SUPER FORMULA 2022 第3戦 レースレポート

開催
サーキット
鈴鹿サーキット レーシングコース(5.807km)
日時 4月23日(土) 4月24日(日)
来場者 6,000人 10,000人
天候 晴れ・ドライ 雨・ウエット
気温 24-23℃ 17-17℃
路面温度 31-30℃ 20-21℃

予選:レース内容

2週間前のダブルヘッダー、第1戦、第2戦を終え、 2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は鈴鹿サーキットで第3戦を迎えた。第2戦で自己初の表彰台に立った宮田莉朋は、練習走行から好調な滑り出しを見せて予選に臨んだ。一方、ジュリアーノ・アレジは、練習走行の開始早々こそ宮田とほぼ同じラップタイムを刻むが、その後はタイムが伸び悩んだ。そして迎えた予選、Q1A組でコースインしたアレジは痛恨の敗退。Q2に進むことはできなかった。宮田は、Q1を突破して、ポールポジションを目指してQ2に臨み、アタックラップの最終セクターまでポール獲得を期待させるアグレッシブな走行を見せた。しかし、シケイン手前のブレーキングでタイムロス、シケインの中でもロスしてしまって4番手、 2列目のグリッドから決勝をスタート。 タイムロスがなければ自己初のポールポジションを獲得できていたはずだった。アレジは17番手、9列目から31周のレースをスタートする。

●アレジがA組。宮田がB組で予選Q1に出走した。
●各組トップ6がQ2に進出を果たすことができる。アレジは、Q1突破に0.310秒届かず9番手となってQ1で敗退してしまった。
●宮田は、Q1を3番手で突破。グループBQ1トップのディフェンディングチャンピオン野尻智紀選手から0.1秒差。Q2で十分にポールポジションを狙える状況だった。
●宮田はQ1のタイムアタックのルーティーンと同じように、Q2でコースインして2周のウォームアップからアタックラップに移った。
●これまで以上にアグレッシブに各コーナーを攻める宮田だった。第3セクターまで思い描いていた通りの走りができていた。
●第4(最終)セクターの締めくくり、シケイン手前のブレーキングに入った途端、フロントタイヤがロック。マシンを立て直してシケインに進入したが完全にリズムが崩れてしまい、ステアリング修正を繰り返しながらクリア。少なくとも0.3秒はロスしてしまった。結果はポールタイムから0.27秒差の4番手。

DriverCar No.Q1Q2
ジュリアーノ アレジ36A P9 1’37.846
宮田 莉朋37B P3 1’37.060P4 1’36.557

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ アレジ

36号車ドライバー

練習走行の走り出しは、莉朋選手とほぼ同じだったから悪くはないと思っていた。その後いくつかのセッティング変更にトライした。マシンは少しは良い方向に改善されたけど、思っていた方向に大きくは進まなかったので、元の方向に戻したが、思っている動きにならなかった。エンジニア、スタッフの努力で改善はされている。それは確かだけど、タイムの更新に繋がっていない。ドライブしやすくてもタイムに繋がらないとどうしようもない。そこが今抱えている問題。明日は雨、ウエットだから、また違うストーリーになる。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

予選のアタック周まで、ヘアピンとかシケインで攻めた走りができていなかったのですが、アタックラップではそれができた。しかし、シケインのプレーキングでロックしてしまい、シケインの中ではリズムが崩れてしまってタイムロス。第3セクターまで最高の走りができていたのに第4セクターでロスしてポールポジションを獲得できなかった。悔しさが無いわけではないですが、ポールポジションを争えるところまできたということをポジティブに思いたいです。ブレーキングで何が起きたのかチェックして、決勝では雨でも、スタートを決めて優勝を目指します。

大立 健太

36号車エンジニア

練習走行の状況で、出だしは良かったのですが、その後あまり良くない方向にマシンのセットアップを持って行ってしまったかと思います。一旦は元の方向に戻したのですが、完全に戻して仕切り直すべきだったのではないかと反省しています。結果として良いセットアップに持っていけず、タイムも伸び悩んでしまいました。ドライバーの好みのドライビングに完全にはマッチしていなかった。彼がこうしたいという部分でマシンが動いてくれなかった。明日の決勝は雨模様。過去の鈴鹿で雨のデータがありますので悪くない状況です。

小枝 正樹

37号車エンジニア

ドライバーの言う通り、攻め切った結果としてポールポジションを獲得できなかった。攻めての結果ですからしょうがないですね。アタックの締めくくりのシケイン前で起こったブレーキロックをセッティングで助けてあげられなかった。結果論ですが、もし何かプラスαできていたなら、あの状態にはならなかったのかなと思います。シーズン前の鈴鹿テストから悪くはなく、その延長線上でマシン創りをし、ブラッシュアップしてきたのですが少し足りなかった。決勝は雨予報ですから、未知の領域が加わってしまいますが、合わせるしかないですね。

決勝:レース内容

予報通り天候は雨。ウエットコンディションの決勝日を迎えた。午前中の練習走行30分間と決勝直前の8分間の走行で濡れた路面に合わせたセッティングを行った。練習走行では時折雨脚が強まり、コースオフするマシンが続出したため、セッションが中断するシーンもあった。決勝は通常のスタンディングスタートで開始された。スタートの瞬間、2列目イン側の宮田莉朋のマシンが一台だけ動きが止まっていた。即、動き出したがホイールスピンを起こして大きく出遅れてしまった。ジュリアーノ・アレジは、スタートポジションをキープしていたが、4周目のスプーンコーナーでコースオフ。レースに復帰したが最下位まで順位を下げてしまった。難しいコンディション下でアレジは15位、宮田は18位でフィニッシュし第3戦を終了した。

●スタートシグナルがオールブラックとなった瞬間、宮田はクラッチをミートさせたが、マシンは微動だにしなかった。何度か操作を繰り返したところ、ミートできて駆動がかかったが、ホイールスピンを起こしてしまい大きく後退。1周目の順位は7位まで下がってしまった。
●宮田の無線はスタート時点からトラブルが発生していた。走行中の細かな連絡、情報のやり取りができなかった。ピットインなどの指示は、サインボードで行うしかなかった。フロントタイヤの摩耗が進み、17周してピットイン。タイヤ交換しレースに復帰したが、19位まで順位を下げた。
●アレジは、スタートポジションを維持して序盤を走行。今回何台ものマシンがコースオフ、スピンをしているスプーンコーナーでアレジも単独スピン。クラッシュを逃れてコース復帰に成功したが、最下位まで順位を下げてしまった。
●アレジもグリップの低下に苦しい走行を強いられていたが、ステイアウトして走り切って15位まで順位を挽回した。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
ジュリアーノ アレジ36P15 / 1’57.876
宮田 莉朋37P18 / 1’57.273

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ アレジ

36号車ドライバー

コンディションはとてもタフで難しかった。スタートした途端、前のマシンがかき上げるスプラッシュで何も見えない状況だった。その中でのレースはすごい経験だった。ペースは悪くなかったと思うけど、コンディションも変化して、タイヤのグリップもどんどん失われて辛かった。序盤でスプーンカーブのアウト側ホワイトラインに乗ってしまってスピンしたけど、クラッシュしなかったのは幸いだった。ピットインしてタイヤ交換というチョイスもあったけど、ステイアウトしてフィニッシュ。順位は上げられたけど、ポイントは獲得できなかった。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

ハンドクラッチを操作しても全く動かなかった。直前の練習では全く問題なく、ウエットでのスタートに感覚は合っていたので、決勝のスタートでなぜミートしてくれなかったのかビックリです。何度か操作したらなんとか駆動がかかったのですが、いきなりミートできたのでホイールスピンしてしまって、大きく順位を下げてしまいました。無線もトラブルで聞こえたり聞こえなかったり。フロントタイヤがグリップダウンしてきたので、ピットインして替えた方が良いのか、替えたライバルのペースはどうなのかなど、無線で情報交換することができませんでした。今回は、戦う以前に問題が多すぎました。次戦はまずトラブルがないように準備して臨みたいです。

大立 健太

36号車エンジニア

雨のフィーリングは悪くなかったと思います。雨が降り続く予想だったので、ヘビーウエットのセッティングでしたが、状況はその逆になってしまい、苦しい展開になっていたのは事実ですね。しかし、後方からのスタートですとペースも良くなく、雨の量も変化していたので難しいのは確かです。タイヤの摩耗が進んで、レインタイヤのブロックも壊れるような状況で、ジュリアーノから、もう無理という報告が入ったのですが、スピンして最後尾まで下がってしまったので、我慢してそのままステイアウトしてもらい、他車がピットインした分順位を上げられました。

小枝 正樹

37号車エンジニア

一体何が起こってしまったのかという状況です。決勝日の朝に行われたフリー走行と決勝直前の8分間の走行でも問題はなかったし、スタート練習も行って、それも問題なかった。原因は何だったのかをガレージに戻ってから究明しなくてはなりません。また、スタート直後から無線にトラブルが発生して、走行中の状況をドライバーから細かく聞くこともできなくなっていました。タイヤの摩耗に関する情報も途切れ途切れだったため、想像してピットインの判断をせざるを得ませんでした。散々な結果となってしまいました。次戦に備えます。

舘 信秀

チーム監督

莉朋は、最初ホイールスピンをしてしまって前に進んでいないのかと思っていたが、クラッチミートの不具合、このようなことが二度と起きないようにしなければならない。ジュリアーノは、結局ステイアウトして走り切って結果としては順位を上げてフィニッシュ。しかし、二人ともポイントをゲットできず。上位陣とのラップタイムの差もあり、トラブルは別として、タイヤの内圧の設定などで差をつけられた面があったことは事実。【勝って驕らず、負けて腐らず】。次戦に向けて新たなスタートを切りたい。

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