SUPER GT 第1戦 レースレポート
開催 サーキット |
岡山国際サーキット(3.703km) | |
日時 | 4月10日(土) | 4月11日(日) |
来場者 | 未発表 | 未発表 |
天候 | 晴れ | 晴れ |
気温 | 15-17℃ | 19-19℃ |
路面温度 | 32-32℃ | 33-34℃ |
予選:レース内容
天候に恵まれ、暖かな予選日を迎えた開幕戦の岡山国際サーキット。今シーズンのTGR TEAM au TOM’S 36号車のドライバーは、関口 雄飛と坪井 翔のコンビネーション。午前中のフリー走行を経て、午後に予選が行われた。Q1はスープラが上位を占める中、4番手でQ2進出を果たした。Q2セッションの終盤までチームメイトの37号車に続いてトムスの1-2体制となっていたが、同じくスープラの14号車が2台の間に割って入ってきた。これで翌日の決勝は、3番手グリッドから82周のレースをスタートすることが決定した。トップ5のグリッドは全てスープラによって占められた。
●Q1を関口が担当した。
●コースインしてウォームアップの後、予定通り5周目に1分18秒1のタイムを出し、4番手でQ2進出を果たした。
●チームメイトの37号車が、Q1で17秒台に突入し、ポールポジションタイムは17秒台の争いとなった。
●Q2を担当した坪井も関口と同じく4周のウォームアップの後にアタック。
●ややオーバーステアの症状が出てしまい、坪井のタイムは1分18秒0で、惜しくも17秒台に突入することができなかった。14号車が17秒台に突入したこともあり、36号車は3番手グリッドから決勝をスタートすることとなった。
Driver | Q1 | Q2 |
関口 雄飛 | P4 1’18.190 | ー |
坪井 翔 | ー | P3 1’18.060 |
予選:ドライバー・エンジニアコメント
関口 雄飛
36号車ドライバー
37号車と1-2を狙っていましたがダメでしたね。そして、タイム差でコンマ2開けられている。この差はどうしてかと思いますね。0.02でなくて、0.2という差は小さくないですからね。フリー走行の段階から37号車とはコンマ2秒の差があったので、そのまま予選でも縮められずにいたということですね。事前のテストから比べれば、気温も路面温度も上がっていますが、それは参加している全てのチーム、ドライバーに共通していることですから、その状況に上手く合わせ込めなかったというのは我々の問題ですね。結果、決勝グリッドの上位をスープラが独占するかたちになりましたが、フリー走行で速かったNSXが予選になったら後方に沈んでしまったのはなぜなのか気になります。チームメイトからコンマ2離されて終わってしまった予選ですが、決勝セッティングのロングランは、結構自信があるので、3番手スタートなら十分に優勝を狙えると思っています。
坪井 翔
36号車ドライバー
ポールポジションを獲得できてもおかしくないと思っていたので、この結果は情けないです。ビッグチャンスをものにできなかったので非常に悔しいですね。事前テストからとても好調でライバルにコンマ2、3の差をつけていたという状況だったのに、フタを開けたら逆にコンマ2の差をつけられてしまった。考えてみれば、午前中の走り出しから調子は良くなかった。これまでのテストだと走り出しからトップだったのに、今日は違っていましたよね。このコンディションにアジャストしきれなかったのですね。最終的にはどのような状況であってもタイムを出すのがドライバーの仕事なのに、それができなかったのは情けなく、がっかりしています。スープラが上位独占は良かったし、37号車がポールポジションというのも良かったですけれど、スープラ同士の争いですから相手が何をやっているかが明白なので、その中で3番手というのは自分たちにとっては最悪の結果です。決勝のロングランセットがとても良いので、それをポジティブに捉えて、作戦とGT300クラスの処理を間違わなければ勝てると思っています。
吉武 聡
レースエンジニア
トムスの1-2を実現したかったですね。Q1を関口に走ってもらいましたが、マシンに問題はないとのことでしたので、そのままの状態で坪井にも乗ってもらいましたが、若干のオーバーステアを感じたようでした。二人のドライバーの間でフィーリングが異なったことが影響した予選となりました。朝のフリー走行では、関口に予選のトライもしてもらって問題ない、バランスも良いということだったので、坪井にロングランをチェックしてもらいました。3番手スタートとなりましたが、ロングランのタイムがかなり良いので、決勝はチャンスがあると思っています。スープラ同士でアクシデントが起こらないように注意してもらって最後まで行ければ、勝てると信じています。
東條 力
チーフエンジニア
セッションの最後まで37号車に続いて2番手だったので最後の最後で14号車に前に行かれてしまって残念でした。坪井のセクター2がやや遅かったのかな。データを見ましたら、セクター2で37号車と36号車のトラクションの差が明らかでした。アトウッドカーブの加速、から、その先の中低速のコーナーでアクセルを踏んだ時のトラクションが若干良くなかった。各コーナーの差は、本当に少しの差です。オーバーステア気味だったとドライバーから報告がありましたが、それでアクセルを思いっきり踏めないとなれば、少しの差が各コーナーでプラスされてしまいますね。積もり積もると、最終的に37号車とコンマ2の差になってしまった。決勝日のコンディションも良いと思うので、スタートでポジションをキープして、バックストレート先のヘアピンまでに混乱がなければ、前の14号車を抜いて欲しいですね。
伊藤 大輔
チーム監督
午前中のフリー走行とは様相が変わって、予選ではスープラ勢が上位に来たというのは良かったのですが、フリー走行からマシンのバランスを良くする作業を進めて予選に臨んで、Q2の坪井のところでオーバーステアが少し強かったという症状が出てしまった。細かい部分で二人のドライバーのフィーリングに違いがあったかな。この点を決勝に向けて修正をしなくてはなりませんね。雄飛にQ1を担当してもらったのは、このマシンの経験が長いから。坪井も速さとしては遜色ないけれど、雄飛で確実にQ1を突破しようと。実は、事前テストの時より二人のフィーリングの違いが大きいのかなという不安がありました。全てのマッチングが良く、坪井の速さがあればポールポジションは狙えるので、雄飛Q1、坪井Q2でアタックしてもらった。事前テストとはコンディションが大きく違うこともあって、そのコンディションへの合わせこみに少し課題が残った予選となりましたね。それが3番手という結果に出たということですね。
舘 信秀
総監督
惜しかった。Q2の終盤までトムス1-2、フロントロー独占というイメージが頭の中で出来あがっていたところに14号車が割って入ってきた。トヨタとしては、同じスープラなので良しとすべきかもしれないが、ウチとしては悔しいし、惜しい予選結果と言うしかない。しかし、37号車もこの36号車も良い仕上がりをしているということが確認できたのは良かった。今シーズンからの新しいドライバーコンビ、関口 雄飛と坪井 翔のマッチングも良いね。決勝に向けてのロングランのタイムは良いと聞いているので、3番手のグリッドからでも十分に優勝を狙える。36号車でも37号車でもどちらが勝っても良い。トムスチームの1-2を期待して決勝を楽しみにしている。
決勝:レース内容
予選日と同じく雲ひとつない素晴らしい空の下、決勝日を迎えた。3番手のポジションをキープして82周のレース序盤が進行した。そして、大きくレースが動いたのが2回目のセーフティーカーがコースインする直前の32周目だった。コース上にGT300クラスの車両がストップ。各チームはセーフティーカーのコースインを察知してピットインを指示。ほぼ同時に全車がピットインして狭いピットエリアは大混雑。隣の37号車がスタートできず作業に手間取っている前を通過して2番目にコースに復帰。そこからトップを行く14号車との熾烈なバトルが展開された。何度となく仕掛けた結果、オーバーランしてトップポジション奪取が叶わず、2位でフィニッシュした。
●関口がスターティングドライバーを担当した。
●2番手の14号車の背後でチャンスを伺ったが、GT300クラスをオーバーテイクしながら14号車を追わなくてはならない状況で順位アップは難しかった。
●32周目に1台がストップ、2回目のセーフティーカー導入を確信してピットインを指示。
●このタイミングでチームメイトの37号車がアクシデントに見舞われ、ピットアウトした時点で2位へ順位アップすることができた。
●トップの14号車のペースが上がらず、トップを奪うチャンスが舞い込んできた。しかし、トップ争いは熾烈な状況となった。
●1秒以内の差の中で何度となく坪井が仕掛けた。しかし、14号車の山下健太の執拗なポジションキープのラインに阻まれて、順位アップは容易ではなかった。
●そして75周目に仕掛けた際にヘアピンでオーバーラン。勝負が決着した。
Driver | Race Result | 1s / Fastest Lap | 2s / Fastest Lap |
関口 雄飛 | P2 | 1’21.219 | ー |
坪井 翔 | ー | 1’21.425 |
決勝:ドライバー・エンジニアコメント
関口 雄飛
36号車ドライバー
前半、ペースは悪くなかったのですが、やはりGT300クラスのマシンの処理などで、前について行くことができませんでした。決勝のロングランには結構自信があったのですが、実際には前で走っていなければレースは難しいですね。今回は自分の分まで坪井が頑張ってくれました。ピットの判断も良くて前に出られて、そこから坪井が健太を追いまくったのですが。もう一歩でしたね。でも、36号車はセカンドスティントで一番速かった。やはり、予選で前からスタートできていたら展開は違っていたと思うので、富士では予選で絶対にポールポジションを狙いに行って、優勝したいと思います。
坪井 翔
36号車ドライバー
混乱したピットエリアで作業を終えて、プッシュバックされていた途中でブレーキを踏めと言われて、前に出ろと支持されてコースインしたのですが、あまりに混乱していたのでコースインするまでの記憶が曖昧で、コース上に戻ると2位になっていました。どうやって順位を上げたのか記憶がありません。37号車が発進できなかったので順位を上げられたのですね。前をいく山下選手は苦しそうだったのでチャンスを窺っていたのですけれど、上手くブロックされてしまいました。最後はバックストレートで並んでブレーキング勝負になったのですが、ボクは止まることができずグラベルまでいってしまいました。後ろと差があったので幸い順位を落とすことはなく、周囲からは良いレースをしたと言われましたが、勝てるレースで勝てなかったのは本当に残念で悔しいです。もう少し落ち着いて攻めていれば勝てたかもしれませんね。
吉武 聡
レースエンジニア
ピットイン後の速さはご覧のとおりでしたが、勝つことができなかった。ピット作業はなんとか上手くこなしてはいますが、ピットエリアの混乱と共にごちゃごちゃしていたのは事実なので、改善すべき点、反省すべき点はありました。山下選手とのバトルでもそうですが、岡山では前にいるマシンが有利ですから、予選から前にいなくてはならないということが再確認された開幕戦でした。今回のピットインは、緊急も緊急の状況で、37号車を優先すべきは事前のミーティングで決めてはいましたが、セーフティーカーが入る直前にほぼ全車がピットインするという異例な状況で、37号車にアクシデントが発生し、順位を下げてしまいましたね。14号車との戦いは、同じマシン、同じタイヤでの勝負となり、ドライバーたちがデッドヒートを展開しましたが、勝てませんでした。次戦では絶対に負けません。頑張ります。
東條 力
チーフエンジニア
セカンドスティントで一番速かったのは36号車でした。しかし勝つことはできなかった。健太が守りの走りで、何度か厳しいラインを走行しているなと感じましたけれど、オフィシャルによる黒白旗(危険行為の注意)も提示されなかったので、通常のデッドヒート、バトルという判断だったのでしょう。坪井もあのバトルに関しては何も言っていなかったので、健太が速くて、うまかったということになりますね。2位になり、次戦では30キロのサクセスウエイトが積まれますが、まだウエイトエフェクト、ウエイトによる大きなデメリットはないので、次戦も優勝を目指して頑張ります。ここ岡山で劣勢だったNSX勢は富士のテストで速かったので絶対に上位に来ると思われますから、気を引き締めて臨みます。
伊藤 大輔
チーム監督
序盤は、スタート順位を守っての走行でした。GT300クラスの処理なので前についていくのは簡単ではなかったですね。その中で雄飛は耐えてよく走ってくれました。ピットインのタイミングは、皆が一気に入ってくることになってしまって、混雑することは必至だったのでしようがなかったですね。ピット作業は迅速だったと思います。クルーが頑張ってくれました。その後は坪井がアグレッシブなドライビングで素晴らしいレースを展開してくれたので、その模様を見ていた我々も楽しませてもらいました。もちろんトップに立つことはできなかったので悔しい、悔しいですよ。悔しいですけれど、彼のドライビングがサーキットに来てくださったファンの皆さん、モニターの前で見ていただいた皆さんを十分に楽しませることができたと思います。これまで開幕戦の岡山で36号車は結果を出すことができていなかった。勝つことはできませんでしたが、2位という結果を残せたのは大きかったと評価しています。37号車は不運でした、それによって順位を上げることができました。富士では自力で優勝を狙います。
舘 信秀
総監督
最後の最後まで前を行く首位の14号車、山下健太を攻めて、攻める姿勢は素晴らしかった。ペース的にはウチの方が速かったけれど、健太に抑えられてしまった。何度かとても厳しい抑えのシーンがあった。あわやコースオフというシーンもあった。相手も必死だったのだけれど、あのトップ争いには、ちょっとクエスチョンマークだな。何度もトライして最後は、坪井がオーバーランして勝負がついてしまったけれど、彼を責めるつもりは全くない。それよりも、もし彼がトライしなかったらそっちを強く責めるね。だから価値ある2位であると、ドライバーとチームの頑張りを評価したい。けれど、勝てなかった。37号車ほどではないけれど、勝てるレースで勝てなかったことが残念でならない。新しい船出となった14号車ROOKIEチームの勝利を讃えよう。