SUPER GT 2022 第2戦 レースレポート
開催 サーキット |
富士スピードウェイ レーシングコース(4.563km) | |
日時 | 5月3日(火) | 5月4日(水) |
来場者 | 29,000人 | 44,000人 |
天候 | 晴れ時々曇り・ドライ | 晴れ・ドライ |
気温 | 16-14℃ | 20-18℃ |
路面温度 | 23-20℃ | 35-22℃ |
予選:レース内容
コロナ禍による移動規制が緩和された今年のゴールデンウィーク。SUPER GTシリーズ最大の観客数を記録する富士スピードウエイで第2戦を迎えた。5月らしい晴れの朝だったが、後にサーキットの上空に雲が現れるコンディションとなった。富士はSupraの登場、参戦以来、優位性を遺憾無く発揮してきたコースだ。午前中の練習走行から順調な仕上がりを見せて予選を迎えることができた。そして、予選のQ1ではチームメイトの37号車とトップタイム争いを演じた。これを見ても今回の好調さを計り知ることができた。Q1の結果はトップタイム。Q2では6番手につけていたが、ベストタイムを叩き出した周に走路外走行があったため、タイム抹消となり、ふたつ順位を落として8番手から決勝をスタートすることとなった。
●開幕戦で6位フィニッシュし、5ポイントを獲得。10kgのサクセスウエイトを搭載。
●Q1を坪井 翔が担当した。
●予想よりも路面温度が低く、アタックラップに入る前のウォームアップの重要性が増した。コースインから積極的にタイヤに熱を入れて5周、6周でアタック。先行していた37号車のタイムを更新してQ1でトップとなった。
●ジュリアーノ・アレジがQ2を担当。
●坪井と同じく、積極的にコースイン直後からハイペースで周回してタイヤをウォームアップ、Q2序盤のペースセッターとなった。
●Q2終盤に他車がペースアップする中でもペースを維持していたが、ベストタイムを叩き出した5周目に走路外走行の判定を受けてしまい、そのタイムは抹消となった。
●時間いっぱいまでアタックを続けたが、タイヤのグリップダウンが進み、結果は8番手となった。
Driver | Q1 | Q2 |
坪井 翔 | P1 1’26.301 | ー |
ジュリアーノ アレジ | ー | P8 1’27.273 |
予選:ドライバー・エンジニアコメント
坪井 翔
36号車ドライバー
開幕戦と同じく、Q1でトップタイムを出すことができました。マシンがすごく自分のドライビングに合っています。Q1の仕事は、<通過する>ことだけなのですが、連続してトップタイムというのは気持ちが良いですね。思っていた以上に路面温度が低く、タイヤの温まりが十分ではなくて、結果的にトップタイムを出すことができましたが、最初のアタックラップは走路外走行をしてしまっています。その状況をジュリアーノ選手にも伝えて「しっかりと温めてね」と状況を伝えて送り出しました。
ジュリアーノ・アレジ
36号車ドライバー
午前中の練習走行で少しセットアップを変更したりして、予選に向けてマシンのバランスは良くなっていった。状況としては、岡山の初戦よりも良くなっていると思っている。“坪井先生”にアドバイスをもらいながらコースインして積極的にタイヤのウォームアップをしていた。タイヤのグリップを感じたのでアタックに入ったけど、良い部分と悪い部分があって1周をパーフェクトにまとめきれていないのが、自分でも悔しい。ベストタイムを出した周に走路外走行の判定となり、タイムが抹消になったのはとても残念です。
吉武 聡
レースエンジニア
持ち込みの状態からマシンのパフォーマンスは良かったですね。走り出しから大きな変更を行う必要もなくて、順調に予選まできています。路面温度が低めでしたので、ウォームアップが重要でした。坪井もジュリアーノもアタックの最初でコース外に出てしまっていて、坪井はなんとか次の周にタイムアップできたのですが、ジュリアーノはタイヤのパフォーマンスが下がってしまったようです。想定していた路面温度がチョイスしたタイヤの下限でしたが、今日のパフォーマンスから判断しても、決勝ではかなり良いパフォーマンスを発揮できると思います。
伊藤 大輔
チーム監督
練習走行で坪井を中心として微調整していく過程でも彼はとても安定しています。それをジュリアーノと共有して順調に予選を迎えられています。坪井のQ1ベストタイムは、彼とチームの状況を示してくれました。ジュリアーノには、岡山以上の予選順位を期待していましたが、アタックの最初で走路外走行をしてしまって、連続してアタックをかけたのですが、同じことをしてはならないというセーフティな気持ちもあっただろうし、タイヤのピークグリップも過ぎていたのでしょう。決勝450kmという初めての距離設定は、オプションがありそうでなさそうで・・・。いろいろ作戦を考えなくてはなりませんね。
決勝:レース内容
44,000人のモータースポーツファンが詰めかけたSUPER GTシリーズ最大のイベント、富士における第2戦、450km(100周)の決勝は、序盤からトムスの2台が1-2体制でレースの半ばまで主導権を握る展開となっていた。トップを行く37号車を24周目に捕らえてトップに立った。しかし、最初のレース中断から再開された周の1コーナーで2台は接触、5位へ後退してしまった。そして二度目のアクシデントがホームストレートで発生して再びレース中断。ガードレールの修復等に時間を要し、1時間25分後にレース再開。2位を走行していたマシンがアクシデントでリタイヤし、4位でフィニッシュラインを切った36号車だったが、37号車を含む先行の2台がペナルティを科せられたため、繰り上げ2位となり今季初の表彰台に立つことができた。
●坪井がスタートドライバーを担当して、8番手グリッドから1周目に3位へジャンプアップを果たした。
●2周目の1コーナーで2番手に。これでトムスの1-2体制となった。
●24周目に37号車と順位を入れ替え、28周目にピットインしてアレジにドライバー交代。
●1度目のレース中断の後、再開1周目1コーナーでイン側に入ってきた37号車と接触、コースオフして5番手に順位を下げた。
●58周目のストレートで再び大きなアクシデントが発生。59周目にレース中断。
●2度目のレース中断後のレース再開は、18時10分にセーフティーカーランで始まり、3周して最大延長時間の18時20分を過ぎたため、チェッカードフラッグが振り下ろされレース終了となった。
●1位の39号車と2位の37号車が結果タイムににペナルティの40秒が加算されて順位を下げたため、繰り上がって2位表彰台を得た。レース周回数の75%に至っていないためにハーフポイントの7.5点を獲得。
Driver | Race Result | 1s / Fastest Lap | 2s / Fastest Lap |
坪井 翔 | P2 | 1’28.803 | ー |
ジュリアーノ・アレジ | ー | 1’29.874 |
決勝:ドライバー・エンジニアコメント
坪井 翔
36号車ドライバー
マシンのパフォーマンスの高さは感じていたので、8番手スタートからでもトップに出られる自信はありましたが、2周目で2番手まで上がれたのは自分でも凄いと思います。ライバルも450kmレースを意識して硬めのタイヤだと思っていたので、フォーメーションでタイヤのウォームアップをしっかりしてスタート。トップに立てたので、ファーストスティントは100点満点でした(笑)。ジュリアーノ選手もトラフィックがなければ良いペースだったので、第3スティントでまたボクが乗れば、優勝できると思っていました。アクシデントの高星選手に怪我が無くて良かったです、次戦も優勝が狙えると思っています。
ジュリアーノ・アレジ
36号車ドライバー
GT500クラスで初めて表彰台に立てたけれど、複雑な気持ち。アクシデントで最後まで走り切れなかったという事もそうだけど、高星さんの体が心配だった、OKだと聞いてほっとしています。レースにはこのようなアクシデントはあるけど、あのようなひどいクラッシュにも関わらずドライバーが無事だったのは本当に良かったです。37号車と1コーナーで接触してしまった状況は、出来る限り奥までブレーキを遅らせた。その後、接触してしまった。後ろからは39号車もかなり迫ってきていたので、複雑な状況だったのは確かだった。
吉武 聡
レースエンジニア
2位という実感は無いですね。マシンは決まっていたし、坪井は、抜群に速いですから、序盤でトップに立てると思っていました。しかし、ストレートでは37号車の方が速く、抜けなかったので、Bコーナーでパスしたという結果ですね。トムスの1-2体制が崩れたのがリスタートの1コーナーでの接触。それでも最後までレースができていたら、また坪井選手でトップに立てたと思っています。今回はハーフポイントですからサクセスウエイトはまだトータル25kgですから、影響は少ないので、次戦も優勝は十分に狙えます。
伊藤 大輔
チーム監督
まずは高星選手に大きな怪我が無くホッとしています。スタートドライバーの坪井の情報でチョイスしたタイヤとマシンのセットアップはとてもマッチしていたし、作戦通りに展開していました。トップに立って、その後の作戦で2位のマシンに8秒以上のマージンを確保したかったのですが、FCY、その後のSC、中断でマージンは無くなってしまいました。再スタートでチームメイト同士の接触はダメですね。レースが最後まで、できていたなら、坪井でトップに返り咲くことができたのではと思っていました。次戦の鈴鹿でも優勝を目標にしています。
舘 信秀
総監督
予選、決勝と坪井の速さは際立っていた。ジュリアーノも進歩が見えている。が、難しいGT500のマシンは即モノにできるものではない。焦らず一歩一歩速さを増してくれるように見守っている。決勝で我チームの2台がトップを快走した様を見るのはとても気持ちがよかった。しかし、度重なるアクシデントがそれを許してくれなかった。チームメイト同士の接触によって順位を落とすのはとても残念である。常々ドライバーには厳しく言ってきたことが起きてしまったのは本当に残念。大きなアクシデントがあったがドライバーに大きな怪我が無くホッとしている。次戦は1-2フィニッシュを狙いたい。