SUPER FORMULA 第2戦 レースレポート

開催
サーキット
鈴鹿サーキット(5.807km)
日時 4月24日(土) 4月25日(日)
来場者 7,000人 9,500人
天候 曇り時々晴れ・ドライ 晴れ・ドライ
気温 21-21℃ 23-23℃
路面温度 27-26℃ 31-37℃

予選:レース内容

全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦は、舞台を鈴鹿サーキットに移して行われた。
Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 36号車のドライバーは、世界耐久選手権出場のために欠場の中嶋一貴に代わってジュリアーノ・アレジがステアリングを握った。アレジは、シーズンイン前のテストでも36号車をドライブしている。37号車のレギュラードライバー宮田莉朋は、Q1、Q2を各セッションの最下位で通過。そして、Q3では6番手となり、決勝グリッド3列目からスタートすることとなった。アレジもQ3まで進出、8番手4列目から決勝30周をスタートすることとなった。 

●Q1は2グループに分かれ、アレジがAグループ、宮田がBグループでQ1に出走した。
●アレジは、初となるSUPER FORMULAの予選アタックでQ1Aグループの2番手タイムを叩き出した。
●宮田はQ1アタック周で順調に各セクターをクリアし、最終コーナー手前のシケインに差し掛かった時に、一台のマシンに引っ掛かってしまいタイムロス。ギリギリ7番手でQ1突破を果たした。
●アレジは、5番手でQ2突破。宮田はセッティング修正を行なったがタイムが伸びず8番手でQ3へ進出した。
●宮田は、セッティングを微調整してQ3に臨み、上位陣と同じ1分36秒台に突入し、開幕戦の富士と同じ6番手グリッドを確保した。
●アレジは、36秒台に突入することができず、Q3出走8台中8番手で決勝を迎えることとなった。

DriverCar No.Q1Q2Q3
ジュリアーノ・アレジ36A P2 1’37.648P5 1’37.099P8 1’37.350
宮田 莉朋37B P7 1’38.130P8 1’37.250P6 1’36.919

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

Q1で走り出すと、すごくフィーリングが良く、2番手のタイムを出すことができてとても嬉しい。練習走行からマシンセッティングをほとんど変えていないし、マシンの状況はとても良かった。SUPER FORMULA LIGHTSからSUPER FORUMULA(SF)に乗り替えてもすぐにドライビングをアジャストすることができたし、タイムも出せた。Q2では、SFで自己最速のタイムを出せたのは良かったが、Q3でそのタイムを更新できなかったのは残念。Q3ではちょっとプッシュし過ぎてしまった。タイムアップしようとしてQ2とは違ったドライビングにトライしたけれど、それが逆にタイムアップに繋がらなかった。Q2のタイムが出せていたらもっと前のポジションからスタートできたので悔しい。SF初の決勝はタイヤマネージメントがキーとなると思う。練習走行でロングラップはトライしているけれど、その経験を基に良いドライビングができればと思っている。それで、ポイントをゲットできればと思っているけれど、できれば上位でフィニッシュできればそれに越したことはないと思っている。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

いやー。もう終わったと思いました。セクター3まで順調で、セクター4も練習走行と同等かそれ以上のタイムが出せると思っていて、1分37秒の後半は確実にマークできると思っていたので、シケインで引っ掛かるとは思ってもみませんでした。Q1で終了かと思いましたが、セクター3までのタイムが良かったのでなんとか通過できました。本当にヒヤリとしました。Q2に向けては練習走行で確認できていた部分を変更してもらいコースインしたのですが、思ったようなグリップ感がなく、タイムアップはできたのですが、思ったような上がり方ではなかったです。Q1でフルアタックができなかったため、完全なデータが取れず、Q2に向けてのセットアップ変更も十分でなかったから、思っていたタイムアップに繋がらなかったのかと思います。走行中にセクター毎の遅れなどの情報をもらいつつ、タイムを出すのはドライバーの仕事ですから、ドライビングで修正し、Q3で36秒台に入りましたが、予選を通してグリップ感が足りなかった。コンディションの変化に対応していろいろトライしたのですが最後までグリップ感が薄い予選でした。6番手スタートは、優勝を望めない位置ではないので、最善を尽くします。

大立 健太

36号車エンジニア

Q1で2番手。その瞬間は嬉しい驚きでしたね。SUPER FORMULA(SF)の初戦ということで、ガレージでも操作系のチェックをじっくり1時間ぐらい行い、鈴鹿に入ってからももう一度コクピットに入って確認して練習走行に臨んでいます。彼はとても慎重で心配性なので一つ一つチェックして前に進むタイプですね。練習走行は鈴鹿のベースセットで走り、ロングランも行いました。セッティングに関してはシーズン前のテストと、一貴(中嶋)さんのセットを参考にしたベースセットとしています。現状彼は、まだSFのマシンのドライビングに慣れていないと自身でコメントしているので、もっと慣れてもらい、ボクはその中でもマシンをより良くしたいという状況です。Q2で1分37秒0まで詰めたので、Q3も期待していましたが、頑張り過ぎてしまったのでしょう。データを見るとブレーキングもQ2と比較して良くなかった部分がありますね。練習走行のロングランデータを分析して、いろいろとミックスして決勝のセットアップをしたいと思います。

小枝 正樹

37号車エンジニア

午前の練習走行と午後の予選でコンディションが変わってしまい、午前から午後へのセッティング変更もうまくマッチしてくれなかった。それがQ1からQ3まで引きずってしまったのか、思うようにタイムアップできず、順位を上げられなかった原因ですかね。マシンのバランスが変わってしまって、グリップ感も足りなくて、それに対して大きくセットを変更するリスクは避けたかったので、Q3まで進出し6番手というのは莉朋の頑張りで得られたポジションであると思います。コンディションの変化にアジャストしきれなかったのは申し訳ないと思います。予選の時刻では気温も下がってきて、当然路面温度も下がって、タイヤに対してはグリップが出やすい状況であったのに、それに反してグリップ感が出なかったというのが、一体どうしてなのかわからない。同じ状況下でタイムアップしているチーム、ドライバーもいるわけですから、我々の力不足です。それでも6番手スタートできるので、順位アップできるように決勝日、朝の走行でセットアップを決めて決勝に臨みます。

東條 力

チーフエンジニア

まず、アレジは期待以上の頑張りでしたね。Q1でいきなり2番手ですから。練習走行では、ベースセッティングで走り出して、まずまずのタイムが出せたので、そこからセッティングを変更してペースを乱すのは避けたかったので、そのままロングランを行なっています。初めての予選ですから、シンプルなサポートをしたことが良かったのだと思います。でも、Q3ではちょっと頑張りすぎたのかな。やはり欲張るとやり過ぎてしまってタイムを落とすことがありますよね。Q2のタイムが出せていれば、もう1、2ポジション前にいけたかな。莉朋は、Q1でヒヤリとしました。シケインで引っ掛かり、あの周がベストなタイヤコンディションだったので、ダメかなと思いましたけれど、何とか通過してくれました。Q2はどこかでミスしてしまったのでしょうかね。莉朋に関しては大きな問題はないのですが、できれば同じトヨタエンジントップの4番手、平川選手の前で予選は終えたかったですね。決勝に向けては、莉朋は、練習走行では予選に集中したのでロングランはしていません。アレジは、ロングのタイヤマネージメントをもっと何とかしなくてはならない状態です。

舘 信秀

チーム監督

今回、中嶋一貴がWECのスケジュールの関係で欠場せざるを得なくなり、SUPER FORMULA LIGHTSに参戦しているジュリアーノ・アレジを起用した。彼は、FIA F2も経験しているし、シーズン前の鈴鹿テストでもこのマシンに乗っているので心配していなかったが、Q1のAグループでいきなり2番手タイムを叩き出してくれたのは、驚きだった。Q1は通過してくれるだろうと思ってはいたけれど、いきなり「オーッ」という感じだった。そして、結果としてQ3まで残ってくれた。F2で揉まれて来ただけある。GOOD JOBだ。
宮田莉朋は、Q1のシケインで前にマシンがいたため、大きくタイムロスしてしまったのを見て、これで終わってしまったかと思ったけれど、ツキがあった。ギリギリQ1を突破、Q2も最後尾とヒヤヒヤの予選だったけれど、なんとかQ3では6番手まで挽回してくれて、トヨタエンジン勢としては2番手となった。ここから順位アップして表彰台に立つ展開を決勝では期待したい。それにしてもホンダエンジン勢が今回の予選でも速いのが気になる。

決勝:レース内容

晴天に恵まれた決勝日。例年の気温に反して時折強い冷たい風が吹く鈴鹿サーキットだった。6番手スタートのKuo VANTELIN TEAM TOM’S 37号車の宮田莉朋は、スタートの瞬間の反応は良かったが、その後1コーナーまでにスピードが伸びずに順位を落としてしまい、集団の中に埋もれてしまった。36号車のジュリアーノ・アレジも順位を落として30周のレースが始まった。チームはレースの半ばでピットイン、タイヤ交換する作戦を取った。16周目に1台が130Rで大クラッシュ。セーフティーカーが導入された。その周に宮田、アレジの順でピットインし、そこで順位アップに成功。その時点で宮田は6番手を確保、アレジはその後2ポジションアップして9位でフィニッシュした。

●宮田は、スタートの蹴り出しは良く発進したが、加速時にホイールスピンしてしまい、イン側のラインをとったことで集団に埋もれてしまった。その時点で8位に後退。
●アレジは決勝日の朝からクラッチシステムに不具合があり、何とかスタートを切ることはできたが14位まで大きく順位を下げた。
●宮田は前を行く坪井選手を追い立てて序盤の周回を重ねた。
●ピットインを行える11周目から上位陣がピットへ向かい宮田、アレジ共にそこからペースアップして作戦通りにレース半ばでピットインする作戦をとった。
●16周目にセーフティーカーがコースイン。同時に宮田がピットインし、タイヤ交換をして迅速にコースイン。アレジも同ラップにピットインし、スムーズにコースに戻った。
●宮田はポジションを守り6位フィニッシュ。アレジは24周目、27周目にポジションアップして9位フィニッシュを果たした。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
ジュリアーノ・アレジ36P9/1‘41.474
宮田 莉朋37P6/1’41.582

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

ポイントをゲットすることができてとてもハッピー。でも、良いところもあれば、悪いところもあって、まだいろいろと勉強しなくてはならないことが沢山あると思います。クラッチにトラブルがあってスタートはあまり良くなかった。でも、スタートできたこと自体がラッキー。レースできたのだから。そしてチームの作戦は最高だった。ピットインで順位をアップできたし、その後も2台をパスすることができた。最初のタイヤセットでバイブレーションが感じられたけれど、2セット目は全く問題なくて快調、グリップも良かったのでバトルを展開することができた。次のSUPER FORMULAのレースはいつになるか今はわからないけど、オートポリスはチャンスがあれば、走ってみたいコースだと思った。コース図を見ただけだけど、とてもチャレンジングなコースだと思う。トリッキーなセクションもあってすごく面白そうだ。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

スタート自体は良かったです。でもその先でホイールスピンが多くて前に進むことができませんでした。そして1コーナーではアウト側に坪井選手がいて、彼にはクリーンエアーが当たっていて、ボクは前が詰まっていてクリーンエアーが当たらなかったのでダウンフォースもあまり得られないのでパスされてしまった。その後、坪井選手についていったのですが、そこでダウンフォースが少ない状況でタイヤを酷使してしまうのも良くないし、他のドライバーにタイヤのトラブルも出ていたので、タイヤを温存してペースをキープし、前が開いた時にプッシュしていました。それが結果的に的中してピットインのタイミングで順位を上げることができました。当然より良い順位でフィニッシュしたかったですが、昨年のスポット参戦以降、これまでの予選で全てQ3まで進出できて、決勝で全てポイントをゲットできているので、ドライバーとして最低限の仕事はできているかと思っています。次のオートポリスは昨年、中嶋選手に代わって走っているのでデータがあるし、小枝エンジニアと組んで3戦目になりますが、セッティングの方向性も決まってきたので、優勝を目指します。

大立 健太

36号車エンジニア

実は朝からクラッチのシステムに問題が発生してしまって、そこからクラッチシステム全体を変えるにもアジャストする時間もなくて、何とかそのままスタートしてもらったという状態でした。ですので、スタートの状況はしようがないと思っています。直前のフリー走行でもアンチストールが出ていたので、スタートでは「何とかスタートしてくれ」と祈っていました。鈴鹿はセーフティーカーが導入されることが多いので、早めのピットインをするマシンがあるだろうと予測し、こちらは引っ張って遅めのピットインの作戦でした。ピットインで大きく順位を下げることなくレースに復帰できたのはラッキーでした。終盤では、山下選手、大湯選手との競り合いに勝ってパスしてきた。S字コーナーではサイドバイサイドのバトルを演じたのは素晴らしかったですね。決勝のペースも良かった。莉朋と同等、それ以上のタイムを出して頑張った。彼の素晴らしいドライビングでポイントをゲットすることができました。

小枝 正樹

37号車エンジニア

スタートの蹴り出しは良かったみたいですが、その後にホイールスピンさせてしまって、行き場もなくなってしまって順位を落としてしまいましたね。序盤は坪井選手に迫っていったのですが抜けず、それから間隔を開けてタイヤをセーブしていると連絡があったので、状況をみながらペースアップしていました。レース半ばを過ぎ、そろそろピットインしようかという時に130Rで大クラッシュが発生したので、すぐさまピットに入ってもらいました。もし、クラッシュがなくて、もっと前が空いた状態で、さらにペースアップできていたならもう少し順位を上げられていたかもしれませんね。セカンドスティントでもペースアップを期待していたのですが、コースインした直後からタイヤのバイブレーションが発生していて、またグリップ感も少なくて苦しい展開となってしまいました。ピットインのタイミングで先にピットインしていた坪井選手の前にも出られたので、それは良かったのですが、タイヤのバイブレーションがなければ、もう一つくらい順位を上げられたかなと思います。

東條 力

チーフエンジニア

莉朋、ジュリアーノともに、ポイントを獲得することができて、最小限の目標は達成できました。ジュリアーノはクラッチにトラブルを抱えていたとはいえ、前半のレースペースが良くなかったですね。朝のフリー走行を終えた段階で、路面温度も高めだし、タイヤの温度も予想よりも高かった。摩耗もかなり進んでいたので、レースの半ばまでは1セット目のタイヤで走行するのが良いと判断しました。他チームが早めのピットインを行なったことで莉朋、ジュリアーノの前が開けたので自分のペースで走ることができて、そこで自己ベストのラップタイムを連続して出してくれました。そのおかげでピットイン後に順位を上げられましたね。莉朋には表彰台を期待していたのですが、2戦目ではまだ難しかったかな。ジュリアーノは最後に自分で二つ順位を上げてきて合格点の初レースでした。次戦のオートポリスでは莉朋に期待しています。昨年、スポット参戦していて予選で速さを見せています。中嶋一貴が帰って来られるかどうか。コロナ禍で微妙ですね。ジュリアーノが走るにしても初のサーキットでどれだけ頑張れるかですね。

舘 信秀

チーム監督

作戦会議でセーフティーカーが入ることを考慮してどうするか、我々チームは、できるだけ引っ張って、レースの中盤までステイアウトすることにした、その作戦はうまくいったと思う。ピットインできる11周目に多くのマシンがピットに入って、その先で莉朋もジュリアーノもペースアップして頑張ったので作戦通りの展開となった。そしてやはり、セーフティーカーがコースインすると、同時に2台を呼んでコースへ送り出すことができた。これで莉朋は、スタート順位に戻すことができた。開幕戦と同じ6位。やはり予選の順位をもっと上げていかないと表彰台への到達は難しいのかな。ジュリアーノは、前半に順位を落としてしまったが、クラッチに問題を抱えていたので、スタートができただけでも良かったと思う。そしてピットイン後の挽回は素晴らしかった。9位フィニッシュでポイントも獲得した。予選に続いて、またしてもGOOD JOBだった。

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