはないと思うのでアクシデントに巻き込まれることなくゴールまで進みたい。明日の最終戦、決勝レースが楽しみでならない。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

予選3番手というのは、<ようやく間に合った>という感じですね。というのは、持ち込みのセッティングがそれほど良くなくて、セットアップの変更をしつつ練習走行を行って、どんどん良くして、それでも予選を迎えた時点では完全ではなかったというのが事実です。予選を終えてもまだリヤセクションが<軽く感じる>というドライバーのコメントでした。ですから、思いっきり攻められなかったという点は申し訳ないと思ってます。しかし、アジャストを進めて行った方向は間違っていないので、決勝ではもっと良いセットアップができる自信はあります。ソフトタイヤをチョイスしていますが、それは路面温度の低さを考慮してというよりは、ドライバー二人のフィーリング。当然路面温度が低い状態ではアドバンテージがありますが、その逆という場合もありますから。ソフトを選んでいるのはうちだけなので、それがハマってくれれば面白い展開になると思います。決勝を楽観視しているわけでは無いですが、今日と同じような状況であれば、良い結果が残せると思っています。昨年にここで悔しい思いをしていますので、勝って今年を締めくくりたいと思っています。

東條 力

チーフエンジニア

37号車の方は、ガレージからの持ち込み状態のセットアップが今日のコンディションにマッチしていなくて、練習走行でセッティング変更を余儀なくされてしまいました。その分時間を取られて、ドタバタしていたのですが、予選までにはなんとか間に合ったという感じですね。あれがなければ、もっとタイムは出せたのではないかと思っています。ポールを獲得できたかは分からないですが、少なくとも1号車の前には出られたのではないかと思います。37号車はソフト目のタイヤをチョイスしています。36号車とは異なり、他のSupraとも異なっていますが、タイヤのポジション的にはそれほど大きな違いは無いので、決勝でも問題は無いと思います。TOM’Sの2台ともに2列目までに位置しているので、1-2でフィニッシュできれば最高ですね。決勝は、Supra同士の戦いになるか、そしてそれにどれだけNSXが食らい付いてくるか。ファンにとっては面白い展開となるでしょう。その中でTOM’Sのいずれかが勝ってくれたら良いと考えています。

山田 淳

チーム監督

サッシャがなんとかQ1を突破してくれましたが、本当にヒヤヒヤでした。アタックラップのコカコーラコーナーの立ち上がりで走路外走行(4輪脱輪)してしまって、1分26秒620のタイムが抹消されてしまっています。同じような1分26秒654を1周前に記録していたのでなんとかQ2へ進出できました。練習走行の走り出しでは思ったような状態ではなかったのですが、なんとか予選には間にあったという感じですね。2番手のNSXの1号車との差は少しですから、なんとか2番手に行けたらもっと良かったのですが、14号車のヤマケン(山下健太選手)のタイムを破れたかどうかは微妙ですかね。ウチが3番手でポールを獲れなかった理由、改良の余地はあるので、決勝でセットアップを良くして昨年の雪辱、リベンジを果たして、気分よく終わりたいですね。ここから順位を上げて、レース中に他車との接触など無く、無事にフィニッシュして、それが優勝であれば最高ですね。ウチはすでにチャンピオンの可能性はないですが、36号車にはまだある。優勝すればという条件があるので、チームとしては少し悩ましいレースになるかも知れません。

舘 信秀

総監督

やはり富士に帰ってきたらSupraは速いということが証明された。37号車は、今シーズンいろいろあって、チャンピオンの可能性を失ってしまっている。サッシャが入国することができずに阪口晴南選手をピンチヒッターとしてステアリングを握ってもらったり、通常のドライバーラインアップで戦うことができなかった。終盤の3戦はオリジナルのメンバーで戦えたが、サッシャは約10ヶ月間SUPER GTレベルのレーシングカーをドライブしていなかった。この最終戦で3戦目。若いけどやはりその能力は高い。走路外走行でトップタイムを抹消されてしまったらしいけれど・・・。36号車は走り出しから順調だったけど、37号車は順調とは言えない状況の中で、セットアップを変更しつつここまできた。昨シーズン、本当に悔しい思いをさせられた富士の最終戦なので、今年は笑顔で終えられれば良いと思っている。勝ってオフシーズンを良い気持ちで過ごせれば最高です。36号車は、勝てばチャンピオンへ一歩前進するけれど、チームオーダーを出すようなことは考えてはいない。

決勝:レース内容

快晴の空の下、決勝66周のスタートが切られた。スタート直後の1コーナーでチームメイトの36号車が好スタート。アウト側に並んできた。チームメイトとはいえ、順位を争うライバルには変わりない。イン側のTGR TEAM KeePer TOM’S 37号車は、無理をせずにラインをキープ。その結果としてポジションをひとつ落として1周目を終えたが、2周目にすぐに前を行くポイントリーダー、NSXの1号車をパスして36号車に続いて3位へ。トップを行くSupraの14号車とともにトップ3はSupraが独占した。序盤のセーフティーカーランからのリスタートで36号車とともにポジションアップ。TOM’Sの1-2体制が築かれた。約4秒から5秒の差で周回を重ねた2台は、そのままフィニッシュラインを切り、TEAM TOM’Sとしては最高の結果となったが、37号車としては昨年の雪辱を晴らすことはできなかった。

●フェネストラズがスタートドライバーを担当した。

●スタート直後の1コーナーでは、直前の1号車、そして背後から36号車が接近。一塊となってクリッピングへ。イン側のラインをキープしてクリア。1号車のテールに食らい付いて、2周目の1コーナーで3位へ。

●7周目から12周までセーフティーカーラン。リスタートで36号車と共にトップの14号車をパスしてTOM’Sの1-2体制。

●27周してピットイン。平川へドライバー交代。ピット作業で若干のタイムロス。

●ピットインのタイミングでトップとの入れ替わりは実現できなかった。

●トップの36号車を追いつつ、14号車との間合いを注視しながら2位をキープしてフィニッシュ。

●平川がランキング7位。フェネストラズは、終盤3戦で17位。チームランキングは7位で2021年シーズンを終えた。

Driver Race
Result
1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
平川 亮 P2 1’28.754
サッシャ フェネストラズ 1’29.716

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

平川 亮

37号車ドライバー

勝ちたかったですね。でもチームとしては最高の形でシーズンを終えることができた。ピットストップでかなりタイムロスをしてしまったので、コースインした時点ですでに36号車と戦えるポジションではなかったですね。ロスがなかったら前に出られたかも知れませんが、タラレバの話をしてもしようがないですからね。しかし、チームとしてはこれ以上ない最高の形で最終戦を終えることができたのは良かったと思います。決勝に向けてのセッティング、アジャストはうまく行ったと思います。タイヤチョイスも自分のセカンドスティントでは路面温度が下がってきていたので、ソフトタイヤのメリットが発揮されましたが、ハードとソフトははっきりと良し悪しが出るというより、コンディションはちょうど境目でしたね。勝てませんでした。勝てませんでしたが、しっかりとしたレースができたと思うので、満足のできるレースでした。だから悔いはありません。

サッシャ フェネストラズ

37号車ドライバー

スタート直後の1コーナーでもっと頑張れば、ポジションをキープできたと思う。でもそれをしたら36号車がコースアウトしていたかも知れない。引いたわけではないけど、1周目の1コーナーでは、イン側のラインをキープしてコーナーをクリアした。スタート前に、絶対に接触はしないことをチーム内で話していた。それを守った結果として2位で今シーズンを締めくくれたと思う。今シーズンは、コロナ禍の影響で日本に入国できずに辛い10ヶ月を過ごしたが、ようやく復帰できて3レースを消化できた。前の2レースでは思うように結果を残すことができずに悔しかった。でも、今回は表彰台に立つことができて良かった。スタート時点で路面温度が22℃まで上がって、ソフトタイヤをチョイスしていたから心配だった。序盤はあまりミスしないでタイヤマネージメントをしながら走行していたから、すぐに3位へポジションを上げられた。路面温度が下がって来ると、どんどんとマシンのフィーリングが良くなって、セーフティーカーのリスタートでは36号車に続いて2位に上がれた。今回は勝てなかったけど、タイヤのマネージメントをはじめ、いろいろなことを学べたレースだった。

⼩枝 正樹

レースエンジニア

決勝に向けてのセットアップ、アジャストはうまく行って、予選の段階よりもマシンはよくなっていたと思いますが、36号車は速かったですね。スタート時点で路面温度がかなり高くなったのには悩まされましたが、サッシャがうまくマネージメントしながら走行してくれました。2位という結果の分析は、タイヤのチョイスもあるでしょうけど、それはあまり大きくなかったと思います。それよりも今回はピット作業でミスがあり、タイムロスしてしまったことが申し訳なかったですね。チームにとって1-2でフィニッシュできたので、この結果は良しと考えます。昨年の最終戦で失った運を今年36号車が取り戻してくれたのかなと考えたいと思います。来シーズンはライバルメーカーがニューマシンを投入してきます。我々ももっと速くしないといけませんね。マシンのレギュレーションも少し変わるようなことも聞いています。来シーズンもチャンピオンを目指して頑張ります。

東條 力

チーフエンジニア

スタート時点の路面温度の上昇が、どれだけ影響するのか心配されましたが、走り出してみたらそれほど影響はなかったようなので良かったです。だんだんと路面温度が下がってくれば37号車のチョイスしたソフトのアドバンテージが増してきたのですが、ピットでタイムロスしてしまったことで36号車の前に出ることはできませんでした。それでも最後の最後までチームメイトの36号車に迫る勢いを見せてフィニッシュしてくれました。TOM’Sにとっては最終戦でこれ以上ない結果で終えられたのは本当に良かったです。トップ5までをSupraが占めたという素晴らしい結果だったと思います。すでに来シーズンの戦いは始まっています。日産さんがニューマシンを投入してきます。このマシンがどのようなポテンシャルを有しているのか。我々はそれに対抗して、より速い、より強いSupraにしなくてはなりません。今シーズンは車両の規定が昨シーズンから凍結されていましたが、来シーズンはいくつかの項目で改良が認められるらしいので、そこに着目してマシンづくり、セットアップを考えていきます。

山田 淳

チーム監督

久しぶりの表彰台となる2位。勝つことはできなかったけど、良いレースができてTOM’Sとしては1-2でフィニッシュできたのは良かったと思います。レース中のペースが良かったので、勝てるチャンスはあったのですが、ピットインのタイミングと、ピット作業に少し手間取ってミスもあり、36号車の前に出ることができなかった。第7戦で他車と接触して順位を下げてしまっているので、その点は気をつけて、気をつけ過ぎた面もあったかも知れないけど、それは結果を見れば良かったのかと判断しています。37号車としては昨年の最終戦のことを思い出せば、勝ちたいという気持ちが強かった。でもチームメイトの36号車は勝てばチャンピオンの可能性がある。チーム内での順位コントロールはしていませんが、ドライバーの心理を考えつつ周りの状況を注視してゴールまで導くという難しさを改めて感じたレースでした。レースの難しさをつくづく感じさせられた今年の最終戦でした。勝てなかった。また勝てなかったという悔しさはあります。しかし、チームとして最高の1-2フィニッシュ。36号車はチャンピオンになることができた。37号車としては、この結果を受け入れるしかないですね。

舘 信秀

総監督

37号車の戦いも素晴らしかった。今回は36号車に主役を持って行かれたという存在だったけれど、スタートからゴールまで良いレースができたと思う。ピットのロスタイムはやはり痛かった。それがなかったら36号車との差はもっと少なかっただろう。前に出られたかも知れない。しかし、同じチーム内での接戦となっていたら、それも総監督としての立場では、苦しく、辛いものがあっただろう。チームとしては最終戦で、久しぶりに多くのファンの皆さんの前で1-2フィニッシュを飾ることができて最高だった。スポンサーの皆さん、応援してくださったファンの皆さんに大いに楽しんでいただけたのではないかと思う。この最終戦を終えて息つく間も無く、来シーズンへの準備が進められて行く。2022年シーズンもチャンピオンを目指す戦いにチャレンジします。最後に今シーズンも応援いただきありがとうございました。

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