SUPER FORMULA 2022 第5戦 レースレポート

開催
サーキット
スポーツランドSUGOインターナショナルレーシングコース(3.586 km)
日時 6月18日(土) 6月19日(日)
来場者 3,600人 5,100人
天候 曇り・ドライ 晴れ・ドライ
気温 23-28℃ 30-29℃
路面温度 44-44℃ 43-44℃

予選:レース内容

2022年全日本スーパーフォーミュラのシーズンは、早くもシーズンの折り返しを迎えた。イベントの数日前に東北地方の梅雨入りが宣言されたが、週末は梅雨を感じさせない天候に恵まれた。夏日となった予選日、スケジュールは午前9時にスタートし、国内トップフォーミュラのエンジンエキゾーストノートが東北の空に轟いた。セッション最後の仕上げの走行の直前に、計時タイミングシステムがダウンしてしまい、中断するハプニングがあった。Kuo VANTELIN TEAM TOM’Sの2台にとって、この計時トラブルが大きな影響を及さなかったのは幸いだった。選手権中最もコース距離が短いSUGOでは、僅差でも予選順位に影響する。Q2に進出した宮田莉朋は、4番手グリッドを得て、2列目から決勝をスタートすることとなった。ジュリアーノ・アレジは、Q1で0.36秒及ばす、Q2に進出することができなかった。アレジは15番手グリッドから決勝の追い上げを誓った。

●2グループに分かれて行われるQ1では、宮田がAグループ。アレジはBグループで走行した。
●宮田はQ1を3番手でQ2に進出を果たした。トップとのタイム差は僅か0.09秒。このタイム差が宮田の好調を示していた。
●練習走行で宮田と同等のタイムをマークしていたアレジは、久しぶりにQ2進出の期待がかかった。
●Aグループのトップタイムは1分05秒台だったが、Bグループではタイムが伸び、トップタイムは1分04秒に突入していた。
●アレジは、十分にウォームアップを行なってからアタックを開始。05秒台に突入して、ベストタイムは1分05秒437をマークした。トップ6がQ2進出を果たせるが、アレジはQ1突破までに0.36秒及ばず敗退してしまった。
●決勝のグリッドを決するQ2では、1分04秒台を叩き出すことが必須となった。
●ウォームアップ後に一気にペースアップした宮田は、04秒台突入に成功。トップグループが04秒台でしのぎを削る中で4番手。2列目のアウト側から決勝をスタートすることとなった。

DriverCar No.Q1Q2
ジュリアーノ アレジ36B P8 1’05.437
宮田 莉朋37A P3 1’05.238P4 1’04.832

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

今回トライしてみた内容は、走り出しから良い方向で走りやすかった。練習走行中でも少しセッティングを変えて、それも良い方向だったし、リトモ先生と同じくらいのタイムで走ることができていたので良かった。オートポリスまでセッティングに苦しんでいたけれど、今回は少し自信も取り戻すことができた。しかし、この菅生では、タイムが接近していて、少し遅れただけでもポジションに影響する。マシンのバランスは良かったけど、僅かな差でQ2に進出できなかった。15番手だけど、これまでと内容が違うので、決勝で順位アップして、ポイントをゲットしたい。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

練習走行時のドタバタは、ニュータイヤを入れる前だったので大きな影響はありませんでした。走行プランが予定と異なったというくらいですね。昨年の菅生は予選が雨だったので、ドライでどの程度のパフォーマンスを発揮できるのか不安でした。Q1を突破できるかどうかも心配でした。練習走行の結果では、トップと0.6秒くらい差があって、0.2秒は削れても、それ以上は無理だと思っていたのですが、コンディションにアジャストし、Q1は3番手。そこからまたアジャストしてもらい4番手のグリッド得たのですが、トップのタイムは自分には見えませんね。改善を進めてきての4番手ですからポジティブに捉えて決勝に臨みます。

大立 健太

36号車エンジニア

計時タイミングシステムのダウンは、かえって好都合というか、再開されるまでにやや大きめのセッティング変更ができたし、再開して10分間走ることができました。練習走行で宮田選手と同等のタイムでしたが、彼はトラフィックに引っかかっているし、全くの同等という判断はできませんね。練習走行でアンダーステアが強かったので、修正して予選に臨んだのですが足りなかったですね。予選セットでやりきれていない部分や、ジュリアーノのドライビングで4コーナーからS字コーナーの脱出で速度が悪い部分もあり、あと少しでQ1突破でしたが残念でした。決勝のペースは悪くないと思うので、ポイントゲットを目標にしています。

小枝 正樹

37号車エンジニア

計時タイミングシステムがダウンしたことで、特に大きな影響はありませんでした。残り時間もあったし、ニュータイヤを履けたのは良かったのですが、トライした周は結構トラフィックがあって、思い通りのタイムは出せませんでした。車高の調整も必要になったので、変更して予選に臨みました。予選に向けて不安要素がなかったわけでは無いですが、アジャストしたものが良い方向に行ってくれました。それにしても連続ポールを獲得した野尻選手のタイムは凄すぎますね。欲を言えば、2番手くらいまでは行けた、行きたかったという予選結果ですね。

決勝:レース内容

快晴だったはずが決勝のスタート30分前に蔵王山脈周辺で発生した雨雲が、スポーツランドSUGOの上空を通過、雨が路面を濡らした。しかしすぐに夏の強い陽が路面を乾かし、ドライコンディションで決勝がスタートした。<菅生には魔物が棲む>と言われる波乱の展開が何度もあった。今回も1周目に2台が接触してセーフティーカー(SC)がコースイン。リスタートでも1台がブレーキドラブルでクラッシュ。再度SCの出番となって15周目にようやくレース再開。10周を消化して上位陣が義務タイヤ交換を実施する中、宮田莉朋はステイアウトを判断。その時点でトップに立った。先にタイヤ交換したグループに大差をつけられれば、終盤に自身がタイヤ交換して再びトップとなれる。プッシュし続けた宮田だったが、ピット作業で数秒ロス。最大レース時間が迫って、予定よりも4周早くフィニッシュとなり6位。ジュリアーノ・アレジもステイアウト作戦を実行し13位でフィニッシュした。

●宮田の後ろ5番手からスタートした大湯都史樹選手がスタートで3番手にジャンプアップ。宮田は5番手となった。
●スタート直後の1コーナー先で2台が接触。1台がスピンしてイン側にストップしてSCがコースイン。8周目にリスタートしたがそこで1台がブレーキトラブルで1コーナーでクラッシュ。再度SC導入。15周目までSCがコースイン。タイヤ交換が行える10周を消化した時点でトップ4がピットインして宮田がトップへ。アレジもステイアウトして4位を走行。
●ピットインの所要タイムは約36秒。スタートでトップに立ち10周してピットインしたサッシャ・フェネストラズ選手に36秒以上のタイム差を築いて宮田がピットインすれば優勝できる。序盤からプッシュし続けてコンマ数秒づつゲインし、53周レースの40周時点でその差は26秒まで開いた。アレジは、38周してピットイン。右フロントタイヤの交換作業に手間取りタイムロス。19位でレースに復帰し、そこから13位まで順位アップしてフィニッシュとなった。
●宮田は46周してピットイン。右リヤタイヤ交換に手間取って数秒ロス。6位で復帰し追い上げを開始したが、最大レース時間の70分が過ぎてそのままの順位でレースを終えざるを得なかった。

DriverCar No.Race / Fastest Lap
ジュリアーノ アレジ36P13/1’08.241
宮田 莉朋37P6 / 1’08.169

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

結果は13位だけれど、今週末はどんどんクルマのセッティングが良くなって、レースでステイアウトしたグループの中でもペースは悪くはなかった。だから、シーズンの後半戦は、今回がスタートだという気持ちで、もっともっと良くしたいと思ってる。もちろん、今のレースペースに満足していない。予選も良く無い。次のレースまで少し時間があるので、データをじっくり見て、何が足りないのか、必要かをチェックして、勉強して行く。次の富士はすでに今シーズン走っているので、それまでにイロイロ分析して、トレーニングもして、自分のバッテリーを100%フルチャージして頑張ります。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

自分より前にいたドライバーたちが皆ピットインしてタイヤ交換するとは思っていませんでした。スタートで順位を下げてしまったし、同じことをしても順位は変わらないと判断して、ステイアウトして順位を挽回する作戦で、プッシュし続けました。ペースは優勝したサッシャ(フェネストラズ)より良かったですが、やはり30周くらいから左フロントタイヤが苦しくなり、ペースをコントロールせざるを得なかったです。フルラップを走れていたら違う展開があり、ピットイン後も順位アップできたと思うし、ピットでもタイムロスがなかったら表彰台、3位ぐらいまでは見えたのではないかと思っています。でも今回は運が無かったかな・・・。

大立 健太

36号車エンジニア

ステイアウトの判断は、チームの作戦ではなくて個々のエンジニアとドライバーの判断でした。他チームと同じタイミングで一気にピットインして、そこで混乱して順位を下げたくなかったし、フレッシュエアを得られれば、ペースも上げられると思いました。実際ペースも良かったです。しかし、ピットインの前に、前を走行していた平川選手とのラップタイム差は明らかでしたので、今後はそれが課題です。ピット作業で右フロントの作業に1、2秒ロスしてしまったので、それがなければ、あと一つ順位を上げられたかも知れません。今週末は、セットアップの方向性とジュリアーノのドライビングで収穫がありましたので、この状況を維持して次の富士でも頑張ります。

小枝 正樹

37号車エンジニア

SCが入って、10周以上SCランとなった時にそこでピットに入れるかどうか。ピットインした場合、タイヤを替えてそこから40周以上を走らなくてはならないので、それはどうなのか・・・。莉朋と話してステイアウトを決めて、そこからペースアップして、サッシャとのタイム差を広げてピットインした後にどうなるか。最後の最後まで引っ張ろうと。結局タイムレースになってしまったのは残念でした。ピットインをした後にフルラップでどこまで行けたか見たかったという思いがあります。ピット作業で少しタイムロスしてしまって申し訳なかったですが、あれがなかったらスタートのポジションまで戻して、スタートも良ければ表彰台もというところでしたね。

舘 信秀

チーム監督

エンジニアとドライバー、小枝と宮田でセーフティーカーラン(SC)の最中に話し合って判断した、SC後のステイアウト作戦には大賛成だ。パッシングしにくい菅生で前を行くライバルと同じことをやっていたのでは状況を打開、変化を起こすことはできない。しかし、ピット作業のミスと最大レース時間というファクターで表彰台でフィニッシュさせてやれなかった。でも、内容はとても良いレースだったと満足している。ジュリアーノのレースペースは決して悪くはなかった。宮田と同じ作戦で上位を目指したが、ポイントゲットには至らず。やはり予選順位を上げて、決勝に臨まなければならない。それが後半戦の課題だ。

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