SUPER GT 2022 第8戦 レースレポート
予選:15位 | 決勝:9位 |
開催 サーキット |
モビリティリゾートもてぎ(4,801m) | |
日時 | 11月5日(土) | 11月6日(日) |
来場者 | 13,500人 | 26,000人 |
天候 | 晴れ・ドライ | 晴れ・ドライ |
気温 | 16-15℃ | 16-18℃ |
路面温度 | 27-21℃ | 27-27℃ |
予選:レース内容
TGR TEAM au TOM’Sの36号車は、昨シーズン、富士スピードウエイで行われた最終戦で16点の大差を逆転してチャンピオンに輝いた。2022年最終戦の舞台は、モビリティリゾートもてぎ。これまで27.5ポイントを獲得し、ランキングは10位。すでにチャンピオン獲得のチャンスは消えてしまったが、第7戦までのすべてのレースでポイントを獲得している。練習走行の段階から、Supra勢の大半はタイムが伸びずに苦戦。予選に向けての改善を短時間のうちに試みていた。36号車はそれに加えて、燃料漏れのトラブルに見舞われてしまい、セッティングの時間がさらに制限されてしまった苦渋の状況の後に予選を迎えた。結果はなんと最下位。シーズンエンドに思いもよらぬ位置から決勝をスタートすることとなってしまった。
●公式練習の走り出しから、タイヤからのグリップが感じられない状況だった。
●公式練習で燃料漏れが発見され、その修理に時間を取られてしまい、本来のセッティング確認とタイヤチョイスがしっかりとできないまま予選を迎えなくてはならなかった。
●予選の開始までにセッティングを大きく変更。予選時の気温と路面温度が上がることを予測して、ハード目のタイヤを選択してタイムアタックをすることとなった。
●Q1を坪井 翔が担当した。
●タイヤはハード目を選択したが、タイヤの温まりが悪かったので十分に周回する必要があった。コースインしてから4周目、5周目でタイムアタックすることにしたが、4周を終えた時点でチェッカードフラッグが振り下ろされ、Q1のセッションが終了してしまい、5周目でアタックすることができなかった。
●ジュリアーノ・アレジの練習走行時間は限られ、予選時の最終セッティングを確認することができなかった。
Driver | Q1 | Q2 |
坪井 翔 | P15 1’37.006 | ー |
ジュリアーノ・アレジ | ー | ー |
予選:ドライバー・エンジニアコメント
坪井 翔
36号車ドライバー
持ち込みのセットが外れて、練習走行の最初からすごくフィーリングが悪かった。タイヤのグリップ感がなく、リヤのメカニカルグリップも、ここで欲しいというところで無くて、アンダーステアも出て、大きくセッティングを変えるしかない状況でした。時間には限りがあるし、タイヤも選ばなくてはならないし、予選では路面温度が上がることを予想して硬めのタイヤをチョイスしましたが、温まりが良くなかったので、4周目か5周目にアタックする予定でしたが、4周目の終わりでチェッカーが出てしまってアタックができませんでした。アタックできていたなら最後尾ではなかったと思います。でもトップとの差は変わらず大きかったでしょう。
ジュリアーノ・アレジ
36号車ドライバー
最初から全体的にグリップが得られていない状況だった。グリップがあれば、マシンのバランスは悪くなかったと思うけど、タイムを上げようとするとバランスが崩れてしまうような感じがした。セッティングを大きく変えなくてはならない状況で、自分の走行時間は制限されていて、ソフト目のタイヤだけはトライできたけど、結果的にはハード目のタイヤをチョイスして坪井さんが予選に臨んだ。ソフトでもハードでもタイヤの温まりに時間がかかっていた。ボクは、最終的なセッティングでドライブできていないので、決勝直前のフリー走行で初めてそのセットにトライして決勝に臨む。できるだけ順位を上げるだけだ。
吉武 聡
レースエンジニア
練習走行の段階からセッティングが全くマッチしてくれなかったので、大幅な変更を実施しながら、予選へ向けてタイヤをチョイスし、セットを変更した後の確認をしていた最中に、燃料漏れが発覚し、それにも対処しなくてはならず、ドタバタの状況の末になんとか予選を迎えることができました。路面温度はそれほど低くはなかったのですが、タイヤの温まりが悪く、4周、5周目で坪井にアタックしてもらう予定でしたが、コースインのタイミングが少し遅れたため、5周目にアタックできなくなってしまって、結果最下位。15番手から決勝をスタートしますが、なんとか順位を上げて締めくくりたいです。
伊藤 大輔
チーム監督
良しとして組んできたセットアップが機能してくれなかった。それもかなり外してしまって、クラス15台中15位という結果に終わってしまった。練習走行の走り出しからかなり雰囲気が悪く、時間内でできる限りのセット変更を行いました。トラブルも発生していたので、それにも対処しなくてはならず、メカニックたちが頑張ってなんとか予選に間に合わせてくれましたが、とても大変な状況でした。タイヤの温まりが悪かったので、5周目に最終のアタックを計画していたのですが、4周で終わってしまったのはチームのミスでした。うちを含め、Supra勢にとっては厳しい最終戦となってしまいました。
決勝:レース内容
快晴の決勝日を迎え、スタート時の秋の日差しは暑さを感じるほどだった。直前のウォームアップ走行の感触は良かった。スタートドライバーを担当した坪井 翔は、オープニングラップで一気にポジション4つ上げて、ホームストレートに戻ってきた。10位以内も狙えそうな幸先の良い序盤の展開だった。GT500クラスがGT300クラスのテールエンダー達と遭遇した8周目に、マルチクラッシュが発生。その中にいた36号車は、GT300クラスのマシンと接触。大きなダメージを受けてリタイヤに追い込まれることはなかったが、エアロパーツを失って苦しい展開を強いられることとなった。オーバーカット戦略で坪井が頑張り、36周してピットイン。アレジは7位でレースに復帰。終盤に2ポジション落とすが、9位フィニッシュで2022年シーズンを終えた。
●坪井がスタートドライバーを担当した。
●最高のスタートを切って一気に順位アップ。15番手グリッドから11位まで上がることができた。予選タイヤでスタートしたのでグリップレベルはやはり低かったが、そのなかで順位アップを目指した。
●8周目に起きたマルチクラッシュに巻きこまれそうになったが、接触のみで難を逃れるも、右フロントのエアロパーツを失ってしまってダウンフォースが大きく減少してしまった。
●マルチクラッシュでフルコースイエロー後にセーフティーカーが導入されて19周目にレースが再開。再開直後はレースの3分の1が消化されているタイミングであったため、多くのチームがピットインしドライバー交代をしたが、36号車はコースに留まりトップで後続とのギャップを築き、36周してピットインし、アレジに交代。7位でレースに復帰した。
●エアロパーツを失っている苦しい走行の中、ポジションを2つ落とすが、9位でフィニッシュし、2ポイントを獲得。これで全戦ポイントを獲得。ドライバーランキング10位。チームランキング9位となった。
Driver | Race Result | 1s / Fastest Lap | 2s / Fastest Lap |
坪井 翔 | P9 | 1’40.061 | ー |
ジュリアーノ・アレジ | ー | 1’41.487 |
決勝:ドライバー・エンジニアコメント
坪井 翔
36号車ドライバー
タイヤが温まるまで苦しかったのですが、何とか10位以内には行けそうな感じがしました。3、4コーナーでGT300のマシンのイン側を走行していたら切り込まれて、どうしようもない状況で接触してしまいました。エアロパーツに損傷を受け、ダウンフォースが減って、ペースが上げられなくなりましたが、レースは続行できました。予定ではレース周回の3分の2、40周くらいまで引っ張りたかったのですが、損傷箇所の影響でマシンがアンバランスになってきたことや、タイヤのグリップダウンもあったので、少し早めにピットインしました。ジュリアーノも苦しい走行の中、9位でフィニッシュしてくれたおかげで、全戦でポイントを獲得できました。
ジュリアーノ・アレジ
36号車ドライバー
スタートを担当した坪井さんは、ハードタイヤを装着していたけど、自分のセカンドスティントは、路面温度も低くなりつつあったのでソフトタイヤでコースインすることになった。タイヤの温まりもよくて、スティントの前半はすぐにタイムも出て、調子は良かった。でも周回を重ねる毎にグリップダウンしてきて、ペースが落ちてしまった。エアロパーツの破損によってダウンフォースを失っていたから、37号車と8号車にパスされてしまった。今シーズン、GT500クラスのマシンをドライブするチャンスをもらって、多くを学んだ一方で失敗もした。まずは、ミス無くペースをアップした走行をすることを目標にして来シーズンにチャレンジしたいと思っている。
吉武 聡
レースエンジニア
坪井がスタートで上手く順位を上げてくれました。トップグループには及ばない状況ではありましたが、予選から改善したセットアップで何とか序盤を頑張ってくれました。タイヤが温まるまでは苦しそうでしたが、温まれば戦える状態でしたね。8周目のマルチクラッシュに巻き込まれながらも、リタイヤすることなくレースを続けられましたが、右フロントのエアロパーツが破損してしまって、ダウンフォースを失ったので、それ以降の戦いは本当に苦しい状態でしたが、作戦もまずまず良かったと思います。ジュリアーノも頑張ってくれたのですが、ダウンフォースが減ってしまった上、タイヤのグリップダウンも重なり、順位を下げてしまいました。
伊藤 大輔
チーム監督
Supra勢の一番を目指して決勝に臨みましたが、序盤の接触でダメージを受けてしまった結果、ドライバーには苦しい走行を強いてしまいました。作戦としては、坪井でレースの3分の2まで引っ張ってオーバーカットする。各車がピットインした段階でトップを走行してギャップを大きく開きたかったのですが、やはりエアロパーツが壊れてしまっている状況では、思うようにペースを上げられず、それでもピットイン後は7位でレースに復帰できました。今回の状況では、これが最大限でした。結果的に9位でフィニッシュして、全戦でポイントを獲得することができ、シーズンを締めくくることができました。
舘 信秀
総監督
なんと予選で最後尾。トラブルがあっただけではなく、普通に予選に臨みアタックしたのに全然タイムが出せなかった。一体どうしてしまったのかという状態だった。そこから何とかチーム全体で必死になって決勝へ向けて頑張った結果としての9位。アクシデントに巻き込まれながら、多少は影響があったが、大きなダメージを受けず、リタイヤすることなくレースを続行できたラッキーな部分もあった。毎戦ビッグポイントを稼げなかったが着実にポイントゲット。今回も獲得できた。厳しいシーズンであったが、無事に終えることができた。応援、声援をいただいたトヨタさん、スポンサーさん。そしてファンの皆さんに御礼申し上げます。