SUPER FORMULA 2022 第4戦 レースレポート

開催
サーキット
オートポリス(4.674km)
日時 5月21日(土) 5月22日(日)
来場者 3,400人 5,100人
天候 曇り時々晴れ・ドライ 晴れ・ドライ
気温 21-21℃ 24-23℃
路面温度 31-34℃ 44-41℃

予選:レース内容

全日本スーパーフォーミュラ選手権、鈴鹿の第3戦を終えて一気に南下。九州は大分県、熊本県との県境にあるオートポリスで第4戦を迎えた。土曜日の午前中から走行プログラムが開始され、練習走行では夜半まで降っていた雨の影響によって、コースの一部にまだ濡れている所が点在していたが、午後の予選では雲間から日差しが差し込み、コースコンディションは完全にドライ。路面温度は一気に上昇するコンディションとなった。2グループに分かれて行われるQ1では、Aグループで出走したジュリアーノ・アレジは、鈴鹿大会に続いて敗退してしまった。Bグループの宮田莉朋は、5番手でQ2に進出を果たした。Q2では、セッションの終盤まで宮田がトップタイムをマークしていたが、最終盤にディフェンディングチャンピオンの野尻智紀選手に逆転を許して2番手となり、決勝をフロントローからスタートすることとなった。

●アレジがAグループ。宮田がBグループで予選のQ1に出走した。各グループのトップ6がQ2に進出できる。
●アレジは、ピットアウト/インでマシンチェックをした後に、ニュータイヤをセットしてコースイン。計測2周目に1分25秒台を記録したが、タイムが伸び悩み0.3秒及ばすにQ1突破ならず。決勝は17番手のグリッドからスタートすることとなった。
●宮田もアレジと同じく、ピットアウト/インの後に、ニュータイヤで計測2周目にアタックをかけた。しかし、第2ヘアピンの出口でリヤタイヤが縁石をまたいでしまい、大きくタイムロスしてしまった。それでも5番手でQ2進出を果たすことができた。
●路面温度が午前中の練習走行から13℃上昇していることを考慮して、宮田はQ2のアタック作戦を変更。コースインして翌周の計測1周目にアタックをかけると、コース上の12台の中で最初に1分24秒台に突入しトップとなった。この状況が7分間のセッション終盤まで続き、ポールポジション獲得かと思われたが、野尻選手が宮田のタイムを更新し、国内トップフォーミュラの初ポールは、次戦以降に持ち越しとなってしまった。

DriverCar No.Q1Q2
ジュリアーノ アレジ36A P9 1’25.567
宮田 莉朋37B P5 1’25.245P2 1’24.798

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ アレジ

36号車ドライバー

予選のトップから1秒以上も遅いタイムしかマークできていない事態になってしまって、自分自身も混乱している。一体何が問題なのか、どうしてペースが上がらないのか、エンジニアと共に、マシンに何が起こっているのかを探している。予選はもう終わってしまったので、決勝に向けてセットアップを変更して、17番手からなんとかポジションを上げられるように、決勝前のフリー走行でいろいろトライしたい。グリッド後方からスタートするので、大きな変更も必要かもしれない。チャレンジしないと得る物もないと思っている。頑張ります。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

練習走行時より路面温度が13℃くらい高かったので、Q2は作戦を変えてコースインして次の周にアタックをかけました。1コーナーを過ぎてフロントタイヤの温まりは充分でなかったし、第2ヘアピン手前まで来てもリヤタイヤのグリップがピークじゃなかった。周りはポール獲得かと期待してくれていましたが、タイムは24秒7だったので、自分では良くても3番手くらいかと思っていたところ、2番手なので良かったなと思っています。Q1のアタックラップではタイムロスしてしまい、あれがなかったらQ1も24秒台に入れていた。決勝では、少なくともこの位置を守ってフィニッシュしたいと思います。

大立 健太

36号車エンジニア

走り出しはまずまずだと思っていたのですが、そこでフィットしていたのが、鈴鹿から持ち越した、走行距離の少ない、コンディションの良いタイヤだったので、その時点の状況は良くて当然だったと思います。そこから先タイムが伸びず、アンダーステアーが強かったので、それを修正して予選に臨みました。あまりにもオーバーステアー方向に変えてしまうのは危険なのですが、結果的にはもう少しオーバー方向に振った方が良かったのかも知れません。後方からの決勝となりましたが、オートポリスはタイヤが厳しいコースなので、ケアをしつつ、ピックアップの対応も考えてのセッティングが重要となります。

小枝 正樹

37号車エンジニア

莉朋本人が、計測1周でトライしたいと言うので、それに賭けてみました。Q2セッションの終盤までトップでしたから、ポール獲れたかなと期待が膨らんだのですが、最後に野尻選手が来てしまいました(笑)。Q1で失敗し、それが無かったらどれだけタイムが出ているか、作戦変更での比較対象ができていないのですが、結果は2番手ですので良しとしたいです。今日は予選に集中していたので、まだ決勝に向けての対応はほとんどしていませんが、明日のフリー走行でセットしてレースに臨みます。

決勝:レース内容

初夏を感じさせる晴天に恵まれた決勝日。降り注ぐ日差しと爽やかな風がオートポリスを包んでいた。気温が上がり、路面温度は一気に40℃以上となった。決勝42周をフロントロー2番手からスタートした宮田莉朋は、スタート時の反応は良かったが、その先、1コーナーまでの間、スピードが伸びずに3番手に落ち、1周目のコース前半で4位まで順位を落としてしまった。レースの序盤にアクシデントが重なり、2度セーフティーカーがコースインする荒れた展開となった。レース中盤に差し掛かる前にピットインして、タイヤ交換義務を果たしレースに復帰。全車がピットインを済ませた時点で5位となり、そのままの順位でフィニッシュした。ジュリアーノ・アレジは、序盤のアクシデントに巻き込まれることなく順位をアップ。10位近辺まで順位を上げられる可能性があったが、ピットイン前にコースオフしてサスペンションを痛めてしまい、修復してレースに復帰したが、36周してレースを終えた。

●宮田は、スタート直後のシフトアップで新たなトライを実行し、トップに躍り出る作戦をとった。
●スピードが乗らず、3番手スタートの牧野任祐選手に1コーナーまでに並ばれてしまい、順位を落とす結果となってしまった。
●1周目に3コーナーで1台がコースオフしてクラッシュ。セーフティーカーが3周して、再スタートするも、また同じ3コーナーで数台が接触。9周までにセーフティーカーが2度導入された。
●10周目以降のタイヤ交換義務により、早くもピットインするマシンがあり順位が変動。宮田3位、アレジ8位でレース中盤に突入して行った。18周して宮田がピットインした後はポールスタートの野尻智紀選手との4番手争いを展開。オーバーテイクシステム(OTS)を約1周使って抜きにかかったが成功せず。0.5秒差まで追い詰めたがそのままフィニッシュした。
●アレジは、21周目にコースオフしてウォールにヒットしてしまった。サスペンションにダメージを負い、ピットまでたどり着いたが、修理に時間がかかり、レースに復帰したがその時点で最後尾まで落ちてしまった。
●アレジは、36周してフィニッシュラインを切ったが、規定周回数の90%=38周未満で完走扱いにならず、順位は与えられなかった。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
ジュリアーノ アレジ36規定周回数不足/1’31.154
宮田 莉朋37P5 / 1’30.264

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ アレジ

36号車ドライバー

スタートも良くなくて、ポジションを上げられたのは、リタイヤしたマシンがいたから。ペースも決して良くなくて、コースオフもしてしまった。何かがうまく噛み合わない。それは今シーズン始まってからずっと続いているので、早くその原因を見つけて、速くて強い姿を取り戻したい。良いところが全然無かったオートポリスだった。このような経験はもうしたくないので、問題を解決して次戦に臨んで、できる限り良い結果を示すことしか考えていない。そのためにできる限りの準備をすることが重要だと思っている。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

スタート直後の加速の強化を狙い、新たな方法にトライしましたが慣れていなくて、スピードが乗らずに牧野選手に前に出られ、平川選手にも抜かれてしまいました。ピットイン前はペースが良かったのですが、その後はタイヤのグリップ感がなくてとても苦労しましたし、ペースも上げられず大変でした。OTSを使ったのですが、野尻選手にセクター3で離されて、抜くまでに至りませんでした。ピットインをもっと引っ張る作戦を取っていたら2位で終われたかなと、タラレバの思いはありますが、タラレバでもポジティブな要素があるので、ドライビングと共に作戦面でも反省して、改善して行けば、次戦の菅生で良い結果を残せると思うので勝利を目指します。

大立 健太

36号車エンジニア

予選から決勝へ向けて、セッティングを大きく変更しています。レース前の練習走行では、タイヤの摩耗がかなり進んでいるものだったので、アンダーステアーが強いという報告が上がってきていましたが、本番でフレッシュなタイヤを装着すれば解消されると読んでいたのですが、結構オーバーステアー傾向が強くなってしまっていたようです。予選日のセットをベースにしていたのなら、それは無かったのかなと思います。路面温度の上昇や変化もあり、それに合わせるのに苦労しました。今回の経験を活かしながら次戦に臨みます。

小枝 正樹

37号車エンジニア

スタート、ピットインのタイミング、そして野尻選手のペース。この3つのネガティブな要素によってポジションを落とし、上げることもできなかった。前をいく野尻選手のペースが予想以上に遅かったので、それに付き合ってしまった感じですかね。OTSを使ってもセクター3で離され、抜けなかったのも大きかったと思いますが、ディフェンディングチャンピオンにしてやられた感がありますね。結果論ですが、ピットインのタイミングは、遅らせた方が良かったですね。トップ3は結構引っ張って、後続とのギャップを築いていました。次戦の菅生では再び勝利を目指します。

舘 信秀

チーム監督

今回、宮田は勝てると思っていたが、出だしから、予想外の展開となってしまった。宮田よりも後方からスタートを切ってトップ3でフィニッシュしたドライバーたちのレースペースが良かった。特に平川 亮選手の1周目の神技ようなパッシングは素晴らしかった。野尻智紀選手を攻略できなかったことが悔やまれるけど、トップグループで走ることができるパフォーマンスはあり、宮田自身は常にポジティブな意識を持っているので、今後に期待している。アレジは、今回も苦しんだ。彼にとっては今が試練の時。この状況に耐えて打開してほしい。

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