SUPER GT 第4戦 レースレポート
開催 サーキット |
ツインリンクもてぎ レーシングコース(4.801km) | |
日時 | 7月17日(土) | 7月18日(日) |
来場者 | 未発表 | 未発表 |
天候 | 晴れ時々曇り | 晴れ |
気温 | 33-33℃ | 32-34℃ |
路面温度 | 45-43℃ | 48-49℃ |
予選:レース内容
関東地方の梅雨明け宣言とともに暑い夏が一気にやって来た。
TGR TEAM au TOM’S 36号車は、開幕戦の岡山で壮絶なトップ争いから2位フィニッシュ。そして第2戦の富士では優勝を目前にしてリタイヤという悔しい思いをした後に、ツインリンクもてぎで3戦目のレースに臨んだ。サクセスウエイトは30キロ。当然ウエイトエフェクトはあるが、予選上位を十分に狙える状況だ。タイムスケジュールの一番目、午前中に行われたフリー走行では6番手、トヨタGRスープラ勢としては2番手で予選を迎えることとなった。午後の予選では気温、路面温度がグングンと上昇する中でのタイムアタックとなった。これまでと同様、僅差での上位争いの末に4番手、二列目のスターティンググリッドを得た。
●6月に予定されていた第3戦の鈴鹿が延期されたため、今回が実質3戦目のレースとなるが、大会名称はそのまま第4戦となっている。
●開幕戦2位で15ポイントを獲得。ポイントに対して2倍のサクセスウエイトが計算されるので、サクセスウエイトは30kgを搭載している。
●坪井 翔がQ1を担当し、5番手のタイムを記録して上位8台のQ2への進出を果たした。
●Q2は関口雄飛が担当。
●Q1からQ2へ若干セットアップを変更。3周のウォームアップからアタックした。好タイムの手応えを感じつつ、ヘアピン手前のブレーキングで僅かにバランスを崩し、コーナーの立ち上がりでリヤがスライドしてタイムロス。4番手の決勝グリッドを得た。
Driver | Q1 | Q2 |
関口 雄飛 | ー | P4 1’37.865 |
坪井 翔 | P5 1’38.335 | ー |
予選:ドライバー・エンジニアコメント
関口 雄飛
36号車ドライバー
Q1の状況からもう一歩自分好みのセッティングに進めてもらってアタックに臨みましたが、結果的に進め過ぎてしまったということですかね。自分は、ステアリングを切った時にフロントが入るセッティングが好きなので、セッティングを進めるとどうしてもリヤが軽くなるというか、オーバーステアが出やすくなってしまいますので、アタックラップのヘアピンでリヤが流れてしまいましたね。あそこが一番ロスしたところなのですけれど、その他のコーナーでも多少ロスしているので、それをトータルすると、コンマ何秒か遅れてしまっていますね。ポールポジションは獲得できないにしても、あと何ポジションかは前に行けたのではないかな思います。それでも4番手ですから、悪くないグリッドポジションだと思います。もっと上だったらもっと良かったですが、現状のパッケージでは結果に満足してます。ウチが選んでいるタイヤは、決勝のロングランでは安定しているので強いと思います。目標は最低でも表彰台。できれば勝ちたい。37号車も同じタイヤをチョイスしているので、トムスで1−2となれば最高ですね。
坪井 翔
36号車ドライバー
もてぎとSupraは、あまり相性が良くないのではないかと思っていたので、このポジションで決勝を迎えられるのは良かったです。昨年の第7戦では、NSXにコテンパンにやられて、そのイメージが残っていたので、Q1を突破できてまずはホッとしたというか、調子は良さそうだと思いました。30kgのウエイトの重さはこのサーキットとの相性を考えてもQ2に進出できたし、結果として2列目に並べたので、決勝での上位進出の可能性も高くなり、楽しみになってきましたね。決勝は気温/路面温度が上昇しても問題はないです。フリー走行ではボクが最初に走って、マシンのチェックとロングラン、タイヤのチェックを主に行って、関口選手とエンジニアさんと話し合ってタイヤを決めて、それは正しかったと思いますし、走り出しからマシンのフィーリングは良かったので、セッティングは微調整で予選に臨めました。Q2に進出して、関口選手が凄い勢いでセクター1を通過して、これは!と思っていたらヘアピンでスライドしてしまったけれど、それだけ攻めていたのだと、あの走りには凄く刺激をいただきました。狙うはポールポジションの1号車に定めて決勝に臨みます。
吉武 聡
レースエンジニア
30kgのウエイトを考慮したら上出来の予選であったと思います。計算上では30kgのウエイトを積むとだいたい0.6秒ほど遅くなる。ノーウエイト、またウエイトが軽いマシン達と同等のタイムで4番手。上出来です。ウチがノーウエイトだったらポールポジションを獲得できたという計算です。雄飛選手のアタックラップ中、ヘアピンの立ち上がりでリヤがスライドしてしまってタイムロス。約コンマ1秒のロスですかね。あれがなかったら3番手には行けたでしょう。今回、もてぎに持ち込んだ状態でコンディションは良く、予選までの流れとしては微調整をしただけでした。一番大きな調整としては車高を0.5mm上げたり、下げたりして、最後に調整した結果、リヤが少し軽くなり、不安定になってしまったことでスライドしてしまった。予選前のフリー走行では、しっかりとロングラップもこなしています。決勝のペースには自信もあります。タイヤチョイスも気温/路面温度の上昇を予測したハード目をチョイスしていますから、順位アップは可能だと思います。この位置からなら優勝も狙えると思っています。
東條 力
チーフエンジニア
サクセスウエイト30kg。当然ウエイトの影響はありますから、持ち込みセッティングは、それを考慮したものです。梅雨も明けて、午前中のフリー走行は、開始から一気に路面温度が上昇して、セッションスタート時点から10℃以上も路面温度が上がっていましたから、セッティングを含め、タイヤのチョイスもその路面の温度変化を十分に考慮して、それに惑わされないようにすることが重要でした。36号車のセットアップ、タイヤチョイスは順調に問題なく進んだと思います。今回ブリヂストンさんが持ち込んでくれたタイヤは、路面温度がかなり高くなることを予想したものなので、我々としては太陽が照りつけて、路面温度が高くなることを望んでいます。太陽の陽が陰ると3℃くらい路面温度が下がります。そうなると当然タイヤのパフォーマンスにも影響が出ます。結果的に好位置を確保して決勝を迎えることができましたが、関口選手のアタックラップを見ても、セットアップが完璧ではなかったというところが見えていたので、このセットが正解かはわからないですが、タイヤは高温を期待してのチョイスなので、決勝の天候とマッチすると思います。
伊藤 大輔
チーム監督
30㎏のサクセスウエイトを積んでいますが、決定的なハンデには至らないと判断しています。まだまだ優勝できる力はあると信じているので、もちろん優勝を目指して乗り込んできました。持ち込みセットアップについては特に問題はなかったですし、走り出してみると、他車との差もあまりないなという感触だった。そして微調整を進めて行くと、どんどん感触が良くなった。特に注意していたのは、天気予報と現実に起きている気温/路面温度の変化でしたね。結果的にはその変化にもうまく合わせ込めたと思います。その結果。4番手のグリッドを得られた。もちろんパーフェクトではなかったと思いますよ。ポールを取れれば、それに越したことはないですが、この位置からでも優勝は狙えます。タイヤチョイスも悩みましたが、最終的には高温であるという点からリスクは負わないという判断です。雄飛のアタックラップのリヤスライドは、ブレーキングの段階でリヤのグリップが薄くて、そこからスライドの兆候が出ていた結果です。もう一つ上のグリッドを得られたかなという気持ちはありますが、ここからでも十分に狙えるという気持ちで決勝に臨みます。
舘 信秀
総監督
グリッドの前に位置しているマシンは36号車よりも皆サクセスウエイトが軽い。その点で考えれば、良い予選結果だったと言えるだろう。梅雨も明けて、一気に気温と路面温度が上昇している状況に対して、タイヤチョイスは問題ないと聞いている。ブリヂストンさんのタイヤは、路面温度がかなり高くなったとしても安定したタイヤパフォーマンスを発揮してくれることだろう。この3レース目、第4戦で好成績を残せば、次のレースから燃料リストリクターが入ることになるので、いずれにしろ、ここでできる限り多くのポイントを稼ぎたい。前戦の富士で勝てると思っていた途端、アクシデントが発生して、本当に悔しい思いをしたので、今回はスッキリと笑って決勝を終えたい。できれば、トムスの2台が表彰台に立って、できれば1位、2位で終えられたら最高だ。
決勝:レース内容
予想通り、予選日の気温/路面温度を午前中から上回った。幸い微風があったおかげで、路面温度はスタート時点で50℃には達していなかった。TGR TEAM au TOM’S 36号車は、スタートして1周目に3番手のマシンをパスすることに成功。前を行くのは2台のみとなった。3周目に至るまでに前を行く同じSupraの19号車のテールを捉えて2位へ順位アップするチャンスがやってきた。その時、トップ走行のホンダNSXのペースが上がらず19号車がトップに立ち、今度はNSXのテールを追う展開となった。GT300クラスのバックマーカーをパスしながら3位をキープし、27周してピットイン、ドライバー交代。トップから10秒以内のギャップをキープして追撃の手を緩めなかったが、トップ2台のパッシングは叶わなかった。再び表彰台3位でレースを終え、11ポイントを加算、5位タイのランキングで次戦鈴鹿に臨むこととなった。
●関口がスターティングドライバーを担当した。作戦通りスタート直後から積極的な展開に持ち込み、見事に順位アップ。
●1周目に3位。そして前を行く19号車のテールを完全に捉え2位への順位アップは時間の問題かと思われたが、19号車がタイヤのウォームアップが終えるとペースが上がり、パスするまでには至らなかった。
●トップ走行のNSX1号車のペースは上がらず、7周目に19号車がトップに立つと、今度は1号車に挑む展開となった。
●GT300のバックマーカーが出始めると容易に1号車をパスできる状況ではなくなり、3位のポジションをキープしたまま序盤戦が進行した。
●27周を終えて関口がピットイン。坪井にバトンタッチした。ピット作業のミスもなく再びコースインし、3位のポジションをキープ。
●前を行く2台の争いを見据えつつ、トップから10秒以内のギャップで順位アップのチャンスを窺った。
●2度のFCY(フルコースイエロー)の導入で戦いは仕切り直しとなり、3位をキープしてチェッカードフラッグを受けた。
Driver | Race Result | 1s / Fastest Lap | 2s / Fastest Lap |
関口 雄飛 | P3 | 1’41.882 | ー |
坪井 翔 | ー | 1‘41.905 |
決勝:ドライバー・エンジニアコメント
関口 雄飛
36号車ドライバー
狙い通りにスタートでポジションアップすることができて良かったのですが、その先はあまりペースが良くなかったというか、前の2台のペースが思った以上に良かった。特に19号車のタイヤが温まってからのペースが良くて、トップの1号車も抜きましたよね。1号車とペースは変わらないか、こっちの方が良かった周もあったのでチャンスはあると思いながら走っていたのですが、抜くことはできなかった。坪井のスティントでもチャンスはあると思っていましたが、コースインしたら1号車はかなり前を走行していた。19号車がピットでタイムロスしていたので1号車がまたトップに立っていた。坪井も最後まで頑張っていた。トップから10秒以内で走っていたからチャンスはあったのですけれど、そのまま3位でフィニッシュ。目標の3位以内は達成できたのですが、できれば優勝したかった。もっとポイントを稼いで次の鈴鹿を迎えたかったですね。
坪井 翔
36号車ドライバー
ピット作業を終えてコースインしたら、すぐ前にいると思っていた1号車がかなり前を走行していて、ちょっとビックリしました。どうしてあんなに差がついてしまったのか不思議です。ピット作業は早かったですし、コースインしてからのペースも悪くなかったと思いますので、フィニッシュまで出来る限りのことはできたのではないかと思っています。FCY明けの処理もちゃんとできました。富士では悔しい思いをしたので、今回はすごく注意していました。1号車とは同じブリヂストンタイヤのパッケージなのでペースも読めるのですが、19号車は同じSupraですがタイヤメーカーが違うのでどうなるかと思っていましたが、最後までグリップもしっかりしていたし、ペースも落ちなかったので追いつくことができませんでしたね。それでも3位表彰台に立つことができて、ポイントも加算できました。次戦の鈴鹿から苦しい展開になることが予想されますけれど、その中でもポイントをできるだけ多く稼いでチャンピオン争いに残りたいと思います。
吉武 聡
レースエンジニア
少なくとも3位以内、表彰台に立つという目標は達成できました。レースペースは前のマシンたちと同等で、時にはそれ以上のタイムで走行できていました。しかし、優勝したNSXは給油時間が我々より数秒短く、ピット停止タイムの短縮に成功した。燃費が良くて、給油量が少なくて済んだのでしょうね。タイヤが同じメーカーであるという点ではコース上では1号車と同じペースで走っていました。大きく異なったのはピットの時間ですね。また、同じSupraの19号車はタイヤメーカーが違うのですが、思った以上に安定したレースペースだったので、パスするまでには至らなかった。また、FCYが出される直前までは前の2台に迫って行ったのに、2回のFCYで仕切り直しとなってしまって、あれがなかったらもう一つは順位アップできていたかと思います。次戦から燃料リストリクターが入りますが、ウチのマシンは鈴鹿との相性が良いので、確実にポイントを稼ぎ、取り逃がさないことが重要ですね。
東條 力
チーフエンジニア
スタート直後に順位を上げられたのはシナリオ通りというか、うまくいきましたが、その後が思い通りには進まなかった。同じSupraの19号車のペースも良かったですね。安定した速さもあったので、どう順位を上げるかと見守っていました。第1スティントはそのまま進んで3位のままセカンドスティントに進んでいったのですが、前に追いついた時に2回のFCYが適応されて、それが我々にはあまり良くなかった。タイヤのコンディションが変わってしまった。せっかく温まっているタイヤが80km/h走行で冷えてパフォーマンスが下がってしまい、そこで離されてしまった。逆に前の2台は、グリップが落ちてきていたのに、FCYでタイヤが冷まされて、グリップが復活していましたね。それが2回ですから、追いつくことができなかった。3位にはなれましたが、悔しさの残る表彰台、3位ですね。できたら3レース目は鈴鹿でやりたかった。鈴鹿だったらまた違った展開ができたかと思います。もてぎは、今ひとつ良くない。次戦から燃料リストリクターが入りますので、これからは耐えて、凌いで、ポイントを加算することが目標です。
伊藤 大輔
チーム監督
決勝に向けてできる限りのセットアップを施し、決勝の状況を想定しながらスタートを切った。順位もすぐに一つ上げることができたし、あわよくば優勝ということも頭をよぎった。序盤ウチを含めてトップ3台のペースは同等でしたが、周回を重ねるにつれて、前の2台のペースが良くなりつつあった。それでも大きく離されることなく最初のスティントを走行できた。良いレースであったと評価しています。ピットインのタイミング、作業も大きなミスもなくこなすことができた。しかし、ライバルの1号車のピットはものすごく早かった。作業の迅速さというよりも給油が短かった。ウチよりも6秒くらい短かった。燃費が良く、給油の量が少なく済んでいたのでしょう。この差は、どうすることもできない。ちょっと驚異的な差です。NSXは基本的に燃費が良いのでしょう。そしてチームの戦略として走り出しは燃料をセーブし、ライバルが迫ってきたらダッシュするというような戦略を取るのかなと分析しています。そうなると、今後NSXに対してどのような戦略で臨むかを検討しなければなりません。
舘 信秀
総監督
スタート直後は、この調子で行けば、優勝も可能かと思っていたが、前の2台のペースが良かった。特に19号車のヨコハマタイヤさんのパフォーマンスが良く、トップに立ったし、ペースがすごく安定していた。SUPER GTのシリーズを考えれば、タイヤコンペティションが拮抗することはとても良いことだと思うのだけれど、それによってウチが前に行けなかった。でも3位。目標は達成できた。ゼロポイントだった第2戦から、今回の大量ポイントでランキング5位タイというところまで戻せた。ここからが正念場。シリーズの中盤戦は勝つチャンスはないだろう。そこでいかにポイントを稼ぐか。ランキング上位陣も苦しいのは同じ。その中でライバルの前でフィニッシュすることが重要になってくる。