SUPER FORMULA LIGHTS #1,#37 第15/16/17戦 レースレポート

開催サーキット ツインリンクもてぎ(4.801km)
日時 10月16日(土) 10月16-17日(土/日)
来場者 3,600名 3,500/4,700名
天候 雨のち曇り・ハーフウエット-ドライ 曇り・ドライ/雨・ウエット/雨・ウエット
気温 20-21℃ 21-20℃ / 16-17℃ / 13-13℃
路面温度 23-24℃ 23-23℃ / 18-18℃ / 17-17℃

予選:レース内容

Super Formula Lights(SFL)のシーズンエンド大会、第15戦、第16戦、第17戦をツインリンクもてぎで迎えた。Super Formula(SF)のレギュラードライバーたちが復帰したため、ジュリアーノ・アレジは、SFLに専念でき、小高一斗が今シーズン初めてSFLのステアリングを握り、前大会を欠場していた平良 響も復帰して、オリジナルメンバー3人が揃った。ハーフウエット状態の路面から始まった予選は、徐々に乾き始めて、2セット目のスリックタイヤで一気にタイムアップ。アレジが2番手、ポールポジションを獲得。小高が第15戦、第16戦共に4番手のグリッドを、平良はアレジ、小高と共にコースレコードを更新するタイムを記録しながらも、両レース決勝の8番手グリッドからスタートを切ることとなった。

●ベストタイムで第15戦、セカンドベストタイムで第16戦のグリッドを決した。

●アレジは、ポイントリーダーの名取鉄平選手と僅差でポールポジションを争った。ベストタイムで0.045秒及ばず第15戦のセカンドグリッド。セカンドベストタイムで名取選手に0.1秒の差をつけて第16戦のポールポジションを獲得した。

●小林可夢偉選手の代役としてSFに参戦していた小高は、金曜日の練習走行でSFとの違いに苦しんでいたが、徐々に感覚を取り戻して、両レースの決勝で4番手グリッドを確保。

●平良はトップから1秒というギャップを縮めることができず、両レースを8番手からスタートすることとなった。

●名取選手が予選前にエンジン交換をしたため、第15戦で5グリッド降格となり、アレジがポールポジション、小高が3番手からスタートする。

●第17戦のグリッドは、第15戦の決勝結果によって決する。

DriverCar No.Qualifying for 15Qualifying for 16
小高 一斗1P4 1’43.330P4 1’43.452
平良 響37P8 1’43.934P8 1’44.185
                                      

予選:ドライバー・エンジニアコメント

小高 一斗

1号車ドライバー

今シーズンで初めてのSFLなので、金曜日のフリー走行でSFから感覚を戻すことに集中したのですが、セットアップを変えたことで変な方向に行ってしまい、それが最後までリカバーできずに土曜日の予選を迎えてしまいました。予選の走り出しは路面が濡れていたのですが、どんどん乾いてくると2セット目でタイムが一気に上がったのですが、今度はマシンが曲がらなくて、特に1コーナー、2コーナーが全然曲がってくれなくなってしまいました。他のコーナーも曲がりずらい感じになっていたので、なんとかうまくまとめて走ったつもりです。言い訳になってしまいますが、ライバルたちは前回も同じもてぎを走っているので、煮詰めの度合いが違うなと思います。今回は木曜日の走行が無くて金曜日だけだったので、セットアップの時間も修正の時間も少なくなってしまっていました。自分の責任ですが、金曜日の2回目の走行でセットアップの方向を間違ってしまったので、良い予選結果を出すことができなかったです。この位置からでもスタートを決めて、全てのレースで表彰台に立てるように頑張ります。

平良 響

37号車ドライバー

予選が開始された時のコンディションは、雨がぱらついていて、タイヤチョイスは<どうしよう、どうしよう>という感じでしたが、スリックで出て行ったら思っていたより雨の量が多くて1セット目のタイヤでは全然タイムが出せませんでした。でも路面がどんどん乾いてきて、2セット目のタイヤで勝負となったのですが、結構グリップしてくれてタイムもアップ。特にリヤのグリップが高くて、プッシュアンダーみたいになっていました。それでも上位グループとのタイム差は確実にあったので、ボクのレベルが低かったですね。体調不良で前回大会を欠場してしまいましたが、復帰後は感覚もすぐに取り戻せましたし、4輪をドライブできなかった時には、レーシングカートでトレーニングを積んでいました。体力的にも問題はなかったです。両レースともに8番手というポジションからのスタートとなりましたが、得意のスタートで2、3台抜いてポジションを上げて、あとはレース中にもポジションを上げられればと思っています。

吉武 聡

チーフエンジニア

小高、平良が戻って来ました。小高はSFLで、もてぎの走行経験がありますが、平良は初めてなので、金曜日に練習、練習ということでなんとか頑張ってもらったのですが、今回は木曜日に走れなかったので、練習走行の時間は少なかったですね。小高は、SFからSFLの感覚に戻して、1セット目でもタイムは出せていたので期待していたのですが、2セット目ではトップ3とのタイム差があった。小高は金曜日にブレーキを強く踏みすぎていた。それはSFの感覚が残っていて、それによってリヤが不安定になってしまって、それを修正しながらセットアップをまとめ上げるのに、少し遠回りをしてしまっていたのが今回の結果にも出てしまったのだと思います。平良はもう少し順位を上げられると思っていたのですが、残念でした。小高も平良もスタートは悪くないので、失敗しなければ、1台はパスできるでしょう。もてぎは抜きにくいサーキットなのでスタートが重要になります。

山田 淳

監督

練習走行の段階から本当に僅差で名取選手に先行されていて、予選でも同じような状況でした。セカンドベストでは名取選手を上回っているのが幸いですが、彼はあと数ポイント取ればチャンピオンを獲得できるので、ジュリアーノにとっては厳しい状況が続きます。なんとか逆転チャンピオンに持ち込めればと思っています。小高、平良にはもっと頑張ってもらわないとなりませんね。小高はSFから乗り換えて感覚の違いに戸惑っていましたが、昨年はSFLをドライブしていたわけですから、ちゃんとまとめてもらわないと困ります。そして平良はルーキーイヤーとは言え、この位置で甘んじてもらっては困ります。何か成果を残してシーズンを終えられるように頑張って欲しいです。

決勝:レース内容

第15戦は、ドライ。第16戦と第17戦はウエットコンディションとなった。ランキング2位でチャンピオンの可能性を残して最後の3戦に臨んだジュリアーノ・アレジは、第15戦で優勝、逆転チャンピオンに向けて弾みをつけた。しかし、第16戦でスタートに失敗し、3位までポジションダウン。3コーナーでは名取選手との接触でタイヤにダメージを負い、ピットインしてタイヤを交換。この時点でチャンピオンの可能性が消えてしまった。第17戦では有終の美を飾ったがランキング2位で日本国内の初シーズンを終えた。小高は、第16戦、第17戦で表彰台に立ち、3戦のみの参戦ながらランキング8位となった。平良は、今回は表彰台に立つことはできなかったが、シリーズで4回の3位を獲得し、ランキング5位でSFLのルーキーとしてのシーズンを終えた。

●アレジは第15戦でポールポジションから終始ポジションを守り、優勝。ファステストラップタイム(FL)も叩き出してポイントを加算。第16戦でスタートに失敗。3コーナーでイン側に入って来た名取選手と接触して左フロントタイヤがカットされてしまい、ピットイン、タイヤを交換した。最後尾まで落ち2ラップダウンとなってフィニッシュしたが、ファステストラップタイム(FL)を記録している。

●第17戦でアレジは圧倒的な速さを示して今大会2度目のポールtoウィン。そして3度目のファステストラップタイム(FL)を記録してシーズンを締めくくった。

●小高は第15戦でスタート後に接触して後退したが、後の2レースではポジションアップして2位、3位でフィニッシュした。

●平良は、難しいウエットコンディションの第16戦、第17戦で順位アップする粘りを見せた。

●アレジは、第17戦で優勝。年間4勝目を記録して、名取選手と総合得点では同点だったが有効ポイント制で6点差だった。

●ドライバーズタイトルは逃したが、トムスは2年連続してチームタイトルを獲得した。

DriverCar No.Rd.15 / Fastest LapRd.16 / Fastest LapRd.17 / Fastest Lap
小高 一斗1P5 1’44.936P2 1’57.640P3 1’58.169
平良 響37P6 1’44.946P4 1’58.899P5 1’58.282

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

小高 一斗

1号車ドライバー

第15戦のスタートはめちゃくちゃ良くて、2位に上がったのですが、3コーナーで佐藤選手にマージンを与えてしまったというか、甘かったのですが、4コーナーでアウトから切り込まれて佐藤選手の左リヤタイヤに乗り上げてしまい、ボクの右フロントウイングの翼端板が壊れてノーズにもダメージを受けてしまった。SFLは今年初めてだし、このメンバーとレースするのも初めてで、どのような動きをしてくるか分かっていなかった。もっと注意すべきでしたね。第16戦はスタートを失敗してしまいました。その後ジュリアーノと名取選手の接触や、名取選手のペナルティもあり、なんとか2位でフィニッシュできました。そして、最終の第17戦はスタートが最高に決まって2ポジション上げられたのですが、マシンの感触は第16戦の方が良くて、前を行く三宅選手に近づいても抜くまでに至らず、そのまま終わってしまったという感じで、表彰台には連続して立てましたけど、悔しさの残るレースをしてしまいましたね。SFとSFLのブレーキの感触の違いで出遅れて予選を迎え、それがなかったらポールポジションも取れたかなと思うので残念でした。

平良 響

37号車ドライバー

ドライの第15戦はトップグループとのタイム差、ペースの差が大きくてダメでした。レインコンディションとなった第16戦と第17戦は、ウエットの走り方はこれかな、という感覚があって、それは菅生ラウンドで少し感触を得て、今回はリベンジで頑張るぞと思っていました。しかし、ジュリアーノと比較するとその差は大きくて、まだまだだなと反省しています。自分が思っている以上に限界点は高いのかなと痛感しました。スタートを決めてやると思っていたのですが、第16戦は全然ダメで、マスターズクラスのドライバーにも抜かれそうになってしまいました。その反省を踏まえて第17戦は改善できて一気に順位アップできました。しかし、レースの終盤で佐藤選手に追いつかれてしまい、その時点で佐藤選手は多分ボクより1秒以上速いラップタイムだったので、後ろにつかれて、あっという間に抜かれてしまいました。昨年のFIA F4からSFLにステップアップして、思った以上に厳しい環境であることを実感しました。来年のことは、今は分かりませんが、チャンスがあれば、先輩たちのように2年目、3年目と着実に成長しチャンピオンを目指せるようになりたいと思っています。

吉武 聡

チーフエンジニア

最後の3連戦で小高、平良が戻って来て、本来のラインアップで戦ったわけですが、やはりジュリアーノが一つ抜けて速かった。小高も平良もそれと同じレベルには至っていなかった。平良はウエットコンディションで彼自身は進歩していますが、まだまだブレーキングで攻めないといけないし、ペースも上げられていなかった。第17戦で佐藤選手に終盤でパスされたシーンを見ればそれが明らかで、1秒以上ペースが遅かった。前回欠場したというマイナス面はありますが、今後もっと頑張ってもらわないといけないですね。小高は、SFの感覚でSFLをドライブしてしまっていたというのが一番大きな原因で、セッティングで少し遠回りして戻ったというのが予選結果に出てしまい、決勝でも、もっと上位に行けたのに行くことができなかった。決勝の1レース目、第15戦の感触がとても良くて、予選でもそのセッティングだったなら、展開、結果は違っていたでしょう。

山田 淳

監督

ジュリアーノは一年間でレース毎に進歩の度合いが見られて、毎戦速くなって、ドライでもウエットでも今回のようにファステストタイムを叩き出すこともできて、とても成長できたと思います。第16戦の接触でチャンピオンの可能性を失ってしまったのは非常に残念でしたが、そのような事態を引き起こしたのは、スタートを失敗してしまったことが引き金でした。それを第17戦ではしっかり修正して、かつ大差をつけて優勝してくれました。そのような状況を見ても彼の進歩を感じさせる良い例だと思います。小高と平良はそれに比較すると、厳しい言葉しか出てこない。小高は、速くて当たり前。優勝を常に争うポジションに居なくてはならない。しかし、SFからSFLに乗り換えたとはいえ、それができなかった。そして、平良。彼も着実に成長はしていますが、優勝に絡むことができない。トムスとしては、今の平良の結果を良しとは認められない。もっともっと実力をつけてもらわなければなりません。

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