SUPER FORMULA LIGHTS #36 第10/11/12戦 レースレポート

開催サーキット スポーツランドSUGO(3.621km)
日時 6月19日(土) 6/19-20(土/日)
来場者 2,600名 2,600/4,600名
天候 雨・ウエット 雨・ウエット/曇り・ドライ/晴れ・ドライ
気温 20-19℃ 18-18℃ / 24-24℃ / 26-26℃
路面温度 25-25℃ 21-21℃/ 29-30℃/ 39-39℃

予選:レース内容

九州のオートポリスから舞台は東北・宮城県のスポーツランドSUGOへ。予選の土曜日を迎えるまでは初夏を思わせるような天候に恵まれ、ドライコンディションで練習走行を行うことができたが、土曜日は一転して朝から雨、ウエットコンディションの予選となった。今回もSUPER FORMULAとダブルエントリーのジュリアーノ・アレジは、スポーツランドSUGOは初走行となり、しかも雨。ウエットコンディションの経験が少ない平良響と野中誠太にとっても難しい状況が予想された。しかし、それを覆してアレジがベストタイムを叩き出した。僅か0.009秒差で来日以来初ポールを奪取。平良も4番手と気を吐いた。そして、野中は二人と異なる作戦で6番手タイムをマークして第10戦のグリッドに着くこととなった。

●初めてのSUGOでの予選で、ウエットコンディションのため、レインタイヤでコースインしたアレジは、ウォームアップした直後から1分30秒台のタイムで周回した。1セット目のレインタイヤで7周してピットインし、2セット目のレインタイヤをセットしてコースイン。4周目にベストタイム、5周目にセカンドベストタイムをマーク。その直後に赤旗中断となり、残り時間2分40秒でポジションキープ。第10戦のポールポジションを獲得した。セカンドベストのタイムでは、第11戦の3番手のグリッドを得た。

●平良も2セット目のタイヤで30秒台に突入し、4周目にベスト、5周目にセカンドベストを記録して第10戦、第11戦ともに4番手のグリッドを確保した。

●野中は予選セッション中にタイヤ交換を行わない作戦を取った。セッションの最初から走行を続けて12周目にベストタイムを叩き出し、その前の周にセカンドベストタイムをマークした。

●第12戦のスタート順位は、第10戦の決勝結果によって決定される。

DriverCar No.Qualifying for 10Qualifying for 11
ジュリアーノ・
アレジ
36P1 1’30.045 P3 1’30.250
                                     

予選:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

初めてのサーキットでいきなりのウエットコンディションで予選を迎えるのは、とても厳しい、難しい状況だった。プッシュしすぎて、コースオフしたり、クラッシュしたりすることは避けなければならなかった。赤旗が提示されてセッションが中断される前にタイムを出せていたのはラッキーだったのか、皆もアタックしていた中でたまたまボクのタイムが記録されていた。そのタイミングで全てをまとめきることができたのは、チームのサポートと自分の頑張りの成果だと思う。2セット目のタイヤを装着して、ウイングを少しだけ調整してもらった。セカンドベストタイムがあまり良くなかったのは残念。最後のアタックでは、もうタイヤがグリップダウンしていた。第10戦はウエットコンディションのレースとなるだろう。濡れた路面でスタートを切るのはとても難しいけど、それは全てのドライバーに共通していることだから、ボクだけの問題ではないので、集中して上手くスタートを切りたい。ベストを尽くして優勝したい。

加藤 翔平

36号車エンジニア

金曜日までの練習走行ではドライでコンディションで走り込んだのですが、予選はいきなりのウエットコンディションとなってしまいました。セッティングの面では37号車とは異なるセッティングだったのですが、それがジュリアーノにはマッチしていたみたいで今年初めてのポールポジションを獲得することができました。セカンドベストタイムが3番手になってしまったのは残念ですが、ポールポジションはとても大きな成果であると判断しています。1セット目のタイヤでのデータを見たら、トップスピードがとても高かったので、2セット目に向けては、少しウイングの角度を大きくして、コーナーのグリップを上げたのがトップタイムに繋がったのだと思います。本人はもっとグリップが欲しい(笑)と言っていたのですが、それは全てのドライバーに共通する要求ですね。レインタイヤの感触が良かったのと、雨の量がそれほど多くなかったのも良かったと思います。この調子で、まずは第10戦で優勝してほしいですね。

吉武 聡

チーフエンジニア

今回、木曜日、金曜日の走行帯で3選手に沢山周回してもらいました。ルーキーの3人ですから、とにかく走り込んでもらって練習してもらいました。マシンのセッティング云々というよりも、どんどん走ってもらった方がタイムが上がるという作戦です。そして、まだまだ体力もつけてもらわなくてはならない。ロングラップを行うと疲れてタイムが落ちるので、それも改善してもらわないとなりません。ジュリアーノはSUPER FORUMLAとのダブルヘッダーでも平気なのですが他の二人は鍛えないといけませんね。雨の予選は予想していたので、そのセットアップはちゃんと用意してきていますから、そのセットを施すだけで問題はなく、細かなアジャストを行っただけです。前回のオートポリスで感触の良いウエットセットがあったので、それを基にしてSUGOのセットアップをしています。野中は1セットのタイヤで通したのは、周回を重ねてもタイムの落ち込みが少なかったのでそのまま走らせました。ジュリアーノと平良は、タイヤ交換をしたほうがタイムアップが望めたので交換しています。ジュリアーノはポールから勝ってほしいし、平良はスタートが得意なので、順位アップを期待しています。

山田 淳

監督

赤旗の中断があったので、それが我々にはラッキーでしたね。運も実力のうちと考えて、素直に喜びたいと思います。チームにとっては久しぶりのポールポジションです。ジュリアーノの成長が結果として出たと考えます。セカンドベストタイムでは、最後に2番手から3番手に落ちてしまったのは残念でした。平良選手は、経験が少ないウエットコンディションで頑張れたので自信をとり戻しつつあり、良い流れが作れていると思います。当初平良選手と野中選手は、1セットのタイヤでタイムアタックをする作戦だったのですが、結果的に二人の作戦は分かれました。ジュリアーノがSUGOは初めてなので、宮田莉朋にコーチングに入ってもらい、それがジュリアーノだけではなくて平良、野中にも良い影響となっています。

決勝:レース内容

第10戦は雨のウエットレース、そして第11戦と第12戦はドライのコンディションで戦われた。第10戦で初ポールポジションからスタートを切ったジュリアーノ・アレジは、SUPER FORMULA LIGHTS初優勝を達成した。第12戦もポールスタートから終始トップを堅持して2勝目をマークした。平良響は、ウエット、ドライ共に健闘して3戦全てにおいて3位でフィニッシュし、表彰台に立つという素晴らしい結果を残した。 野中誠太は、予選から苦しい展開の中で、第10戦はスタートポジションと同じ6位でフィニッシュを果たしたが、第11戦ではスタート直後のアクシデントでその場でリタイヤ。第12戦は順位を上げることができず、逆に一つ順位を落としてしまい、7位でフィニッシュした。アレジと平良ともにポイントランキングでも上位に進出してきた。

●ウエットコンディションの第10戦。アレジは、無難にスタートを決めてトップのポジションをキープ。セカンドポジションの車両との差を広げて周回を重ねていたが、26周レースの12周目にセーフティーカーが導入されて、それまでの努力が無になってしまった。しかし16周目からレースが再開されて、そこから再び差を築いて初優勝。レースは最大時間40分が経過した24周で終了した。

●第10戦で平良はスタート時点で前の車両がエンジンストールしたため順位を上げた。そのまま3位をキープして自己最高位タイでフィニッシュ。第11戦ではスタートで前のアレジをパスすることに成功。終盤に自己ベストタイムを更新し、連続で3位表彰台を獲得した。

●第12戦ではアレジがスタートから首位を堅持。前半で2位の車両に差を詰められるシーンがあったが、その後は突き放して2勝目をマークした。平良はスタートで2位に上がったが2周目に3位へ。そのまま3戦連続して3位で締めくくった。

●野中は第10戦でスタートポジションを守ってフィニッシュ。第11戦では1周目のアクシデントでリタイヤ。第12戦は1周目に順位をひとつ落とし、そのまま7位でフィニッシュした。

DriverCar No.Rd.10 / Fastest LapRd.11 / Fastest LapRd.12 / Fastest Lap
ジュリアーノ・
アレジ
36P1/1’31.333P4/1’14.606P1/1’15.040

決勝:ドライバー・エンジニアコメント

ジュリアーノ・アレジ

36号車ドライバー

今回もSUPER FORMULAとダブルヘッダーで走ることができて、多く走るチャンスを作ってくれているチームに本当に感謝している。しかし、キャラクターが違う、パワーも違うマシンを乗り換えて走るというのは、簡単ではなかった。初めてのポールポジションから初優勝できた第10戦は途中でセーフティーカーが入って差がなくなってしまったけれど、再び集中して勝つことができて良かった。第11戦のスタートは、自分のミスでちゃんとギヤが入っていなかった。すぐにシフトしたけれど、エンジンストールしなくて良かった。第12戦は2周目から名取選手が迫ってきて、一度インを奪われるかと思ったけれど、抜かれはしなかった。そして、周を重ねるごとに少しずつ離れていくのがミラーを見ていて分かったけれど、最後まで集中力を切らさずにフィニッシュして2勝目を記録することができた。SUPER FORMULAのレースの後に走った第12戦は、体力は問題なかったけれど、ドライビングを切り替えて走るために頭が疲れたレースだった。シリーズポイントを稼ぐことができたがまだ差はある。これからもっと勝ってチャンピオンになれたら良いけれど。ステップ バイ ステップで頑張ります。

加藤 翔平

36号車エンジニア

ジュリアーノは、第10戦と12戦はスタートをちゃんと決めてくれて2勝をあげることができました。しかし、第11戦ではギヤを1速に入れたつもりが入っていなくて、スタート直前にギヤを入れ直したため、出だしが悪くなり、平良に先行されることになってしまいました。ポールポジションスタートの2レースでトップに立ててはいましたが、はじめの5周くらいはまだまだペースが良くなくて、2位のマシンに差を詰められる状況がありました。レースの中盤からは差を開くことができるのですが、できればもっと序盤からペースを上げられれば良いですね。第12戦の状況では、トップスピードは一番でしたし、勝つことはできましたが、2位の名取選手にファステストタイムを奪われているので、レース中でも一発のタイムを出せるようにすれば、もっと勝つことが容易になってくると思います。

吉武 聡

チーフエンジニア

平良のスタートは3戦全てで決まっていました。しかし、第12戦で2位に上がったものの2周目に抜かれてしまうというのは、あまりよろしくないですね。そこが彼の一番の課題です。ここSUGOは抜きにくい、抜かれにくいサーキットなのに、そこで抜かれてしまうのはまずいです。レースの序盤ですぐにベストタイムを出せることが重要です。それでも全てのレースで表彰台に立つことできたのですから、シリーズ終盤までにどこまで成長できるかですね。第11戦で野中が1周目の1コーナーで少しワイドになって、そこにいた車両と接触し、リタイヤしてしまった。イン側の路面が濡れていたのですが、それも避けてクリアしていくことが大事です。そして第12戦では順位を下げてしまい、その後は前のマシンのペースでしか走れずにいた状況でした。直前にマシンがいればダウンフォースが抜けてしまい、苦しい展開になってしまうのですが、それも経験を積み、そのような状況をどう打開するかを考えて実践しなくてはなりません。

山田 淳

監督

ジュリアーノが2勝を記録してくれました。良い流れに乗り始めて、その流れに乗れば速さを示してくれますね。前戦のオートポリスにおいてSUPER FORMULAで1勝を先に挙げて、SUPER FORMULA LIGHTSでは勝てないのかと心配していたところ、ポールもとったし、勝ってくれて内心ホッとしています。名取選手との一騎打ちでの戦い方、勝ち方も理解して学んでくれていると思うので、この調子で頑張ってもらいたいですね。二つのカテゴリーを器用に乗り換えて走れる。そして何よりも体力があることが素晴らしい。国内のトップフォーミュラのドライコンディションレースを53周走ってから、乗り換えて第12戦を走って勝つ。この体力はすごいとあらためて感じました。ジュリアーノの最大の武器は体力かな(笑)。他の二人、平良、野中にはジュリアーノのデータを共有できる環境にあるので、今後に向けて奮起をしてほしいですね。

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