SUPER GT 2022 第3戦 レースレポート

開催
サーキット
鈴鹿サーキット レーシングコース(5.807km)
日時 5月28日(土) 5月29日(日)
来場者 11,000人 21,000人
天候 晴れ・ドライ 晴れ・ドライ
気温 28-28℃ 30-31℃
路面温度 44-38℃ 50-38℃

予選:レース内容

SUPER GTシリーズは、鈴鹿サーキットで第3戦を迎えた。5月下旬なのに夏のような天候となり、予選が開始された時刻には気温は30℃近くまで達しようとしていた。気温と路面温度の上昇に対して、どのような戦略で臨むかが、予選の上位を目指すためには重要な要素となってきた。KeePer TOM’S GR Supra 37号車は、Q1で3番手となりQ2へ進出を決めると、ポールポジション獲得へ照準を合わせていた。Q1で他車が記録したコースレコードの各セクタータイムを次々に更新して最終セクターへと突入。130Rをクリアしてシケインへ進入するブレーキングでロックアップしてタイムロス。その周の順位は4位だったが、もう一周トライ。自己の前周タイムと同等の走りで再び最終セクターへ、そこで一気にコンマ2秒短縮して2番手のタイムを叩き出した。

●予選日の午前中に行われた練習走行では37号車は、6番手のタイムをマークしていた。セッションの最後に予選のシミュレーションを予定していたが、ストップしてしまったマシンに火災が発生し、赤旗中断。そのままセッション終了となって、ニュータイヤのチェックができなかった。
●Q1をサッシャ・フェネストラズが担当した。練習走行でも手応えを感じていたフェネストラズは、着実に3番手でQ2進出。
●決勝のスターティンググリッドを決するQ2を宮田莉朋が担当した。
●宮田は、ニュータイヤでタイムアタックの練習ができないまま予選に臨んでいた。コースインして3周してアタックに入った。
●同じGR Supraの19号車がコースレコードを更新してトップに立っていたが、そのタイムを上回るペースで第3セクターまで進み、ポールポジションと1分43秒台のコースレコード更新は確実かと思われたが、シケイン入り口のブレーキングでミス。
●宮田はポールポジション奪取のため、もう1周アタックを続けた。しかし、0.157秒及ばず2番手となった。

DriverQ1Q2
サッシャ・フェネストラズP3 1’44.841
宮田 莉朋P2 1’44.269

予選:ドライバー・エンジニアコメント

サッシャ・フェネストラズ

37号車ドライバー

チームのおかげで、今回は走り出しからとてもポジティブな状況だったのですごくハッピー。 練習走行では、日産Zが速さを見せていた。予選でどれだけ路面温度が上昇するか不確定な要素があって、タイヤチョイスには少し悩んだけど、チョイスしたタイヤは良く機能してくれたと思う。そして莉朋選手のアタックは素晴らしかった。ポールポジションはゲットできなかったけど、37号車は一番速いタイムが出せるということを証明してくれている。良いレースをして、できる限り良い結果を残したいと思っている。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

最初のアタックでブレーキをロックしてしまったのは、練習走行でニュータイヤでの予選シミュレーションができず、予選でぶっつけ本番だったせいですね。データを見たら、明らかに突っ込み過ぎていました。ニュータイヤのグリップレベルのリミットを分かっていなかったです。タラレバですが、あれがなかったらポールポジションは獲れていたでしょうけど、それができなかったのは、ボクのミスです。まだタイヤのパフォーマンスがしっかり感じられていたので、もう一周トライして、2番手になることができました。まだノーポイントなので、ここでちゃんとレースして、多くのポイントを獲得して終えたいと思っています。

大立 健太

レースエンジニア

最初のアタックでは、確実に1分43秒台に突入したペースでした。練習走行の最後に数分残して赤旗中断。そのまま終了してしまったので、その後に予定していたニュータイヤのチェックが行えないまま、予選を迎えなければならなくなりました。その状況が、ドライバーにとって難しいアタックを強いてしまいました。そんな中、宮田選手は素晴らしい走りでした。サッシャ選手も安定した速さを示してくれています。決勝はもっと暑くなる予想なので、チョイスしたタイヤがどのようなパフォーマンスを示すかで作戦を考えなくてはなりません。

山田 淳

チーム監督

確実にポールポジションが獲れたと思いました。宮田は、スーパーフォーミュラでも予選でシケイン手前のブレーキングを失敗してしまっていて、あの場所は彼にとって鬼門かな(笑)。次の周もアタックをして、2番手までタイムを縮めてきたのは素晴らしかったと評価しています。同じSupraの19号車のタイムには届きませんでしたが、決勝では十分に挽回できると思っています。ここまでノーポイントできていますので、是非ポイントゲット、できれば優勝したいですね。十分に狙えると思います。

決勝:レース内容

夏日を通り過ぎて真夏日となった決勝日。雲ひとつない空からは夏の日差しがどんどん路面温度を上昇させ、この時期としては異例の50℃まで達していた。予選後に行われた抽選で、スタートタイヤはQ1で使用したものに決定。 KeePer TOM’S GR Supra 37号車がQ1で使用したタイヤはソフト側のものだった。決勝は、スタート直後から激しいトップ争いが展開された。3番手ポジションからスタートした日産Z、3号車が並びかけてきて、一時は3位にポジションを落としたが、その後2位へポジションを戻した。ドライバーの最低義務周回数をクリアして早めのピットインを行い、セカンドスティントは、レースの約3分2を走行することとなった。ピットインのタイミングでホンダNSXの17号車に短いピットストップによって前に出られてしまった。終盤まで17号車を追い立て、テールtoノーズでフィニッシュラインを切った。今季初の3位表彰台、初ポイントを獲得することができた。

●フェネストラズがスターティングドライバーを担当。
●1コーナー手前で、日産Zの3号車が一気に並びかけて来て、ツーワイドでコーナーに侵入。2コーナーの立ち上がりでフェネストラズは接触を避けて引き、3位へ。その後3号車に次いで順位を上げて2位で1周目を終えた。
●一人のドライバーの最低義務周回数は、52周レースの3分の1=18周。
●フェネストラズは、19周してピットイン。宮田にドライバー交代。
●3位にポジションを上げていたNSXの17号車は、20周してピットイン。ピットストップ時間が短く、このタイミングで順位を逆転されてしまった。
●アクシデントが多発して、フルコースイエロー(FCY)の実施とセーフティーカー(SC)の導入が複数回行われた。
●SCの際には17号車との差を詰めることができ、残り9周でリスタート後は1秒以内の差で2位争いをしたが、0.283秒差で3位フィニッシュとなった。

Driver Race
Result
1s / Fastest Lap 2s / Fastest Lap
サッシャ・フェネストラズ P3 1’48.997
宮田 莉朋 1’50.261

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

サッシャ・フェネストラズ

37号車ドライバー

3位フィニッシュは嬉しい。2位でフィニッシュできればもっと良かったけど、初表彰台だから良かった。それにしてもZは速い。SC後のリスタートでも追いつくことができなかった。スタート直後の接戦でも落ち着いて対処できた。マシンはとても調子良かったし、ペースも悪くなかった。作戦通りに進めることができたけど、NSXに前に出られてしまった。鈴鹿ではSupraの良いところが発揮できなかったと思う。次はホームコースの富士だから、そこで再び良い成績を残したい。サクセスウエイトもまだ軽い方だから、優勝したいと思っている。

宮田 莉朋

37号車ドライバー

3号車には、見えなくなるほどの差を開けられてしまいました。作戦はうまくいったのですが、ハード側のタイヤだったので、コースインしてウォームアップに手こずってしまって17号車に前に行かれ、差を詰めることができなかったです。今回はタイヤチョイスに苦しんで、ブリヂストンさんが用意してくれた新たなタイヤのフィーリングを完全に把握できなかったということもあります。アウトラップのタイヤウォームアップはボクの課題です。少し苦手意識のあった鈴鹿で予選2番手、3位フィニッシュという結果をポジティブに捉えて、今後のレースにつなげていきたいと思います。

大立 健太

レースエンジニア

17号車のピットの停車時間の短さにやられてしまいましたね。そして、第2スティントは、第1スティントのソフト側のタイヤからハード側へ変更しているので、アウトラップで温まりが遅くて差を開けられてしまいました。SCが入り、一旦は差を詰めることができましたが、やはり鈴鹿でパッシングするのは簡単ではなかったですね。後半はロングスティントでしたが、燃費を気にしないで思いっきりプッシュできるように給油しました。17号車とペースとしては同等だったので、最後までチャレンジしてくれましたが、抜くことができませんでした。

山田 淳

チーム監督

優勝を狙ってスタートしたわけですが、3号車の日産Zがとても速かった。マシンとタイヤのマッチングも抜群だったと思います。ウチは、ピットストップで作業ミスやロスはなかったのですが、宮田のロングスティントを考慮して、ガソリンの量をやや多めに入れたのですが、NSXの17号車よりも多かったのかなと分析しています。日産Zには完敗という結果に終わってしまいましたが、今季初めて表彰台に立ち、初ポイントを獲得できました。調子は上がって来ていますし、次戦は得意の富士なので、優勝を目指して臨みたいと思っています。

舘 信秀

総監督

優勝できなかったことの悔しさはもちろんある。しかし、前戦の富士で大クラッシュし、そこから復活した日産Zの3号車が圧倒的な速さで勝ったことは、本当に素晴らしい。そしてドライバーの高星選手が勝利のフィニッシュラインを切ったシーンには感動した。ウチも善戦はしたが、ピットのタイミングでNSXにやられてしまった。17号車のピットストップ時間は数秒早い。この辺は今後トヨタさんと策を練らないといけない。宮田とサッシャのコンビネーションはレースを重ねる毎に良くなっている。今回の初表彰台を機に、次戦に向けても大いに期待している。

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