SUPER GT 2022 第4戦 レースレポート
開催 サーキット |
富士スピードウェイ レーシングコース(4.563km) | |
日時 | 8月6日(土) | 8月7日(日) |
来場者 | 18,600人 | 29,300人 |
天候 | 晴れ・ドライ | 曇り時々晴れ・ドライ |
気温 | 21-22℃ | 26-27℃ |
路面温度 | 28-26℃ | 33-33℃ |
予選:レース内容
今シーズン2回目の富士スピードウエイで迎える第4戦。真夏のイベントとなるはずの予選日だが、サーキットは朝から濃霧に包まれていた。予定されている9時からの練習走行が行われるか心配されたが、幸い時刻までに霧は晴れて、2ヶ月ぶりの走行が開始された。TGR TEAM KeePer TOM’S 37号車は、36号車と共に順調な滑り出しを見せて予選を迎えることができた。前戦の鈴鹿ラウンドで予選2番手、決勝では3位フィニッシュを果たし、二人の若きドライバーと共に、チームの士気もアップして臨む一戦となっている。予想よりも低い気温、路面温度の状況で、タイヤのウォームアップに注意を払いながら、まずは無難にQ1を突破。そして、ポールポジションを目指してアタックしたQ2で3番手を奪取、2列目のグリッドから決勝をスタートする。
●前戦で3位。今シーズ初のポイントゲット=11点獲得を果たしてランキング7位。サクセスウエイトは22kg。
●サッシャ・フェネストラズがQ1を担当。予想を約10℃下回る路面温度の状況によって、ウォームアップの周回を十分にとってからタイムアタックした。
●コースインしてから5周目、6周目にアタックをかけて4番手でQ1を突破。この時点でトヨタSupraがトップ4を独占。ホームコースである富士に強いSupraの速さを示した。
●宮田莉朋がQ2を担当。フェネストラズと同じくコースイン後5周目からアタックを開始。しかし、5周目にはAコーナーでリヤがスライドして走路外走行をしてしまい、次の周に再度アタック。
●宮田はブリヂストンタイヤ装着Supra勢の最速タイムを叩き出して3番手。2列目のグリッドから決勝、100ラップ、450kmレースのスタートを切る。
Driver | Q1 | Q2 |
サッシャ・フェネストラズ | P4 1’27.216 | ー |
宮田 莉朋 | ー | P3 1’26.994 |
予選:ドライバー・エンジニアコメント
サッシャ・フェネストラズ
37号車ドライバー
朝の練習走行では、霧が晴れてはくれたけど、コースはハーフウエットから始まって、ドライコンディションでのセットアップが完全ではなかった。特に気温がかなり低くて、数日前の猛暑とは全く異なるコンディションだった。予選はそのような状況でなんとか3番手。悪くはなかったけど、ヨコハマタイヤの2台に先行されてしまった。決勝に向けて改善するべき点はあるけど、ブリヂストンは、もしコンディションが暑くなったとしても良いパフォーマンスを示してくれると信じている。ミス、トラブルなく100周を走り切って勝ちたい。
宮田 莉朋
37号車ドライバー
決勝のコンディションは予選日よりも気温が上がることが分かっていたので、硬めのタイヤをチョイスしていました。これによって、予選では温まりが悪く、最初のアタックではAコーナーでリヤが滑ってしまい、アタックを中断しました。次の周に再度アタックして3番手。ブリヂストンユーザーのトップという点では良かったですが、練習走行中に装着していた柔らかめのタイヤと、感覚の切り替えがうまく行えなかったのは反省点です。2列目、3番手というポジションは勝てるチャンスがあります。前回の富士は残念な結果だったので、リベンジのつもりで決勝に臨みます。
大立 健太
レースエンジニア
マシンのセッティングが煮詰めきれない部分があって、ドライバーにとっては大変なアタックとなってしまったのは申し訳なかったです。<リヤが軽い>という報告に対して、改善する努力をしたのですが解消しきれなかった。宮田選手が最初にアタックをかけたラップでその症状が出てしまいました。2ラップ目でタイムを出してくれましたけど、セッティングが決まっていれば、もう少しタイムを伸ばすことができたのではないかと反省しています。決勝は、予選の状況を踏まえて、温度の変化などの要素を加味して優勝を目指したいですね。
山田 淳
チーム監督
3番手グリッドは悪くはないですが、決して順調な練習走行、予選ではありませんでした。ひとつは、予想外に低かった気温、路面温度。タイヤチョイスも簡単ではなかった。結果として、ヨコハマタイヤさんの2台が前にいる。ブリヂストンさんは、決勝に強いと信じていますし、我々も決勝は良い展開に持ち込める、持ち込みたいと思っています。450km、3スティントのレースは、いろいろな作戦を組むことが出来そうですが、順当な作戦が良いかと思われます。また、FCY、SCによる変化にもしっかり対応して優勝したいです。
決勝:レース内容
決勝スタート直前に雨雲が上空を通り過ぎて、雨が路面を濡らしたが、スタート時刻が近づくと雨は止み、太陽の陽が差しこんだ。コース上の一部ではハーフウエットだったが、一気にドライアップ。レース序盤から積極的な展開に持ち込み、2位へ順位アップし、トップの24号車、日産Zの背後で周回を重ね、トップ奪取を狙う。数秒の間隔、2秒から4秒の差でレースは進み、レースの3分の2が経過。逆転の作戦を組み立てて最後のピットストップに賭けた。ピットストップ時間をできるだけ短縮して、コースに送り出し、その作戦が見事に成功して順位が逆転。待望のトップに立った。最終ピットインのタイミングでは同じZの12号車が2位へ上がってきて、一時は4秒差まで迫ってきたが、最後は突き放してコントロールラインを切り、SUPER GTシリーズ最年少ペアが見事な勝利をつかんだ。
●コースの一部がハーフウエット状態だったのでフォーメーションラップが1周追加されて周回数は99周となった。
●フェネストラズがスタートドライバーを担当。5周目に2位に下がっていたポールスタートの19号車をパスして2位へ。このラップで記録したラップタイムが、今回のレースでのファステストラップタイムとなっている。
●2位をキープしたまま36周を消化して最初のピットイン。タイヤ交換、給油、そしてドライバー交替。宮田がセカンドスティントへコースインした。
●宮田にとっての最初のスティントはトップ24号車と一進一退の展開となっていた。最終ピットストップで逆転する作戦において宮田はペースをキープしたまま、燃費走行に集中した。
●燃費走行が功を奏して給油時間の短縮に成功。ソフト系タイヤのためアウトラップも良く、作戦通りトップを奪取した。
●ポイントランキングトップに躍り出て、次戦の鈴鹿ラウンドから燃料リストリストリクターが装着されることとなった。
Driver | Race Result |
1s / Fastest Lap |
2&3s / Fastest Lap |
サッシャ・フェネストラズ | P1 | 1’29.948 | – |
宮田 莉朋 | – |
1’30.252 |
決勝:ドライバー・エンジニアコメント
サッシャ・フェネストラズ
37号車ドライバー
嬉しい、ものすごく嬉しい。最高のレースだった。SUPER GTに参戦して以来、初めて勝利を飾ることができて最高の気分です。自分にとっての優勝では無くて、今日の勝利はリトモとチーム全員で得た勝利だった。最初のスティントで、スタート直後はコースの一部が濡れていてリスキーだった。ラインが乾いてから1台をパスして2位へ上がったけど、24号車のペースも良くて、追いつけば離されるという難しい状況だった。落ち着いて、ペースをキープしてラップしていれば、絶対チャンスはあると信じていた。そしてチームの作戦で最終スティントにトップに立てた。最高です。
宮田 莉朋
37号車ドライバー
このレースを迎えるまで2ヶ月間走行できなくて、チームとサッシャと、コンディションがどうなるのか、セットアップはどうしようかとずっと考えていました。24号車が速くて、コース上で抜くのが難しかったので、ピットストップで前に出る作戦をとりました。燃費走行をしながらペースをキープする厳しいレースでしたが、作戦通り最後のピットストップで前に出ることができ、課題だったアウトラップもちゃんと速く走行できて優勝できました。同い年のサッシャが先月誕生日を迎え、ボクが10日なので、勝って誕生日のお祝いをしようと話していたのですが、それが実現できます。最年少ペアですが、底力を示せたかなと思います。
大立 健太
レースエンジニア
このような劇的な展開で初優勝を飾ることができて最高ですが、今回は走り出しからずっとリヤが軽い、トラクションがかかりにくい不安定という状況を抱え、それが最後まで修正できませんでした。申し訳なかったです。予選でも、決勝でもそれを補って走行してくれて、そして優勝してくれた若き二人のドライバーに感謝しています。24号車のペースが良くて、どこで逆転するかを考えて、最後のピットストップで給油時間を最小限にする作戦に出ました。最後まで走れるかヒヤヒヤでした。喜んでばかりはいられません。今月はすぐ鈴鹿ラウンドがあるので、そこでもポイントを稼ぐ策を考えなくてはなりません。
山田 淳
チーム監督
序盤で2位に順位アップできたものの、トップの24号車Zが、こちらが差を詰めるとペースを上げて、ある程度の間隔を保ち続ける。完全に我々のペースを見ながらレースを牛耳られてしまっていました。悔しかったですね。このようなレースは本当に難しく、精神的にも苦しく、厳しいものでしたが、チームのスタッフとエンジニアが、最後のピットストップで見事な逆転劇を演じてくれました。あのワンチャンスで狙い通りトップに立ってフィニッシュ。優勝できて嬉しい限りです。37号車の優勝は2020年以来久しぶりです。これでランキングトップに立ちますが、次戦からは燃料リストリクターも装着されるので難しく、辛い戦いが始まります。
舘 信秀
総監督
今シーズンは、TOM’Sのドライバーラインアップが一気に若返り、チャレンジのシーズンであり、前半戦にその成果が得られたことは本当に嬉しい。この二人の年齢を足しても45歳という最年少コンビの勝利だ。2ヶ月間、実走行がないまま迎えた富士。走行が無くともドライバーとエンジニア、チーム全体が勝利へ向けて努力した総合力が成し得た優勝だと思っている。ドライバーもスタッフ全員も本当に良くやってくれた。今後はウエイトと燃料リストリクターによって苦しいレースが続くが、これに耐えてチャンピオンへの道を築いていきたい。